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四十七個の宝玉  作者: 黒灰 賢二郎
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 草太 side



 どうやら、僕達をテロリストが狙っているらしい。

 しかも、あの村田 康弘もテロリストと絡んでいるようだ。


 加賀さんから忠告があった。


 と、言っても僕らに出来る事はほとんどない。

 ジョニー・カーラントの顔写真を確認するくらいだ。




 その後、元の世界に帰る為の情報収集は、大分進んだ。


 その結果、帰るのに都合が良いのは、次の満月の夜がいいらしい。

 満月の夜は、霊力が高まるので、異世界転移がしやすいのだ。


 宝玉だけで転移出来ないこともないのだが、出来るだけ安全にと、満月の夜に帰還することが決まった。


 僕らは、体内に宝玉の力を蓄えて置かないと、この世界では体が維持出来ないのだが、この情報を最初隠していたこの国には、びっくりだ。


 今は、協力的なのでみんな水に流している。

 それと、加賀さんの存在でみんな、許している部分がある。


 この国のお偉いさんは、加賀さんに感謝しろ!


 と、その事はいいのだが僕らの体は、宝玉の力を蓄えて置かないといけない。


 しかし満月の日、霊力が高まっている夜なら宝玉の力が無くても、体を維持出来るらしい。


 例えば、僕が宝玉を二個持っていて、浩幸が一個持っていたとする。

 もし浩幸が、宝玉を使いきってしまったら、浩幸の体は維持出来ない。


 しかし満月の夜なら、浩幸は体を維持していられる。

 その間に僕の宝玉を使って、転移してしまえばいいわけだ。


 と言うことで、次の満月の夜に僕らは、帰還する事が決まった。


 実は僕らがこの世界に転移してきた日も満月で、その満月の日から今度の満月の日までが、一年の中で最も、というかほとんどこの間に妖魔が発生するのだそうだ。


 だから前々からこの世界の人達は、僕らが転移してきた満月の日に召喚して、次の満月の日に送還していたらしい。


 それはさておき、次の満月の日まで五日あり、最後の追い込みで、妖魔討伐がピークでなければいけないのだが、僕らは手持無沙汰だった。


 何故かと言うと、散弾のみだが榊の銃弾の量産体制が整ったのだ。


 そのお陰で、国防軍の兵士達が、散弾銃を持って妖魔討伐に励めるようになった。

 そして、今までの鬱憤をはらすかのように、兵士達が妖魔討伐に邁進したのだ。


 それと、宝玉を使うと霊力が乱れやすくなるので、出来るだけ使わない方が良いのだ。








 そして時がたち、ついに帰還の日になった。


 送還は、玉制塔で行われる。


 本当は、僕らも召喚の時に玉制塔に転移してくるはずだったのだが、西脇秘書官というあのケバいおばさんがミスしたせいで、全然違う所に転移してきたのだった。


 だから今回初めて僕らは、玉制塔に行く事になる。


 玉制塔と言う名は、宝玉の力を制御する、という意味らしい。


 何か、僕らを制すると言っているみたいで、僕はこの名が嫌いだ。


 その日、僕らは大事をとって玉制塔に朝から移動した。

 それも秘密裏にだ。


 これもテロ対策だった。


 ダミーの大型バスを研修施設に配備したまま、僕らは普通乗用車に分乗して玉制塔に向かった。


 玉制塔へは、難なく到着した。


 本間さん達、取材班も隠れて移動してもらった。

 しかも、研修施設にダミーの取材班を残してだ。


 たどり着いた玉制塔はものものしい警備で、空気がピリピリしている。

 しかも、妖魔討伐で忙しいはずの佐竹隊長まで来ていた。




 送還は【送還の儀】と呼ばれ、玉制塔の転移の間という部屋で行われる。

 召喚、送還両方とも転移の間で行われる。


 召喚の時は、玉制塔に溜められた霊力を使って、異世界人が一度に呼び出される。


 送還の時は、専用の台座を使用する。

 台座には、術式が刻まれており、術式を起動すると宝玉の力で、擬似的な霊力の乱れ場が作られる。

 それを利用して異世界転移するのだ。


 しかし台座はそれほど大きくなく、三人ずつしか乗れない。


 だいたい、一回の送還は、十分程かかる。三人ずつ十回で一時間四十分だ。

 準備だの移動だのを合わせると二時間程かかることになる。


 テロから狙われやすいのは、その二時間の間だ。


 送還の儀は、日没から一時間後、だいたい、七時半頃、行うことになった。


 加賀さんは、もう今から シミュレーションをしている。


 ピリピリした中、時間だけが過ぎて行く。

 何も無いまま、昼が過ぎ、夕方になった。





 それは、突如起こった。


 「ドン」という音と共にグラッとした、震動が伝わってきた。

 一瞬、地震かと思ったが、揺れ方が違う。


 警備の兵士が叫んだ。


 「敵襲です!防人様は隠れて下さい」


 そして叫んだ兵士は、外へ走って行った。


 僕らは今、塔に入ってすぐの所にいた。

 転移の間の方が安全なのだが、敵には村田がいる。

 どういう方法で、転移の間を攻略するか、分からない。

 何かあった時に、すぐに逃げられるようにだ。


 外から爆弾が破裂した音、銃の撃ち合う音が聞こえてきた。


 僕らは、宝玉の力をいつでも使えるようにして、身構えていた。


 今、僕らの宝玉の残存数は、かなり少ない。

 一個しか、持っていない者も半数以上いる。


 出来るだけ使わないようにしていたが、僕らは身を守る術は、宝玉しかない。だから結構な数を使っていた。


 そんなクラスの中で断トツで宝玉を持っているのが、僕だ。

 僕は、十四個の宝玉を持っている。

 何故かと言うと、一時期、寝込んでいた事と、宝玉の使い方が下手くそで、なかなか減らなかったのだ。


 だってさぁ、一緒にいるのが剛志と宮本さんだよ!

 僕が宝玉を収縮している内に妖魔を倒してしまうんだもん!

 使う暇が、無かったんだよ!


 と言うことで、今僕がクラスの中で一番、宝玉を持っている。


 だから僕は、みんなの前に立って、何かあった時の為に身構えていた。


 そんな僕の少し先にある入り口のドアが、突然吹き飛んだ。

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