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四十七個の宝玉  作者: 黒灰 賢二郎
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 草太 side



 取りあえず、局長と言う男は帰って行った。


 クラスメート皆が話し始めると、収拾がつかなくなるから、と僕と栗林さんだけ口を開いて対応した。


 お陰ですんなり話しが進んだ。


 僕らは、これからの事を加賀さんを含めて話し合った。


 加賀さんは僕らの立てた目標を立派だと絶賛してくれた。

 特に三つ目は加賀さん自身がやりたかった事らしい。


 僕は、加賀さんに質問した。


 「この要求、通ると思う?」


 「現政権のままだと五分五分でしょうが、国民に直接、訴え掛けたら間違いなく通るでしょう」


 「一応、民主主義って事か」


 将が横から意見を言う。

 そしてその横から栗林さんが


 「加賀さん、あなたは私達に何か重要な情報を伝えていない。そうでしょう?」


 と言った。


「はい・・・・・、申し訳ありません、私はある誓約があり、皆様に伝えたくても伝えられない状態にいます。ですから皆様に不信感を煽るような映像を見ていただき、自分達で求めるようにと促しました」


 と、加賀さんは正直に打ち明けた。


 僕はピンときた、加賀さんが求めてほしい情報とは多分あれだ。


 「加賀さん、それは元の世界に帰還する為に何か必要なものがあるって事?」


 映像の中で召喚する場面はあるのに、帰還の場面が無いことに僕はずっと疑問に思っていた。


 「申し訳ありません、私はその事について口を開く事を止められています」


 と加賀さんは答えた。


 なるほど、その事についてしゃべれないとなれば、その事を自分達で調べろと言っているのだ。

 つまり、帰還する為には僕らは何かを準備しなければならない、と言うことだ。


 しかし・・・・・。


 「加賀さん、その誓約って守らないと加賀さんはどうなるの?」


 「それは・・・・・」


 加賀さんは、僕の質問に言葉を発せられない。


 すると横から浩幸が口をはさむ。


 「おおかた、身内でも人質に取られてるんだろうよ!」


 浩幸の言葉に加賀さんは、目を伏せて何も言わなかった。

 これは肯定していると言うことだ。


 それをやったのは、あの局長とこの国の上層部の者達だろう。


 なんて卑劣なやつらなのだろう。


 そんな風に感じているのは僕だけじゃなく、クラスメートのみんなも感じているようだ。


 誰も言葉を発せず、押し黙ったまま沈黙の時間が流れる。


 みんな怒りの表情をしている。


 しかし、その沈黙の時間を破り将が言葉を発する。


 「悪いが今の俺達は、あんたの為に何も出来ない。

 でもさっき剛志がやってみせたような事が、俺達も出来るんだろう?その力があれば、あんたの為に何かできるか?」


 加賀さんは感極まった顔をして「ありがとうございます、ありがとうございます」と何度も礼を言って頭を下げた。


 しかし、礼をした後の顔はキリッとした意志の強さを感じさせる顔をしていた。


 そして僕らに語りかける。


 「皆様の気持ちは、大変嬉しいです。

 しかしその力は私のような者にではなく、何も知らないこの国の民の為に使ってもらえますか、そして防人様が元の世界に無事、帰還出来ればそれだけで私は十分です」


 僕は、この人はなんて無欲なんだろうと思った。

 何でそこまで仕事に忠実なのだろう、何か強い思い入れがあるのだろうかと思った。


 そんな事を思いながら加賀さんを見ていると横から浩幸が


 「ってことは、これから頑張ってその宝玉の力を制御出来るように特訓しなきゃならないな、そうだろ、草太?」


 と、にこやかな顔をして僕に話しかけてくる。


 僕は、すごく嫌な予感がした。


 僕はもともと心臓が悪くて運動が出来なかった。というのもあるが、運動が苦手というのもある。


 まだ心臓の調子が少し良かった小学生の頃、よく鉄棒の特訓やキャッチボールの特訓などをした。


 そのたびに自分の運動能力の無さを痛感したのだ。


 だから僕は特訓と言われると、つい身構えとしまうのだ。


 その為、僕は言い訳をして逃げようとした。


 「僕はさ、どっちかと言うと頭脳派だからさ、その特訓って必要あるのかな・・・なんて」


「何言ってんだよ草太は!お前は宝玉の力を暴走しかけたんだろ、お前が一番訓練しなきゃ駄目だろう」


 と将が最もな意見を言って参戦してきた。


 とそこへ


 「大丈夫だ、俺が付きっきりで見るからすぐに出来るようになるさ」


 と剛志まで参戦してきた。

 

 剛志ほど僕の事を把握している奴はいない。

 僕の心臓の事は、僕より剛志の方が知っているぐらいだ。


 僕は完全に包囲され、逃げ出す事も出来ず、特訓に参加する事が決まった。


 誰か助けて!


 そして、その日の午後から特訓は始まった。


 だだっ広い何も無い広場でクラスメート達は横並びになり、各々で集中している。


 何も無い場所なのは、宝玉の力が暴走しても被害を最小限に押さえる為だ。


 集中しているみんなの間を加賀さんが声をかけながら練り歩く。


 加賀さんは前回、前々回の防人が訓練中にどういったコツがあるのか聞き出している。

 そしてその時の動画をタブレットに録画して保存している。


 だから何かアドバイスを求めると、その動画を見せて的確な指導をする為、みんなの上達も早い。


 僕は、どうかって?聞かないでくれ!


 そして一週間後、クラスメート全員が宝玉の力を使いこなせるようになっていた。


 僕も含めて!


 その一週間の間に加賀さんは、何度か上司に呼び出しを受けていたようだ。


 そしてまた、この一週間の間にクラスメート一人一人に対して個人面談を加賀さんが行い、不満などがあればそれを改善する努力をしている。



 そして、国民への御披露目パレードと、首相との会見の日がやって来る。

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