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四十七個の宝玉  作者: 黒灰 賢二郎
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 辺りは、白煙が立ち込め視界が悪い。


 その煙の中から人影が見えてきた。

 数は二十人程で、その中にでっぷりと太った男と、あまり訓練していないわかる動きの女がいた。


 僕らは見覚えがある。村田 康弘と西脇 梨香だ。


 「フン、陽動が上手くいったようだな、さすがジョニー・カーラントだ」


 「局長ぉ、私、こんな危ない所まで着いて来ちゃったけど、本当に宝玉は手に入るのですかぁ?」


 「まあ大丈夫だ、どうせこの塔の中にはあのガキ共と、ムーンチャイルドの出来損ないしかいないはずだ。

 だから簡単に制圧出来るはずだ。そうすれば宝玉は取り放題だぞ」


 「まあ、それは楽しみです」


 とんでもない会話が聞こえてきた。

 たしかに警護の兵士達は、外に応援に行ってしまった。


 奴等はまだこっちに気付いていない。僕らは今、物影に隠れている。


 すると、またバカな会話が聞こえてきた。


 「ジョニー・カーラントは、宝玉を一個、十億で買うと言ったんだ。

 一個、十億だぞ、十億!全員売り払えば三百億だ。

 軍の上層部のバカ共は、それがわからんのだ!」


 「え~、三百億ってすご~い。

 私ぃ、南の島に別荘が欲しいんだけど、三百億入ったら買ってもらえませんか?」


 「ハハハハ・・・・、別荘だけじゃなく島ごと買ってやる」


 「本当ですかぁ~、やったあ~!」


 こいつら正気か、と思った時。


 「宝玉の反応はどうだ?」


 と村田が言った。


 「ハイ、すぐ近くにいます」


 と何か器具を持っている部下らしき男が返事をした。


 え、僕達、居場所がバレてる?あの器具は僕達の何かを感知出来る機械?


 そんな事を思っていると、


 「オラッ、ガキ共、出て来い!」


 と村田が叫んで、持っていた自動小銃をぶっ放した。


 ガガガガガ、という音と共に銃弾が飛んできて、僕らの頭上の壁を撃ち抜く。


 「野郎、ブッ飛ばしてやる!」


 と剛志が叫んで宝玉を使おうとするが、剛志は宝玉を一つしか持っていない。


 「剛志、待って、剛志は一つしか宝玉ないだろ?

 僕にまかせて!」


 僕は、集中して宝玉の力を収縮する。狙いは、奴等の持っている武器だ。

 武器だけを破壊するイメージを持って宝玉を造り出す。

 そして出来上がった宝玉を村田達に向かって投げた。


 村田は僕の姿を確認した瞬間、ニヤリと笑った。


 僕は、嫌な予感がした。


 村田は僕の姿を確認した時、僕が投げた宝玉も気付いたはずだ。

 妖魔を簡単に討伐出来る宝玉が、自分に向かって来てるのに、何故笑うんだ?


 村田は笑ったまま、叫んだ。


 「オイ、宝玉が来るぞ!」


 「ハイ、わかりました」


 と、村田に答えた男がいた。

 その男は、肩から何か黒い箱のような物を下げていた。


 その箱を飛んで来た宝玉に向ける。

 すると宝玉は、箱に吸い込まれるように無くなった。


 僕は、何が起きたのか分からなかった。

 僕だけじゃない、みんなが僕と同じ状態だ。


 そんな中、村田の汚ならしい声が響く。


 「フハハハハ、宝玉を一つ、確保したぞ!」


 「何ですか、その機械は?」


 と、叫んだのは加賀さんだった。


 加賀さんは、いつ着替えたのか、僕達と初めて会った時と同じ迷彩服に身を包み、手には通信機器のタブレットなどではなく、大型拳銃を持っていた。


 「やはりいたな、ムーンチャイルドの出来損ない!」


 村田は侮蔑の声を上げながら、加賀さんに向かって銃をぶっ放した。


 加賀さんは素早く物影に隠れて、事なきを得た。


 「良いことを教えてやろう。この機械はな、ジョニー・カーラントが開発した宝玉や霊力を捕らえて溜め込む事の出来る器具だ。

 俺達はキャッチフォースと呼んでいるがな」


 キャッチフォース?力を捕らえる?


 「その器具を使ってテロを起こしたのですか?」


 加賀さんが村田に問う。


 「俺が起こしたんじゃない。カーラントだ」


 「あなたが、防人様を洗脳状態のまま、ジョニー・カーラントに引き渡した、と聞きました。

 テロリストへ防人様を渡すなんて、あなたがテロを起こしたも同じです!」


 「五月蠅い、お前のような出来損ないが俺に意見するな!」


 村田は叫ぶとまた銃をぶっ放す。


 「ふざけんな!お前の方がよっぽど人間が出来てねえじゃんかよ!」


 僕は思わず叫んでいた。


 「くそガキが、調子に乗るな!ホラ、さっきみたいに宝玉を使え!俺の為に宝玉を出すんだ!」


 また銃を撃ってくる。

 僕は隠れてやり過ごす。


 このままじゃジリ貧だ、何も出来ない。

 何か打開策は無いか、考える。


 しかし、動くのは奴等の方が早かった。


 銃声と銃声の間にカランコロンと、何か転がる音が聞こえた。


 「手榴弾だ、伏せろ!」と誰かの声がした。


 そして小規模の爆発が起きる。


 村田達は、塔の中で使えるように火薬の量を調整して、小規模の爆発で済むようにした手榴弾を準備していたらしい。


 小規模の爆発といっても、至近距離でくらえば致命傷になる。


 さっき、手榴弾の警告を叫んだ声は、浩幸の声に似ていた。


 僕は心配になりそちらの方を見ると、そこには座り込んだ北原さんと菅野さんがいた。

 

 良かった。彼女らは怪我はしているようだが、致命傷を負った感じではない。

 しかし、彼女らのそばに浩幸が血まみれで倒れていた。


 目は開いている。胸は上下に動いている。死んではいない。

 でも、どう見ても致命傷だ。


 まずい、浩幸の奴は女子をかばったのだろう。


 「浩幸ぃ」


 僕は叫んで飛び出そうとした。

 しかし、そばにいた剛志に引きずり倒される。


 「バカ、草太、はちの巣にされるぞ!」


 「でも浩幸が!」


 僕の声に剛志も唇を噛み締める。


 そんな事をしていると、次々と手榴弾を投げ込まれる。


 僕と剛志がいる場所は壁の位置がいいのか、手榴弾が近くまで飛んで来ない。


 しかし他の所へは次々と落ち、爆発の度にクラスメートが倒れていく。


 奴等は銃弾でこちらの動きを止め、そこに手榴弾を投げ込む、という戦法をとってきた。


 銃声と爆発の音の間から村田とあのバカ秘書の声が聞こえてきた。


 「局長ぉ、手榴弾で痛めつけるのはいいんですけど、死んじゃったら宝玉は取れなくなるんじゃないですか?」


 「大丈夫だ、即死でさえなければ洗脳用のアレで強引に奪い取れる。

 オイ、アレは忘れてないだろうな?」


 と村田が問うと、後ろのキャッチフォースを持った男が答えた。


 「ハイ、持って来てますよ!」


 と、言って胸ポケットから棒状の器具を見せた。

 それは、吉川が持っていた強いカメラのフラッシュのような光りが出る器具だった。


 「こいつを使うなら、逆に痛め付けて瀕死の方が効きやすいんですがねえ」


 と器具を見せた男が、汚い笑みを見せる。


 「そうだ、あのガキ共を徹底的に痛み付けてやれ。

 だだし、即死だけは気を付けろよ、間違って殺した奴はペナルティだからな!」


 村田達の会話を聞いていると、腸が煮え繰り返りそうだった。 

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