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四十七個の宝玉  作者: 黒灰 賢二郎
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 ここは、軍の研修施設だ。もちろん射撃訓練場もある。


 銃を撃つのは加賀さんだ。

 僕は、銃を撃った事はないし、戸田さんはデータ収集があるため撃てない。


 加賀さんは、軍の訓練を一通り受けているそうだ。

 加賀さんがゴーグルなどの保護具を着けて場内に現れた。


 すごく、様になっている。


 加賀さんは何も言わず、射撃台に上がりショットガンを構えて的に向かって撃つと、的は見事に穴だらけになる。


 だが加賀さんも戸田さんも余計なことは何も言わず、次の弾丸を準備してすぐに撃った。

 それを数度繰り返し、試射は終わった。


 どの弾丸でも的は、穴だらけになった。しかし、その穴の大きさや、穴の数は違う。


 的の中の一枚を指差し、戸田さんが口を開く。


 「やっぱり、00B位が威力が高そうね」


 すると加賀さんも


 「そうですね、00Bを基準にして、その近辺の玉を準備すれば、いいかもしれないです」


 と言って二人で話し始めた。


 僕はさっぱり分からず、ただみているだけしか出来なかった。

 すると戸田さんが僕に気付いて、加賀さんに言う。


 「ほら、彼氏をほっぽいて銃の話しばっかりしていると、嫌われちゃうぞ!」


 「もう、また変な事を言い出す!・・・ごめんなさい、間壁様、今説明しますね」


 そう言って加賀さんは、僕に説明を始めた。


 「00Bと言うのは、散弾の玉の大きさです。この場合、榊の木片の大きさとなります。

 今、試射した感じではこの00Bの大きさが一番効果が高そうなので00Bの大きさを基準にして、その近辺の玉を準備したらどうだろうと話していたのです」


 「僕は、銃の事は分かりません。これは妖魔に使えそうですか?」


 僕は、銃の事など分からないので、率直な疑問を口にした。


 「それは、まだ分かりません。現地での実戦で使ってみない事には」


 結局、現地で妖魔に向かって銃を撃ってみるしかないようだ。


 「現地には、私も行くよ!歴史的瞬間は見逃せないからね」


 「え、戸田さんも行くのですか?ヘリで移動となりますけど!」


 「え、ヘリ?うう・・・・大丈夫、行くよ!」


 戸田さんは、ヘリでの移動に問題があるようだが、僕はこの時、反対すれば良かったと後悔した。




 そして当日、戸田さんは極度の高所恐怖症で、ヘリの中では僕や加賀さんにつかみかかり、大声をあげて恐怖を耐えている。


 そしてロープで降下する時は、隊員の一人が背負って降りたのだが、大暴れして大変だった。


 一緒の班の剛志や宮本さんも苦笑いだ。


 僕は背負られて降りる仲間が増えて、少し嬉しかった。


 そんなこんなで現地に着いた僕達は、妖魔の下にむかう。


 妖魔を包囲する兵士達は、相変わらず効果のない銃を撃って牽制している。

 そこへ榊の弾丸が入ったショットガンを持った佐竹隊長が現れ、他の隊員と一緒に妖魔向かって銃弾を放った。


 妖魔はイノシシ型だったのだが、イノシシの頭の部分をえぐるように弾丸は通過していった。


 頭を半分、失った妖魔はその場にバッタリと倒れた。

 榊の弾丸で妖魔を倒した瞬間だった。


 それを見ていた兵士達は、喚声をあげた。


 「すげえ、一発だぞ!」


 「あんだけ銃弾が効かないやつが!」


 「信じられねえ」


 口々に兵士達が言い、僕も唖然として見ていた。


 しかし佐竹隊長は、冷静だった。二頭目も狙って発砲した。

 見事、二頭目も仕留めてさらに喚声があがる。


 妖魔は、五頭の群れだった。二頭が倒された事で他の三頭は怖れたのか、逃げ出そうとした。

 その三頭は、剛志と宮本さんが宝玉を使って仕留めた。


 二つの宝玉を使ったのは、一頭だけ離れた場所を逃げていたからだ。


 こうして榊の弾丸の実戦での試射は、無事に終わった。

 しかも結果は上々であった。


 帰りのヘリの中は、騒がしかったが研修施設に着いた途端、戸田さんはこの結果を元にさらに榊の武器を改良する、と言って飛び出して行った。


 それを眺めていると、後ろから声をかけられた。

 佐竹隊長達だった。


 「間壁様、ありがとうございます。あなたのお陰で私達は軍人として本分を全う出来そうです」


 そう言うと、隊長と部下の兵士達が僕に向かって敬礼してきた。


 僕は、どうしたらいいか分からず、あたふたしていると剛志が肩をたたいて


 「お前も敬礼で返すんだよ!」


 と言った。

 僕は見よう見まねで手をあげて敬礼した。


 すると隊長と兵士達は敬礼を解き、にっこりと微笑んでその場を後にした。


 「やっぱり、草太はすごいな!」


 隊長達を見送っていると剛志が、また僕の事を絶賛してきた。


 「やめろよ!たまたま思い付いただけだから」


 「そこがすごいのです!普通の人は、そこが思い付かないのです」


 加賀さんまで!

 僕は、顔が真っ赤になった。


 宮本さんは後ろで笑っているし、カンベンしてくれ!


 その後、研修施設に帰ると浩幸がいた。


 「お、聞いたぞ、聞いたぞ!転んでもただじゃ起きない」


 浩幸が僕の事を誉め出したので、僕はそれを押し止めて、すかさず浩幸の襟をつかみ


 「浩幸、話しがある」


 と、別室へ引っ張って行った。


 「浩幸、僕が宮本さんの事が好きだと、どうして男子生徒みんなが知っているんだ?」


 「あ~、いや、ほら、みんなで草太の恋路を応援したいな、なんて」


 浩幸は、冷や汗をかきながらあたふたと答える。


 「嘘だろ、おおかた面白がってみんなに話しまくったんだろ」


 小学校以来の付き合いだ。浩幸の性格はつかんでいる。


 「まさか、アハハハ、そんなわけないよ」


 僕は、猜疑心のこもった目で見ながら


 「植村さんに、この前浩幸が北原さんをデートに誘ってた、って言うからな!」


 と言うと


 「嘘、ごめん、それだけはやめて、謝るから、ホントごめん」


 と、謝りだした。


 浩幸が、モテない理由、誰でもいいからと四方八方に声をかけまくっているからだ。


 散々、反省させて解放してやった。


 浩幸を締め上げたお陰で、少しスッキリして戻ると、宮本さんや加賀さんがクラスのみんなに、僕が考え付いた銃弾が凄かった、と絶賛しまくっていた。


 僕は恥ずかしくなって、その場を逃げ出した。


 もう、カンベンしてくれ!

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