表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/5

3

 「ではレオン様、お願いします。」


 アフロの人が言うとレオンはピアノへ歩き出した。顔が真っ青で今にも泣きだしそうだ。10秒程度の間を開け、演奏が始まった。


 レオンの演奏はミスの連発だった。1週間前の演奏とは大違いだ。トップバッターのプレッシャーがあったのかもしれない。今のレオンを見ると1番目ではなくてほんとによかった。


 レオンはほぼ泣いているような顔で席に戻っていった。ちょっとすっきりだ。だがまたにらまれると嫌なのであまりみないしよう。


 なにやら審査員らが箱に紙を入れている。全員入れ終わるとアフロの人が箱を回収し


 「レオン様の点数を発表します。レオン様の点数は23点です。」


 おそらく一人10点の中で点数をつけて合計したものだろう。23点は結構低めだと思うので少し落ち着けた。


 レオンを見るとうつむいたまま動かない。その様子を見て、最低でも24点を出してレオンに追い打ちをかけていきたいと思った。我ながら倫理観がない。


 「続いてはキュム様、お願いします。」


 キュムのピアノへ向かう様子はとても落ち着いて見えた。


 キュムのピアノは先週のように音を外すことなく弾ききっていた。心臓に毛が生えているという言葉がお似合いだ。


 点数は87点だった。キュムは小さくガッツポーズをとっていた。正直キュムの演奏にはお手上げだ。

 

 「続いてはマリー様、お願いします。」


 ついに私の番だ。キュムに勝つことは全く考えていない。ただレオンには勝てる可能性がある。緊張はするがとりあえず精いっぱい挑み切りたい。


 演奏が終わった。正直何も覚えていない。ただレオンが歯を食いしばって私をにらんでいる。


 私の点数が発表された。37点だった。レオンの表情からもっと大差で勝ってると思っていたが結構僅差だった。

 

 ここでレオンにニヤリとしてもいいが私の中で2つの案が浮かんだ。


 1つ目は「無言で前を見つめる」だ。これはレオンに勝ったことに対して何も思っていないアピールをすることができる。

 2つ目は「悔しがること」だ。レオンに勝つのは当たり前で、キュムに勝つことができなかったことしか気にしていない様子を見せつけることができる。


 私はここで2つ目を選択、私は大きくため息をした後


 「最悪、まあ、次頑張るか」


 と言い放った。レオンまっかっかの顔でこちらを見ている。私はレオンにばれないように横目でレオンの様子を見たが鬼の形相とはまさしくあの顔だろうなと思った。


 「今日の結果にて建国祭のピアノの演奏者はキュムとなりました。」


 とアフロの人が言い残すと審査員の人たちと出て行った。するとキュムがいきなり私に平手打ちをしてきた。私はとっさに避けてキュムのすねを蹴ってやった。昔、不良の喧嘩漫画を読んで私も1か月半キックボクシングの練習をした成果が多分出たと思う。まさか異世界転生して独学キックボクシングが生きてくるなんてそんなの漫画や小説の設定でも思い浮かばない。


 「ふっ。」


 キュムが小さく笑い部屋を出て行った。むかつくが悪いことをしてないしピアノも負けたから何も言うことができなかった。まあ今日はレオンに対して以前のむかつきを消化することができたのでちょっといい一日になったのではないかと思いながら部屋に戻った。



 部屋に戻ってビュッシュに建国祭について聞いた。建国祭とは1年に一回、建国された日に開かれる大きな祭りらしいその中でのピアノという役割は式の最初に演奏し、とても名誉なことである。また、シナルドは嫁を私たち3姉妹から見つけるといい、建国祭から私たちのお城で一緒に暮らすらしい。建国祭はシナルドを祝うと意味も込めて今年は行われるらしい。レオンがピアノがうまくいかなくて泣きそうになっていた理由が分かった。


 建国祭は小説であまり語られなかったが、私はシナルドの好きな飲み物、起きる時間、身長その他もろもろ小説で語られているものはだいたい覚えている。そのアドバンテージを生かしてシナルドとの生活でのスタートダッシュを決めるための準備を残りの1週間で進めていこうと思う。


 


 


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ