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死都帰りと聖火の黄金姫  作者: 澪 シエル
第一章 入学編
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001 入学試験直前

夢を見た。

それは俺と少女が初めて出会った時の夢。

まだ数年やそこらしか経っていないはずなのに途方もなく昔の出来事のように感じるのは少女の成長とこの数年間の濃さ故だろう。


 その少女は瓦礫となった村の中、黄金の聖火(ほのう)に包まれながら月へと手を伸ばす。

 少女に黒髪の青年が近づき声を掛けようとすると、少女はこちらの気配に気づき振り返ってきた。少女の頬には静かに涙が伝っている。

 黒髪の青年がこれからどうするつもりか聞くと少女は、


 「私はこれから.、ーーーーー」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「師匠ー、師匠ー、起きてください!私はもう出ますからね!」


 そう言い俺の肩を揺らし、少し強めに目覚めさせた金髪少女。


 「おーアリスおはよう。どうしたのそんなに急いで、てかその格好何?今日は依頼受けてなかったよね?」


 アリスは今、俺が知り合いに作らせた軍服を改造したような戦闘服を着用している。朝から訓練していたにしても装備がガチ過ぎるだろう。

 ベットから体を起こしながら俺が言うとアリスは、はっとしながら、


 「あっ、おはよう御座いますホムラ師匠。って何寝ぼけてるんですか!今日は学園の入試の日じゃないですか!」


 「あー、あったなそんなの。どうせ合格になるだろうから存在忘れてたわ。」


 当たり前のように俺が言うと、アリスは少し顔を赤らめながら


 「何言ってるんですか、て言うか入試の存在くらい覚えててください!」


 「すまんすまん、もう出るのか?」


 「はい、今から会場に向かいますよ。」


 「そうか、じゃー行ってこい!気を付けてな!」


 「はい!行ってきます!」


 そう言うとアリスは部屋を出て駆け出していく。

 俺はアリスが出ていくのを見送ると俺は少し大きめにアクビをしながら、


 「はわぁー。もう少し寝るか。」


昨夜の仕事とここ最近の寝不足気味の体に従い二度寝するのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー--


試験会場に向かいながらアリスは彼女の師匠について考えていた。


(はぁー、師匠は王都に来てから夜は大分遅い様子。また厄介事をギルドいえ国からから押し付けられていまたし少し心配です。)


これでも2人は数年間、師弟関係を続けていたので話さなくても分かる事は大分多くなっている。

今回の件もホムラも余り隠す気は無いのか書類の整理などもアリスの前で行っていた。

なので不安こそないが心配しない理由にはならないのだった。

そうこうしているうちに学園の前までついてしまう。


(ここがアルメリア王立高等魔導学園ですか、思ったより大分大きい!)


王城のように大きい大門に珍しく学園の大きさに圧倒されるアリス。

これだけ見てもこの国の教育に対する力の入れようが理解出来ようものだった。


大門をくぐり受け付けの列に並ぶ。

もうすぐに受け付けの順番が回ってこようと言う時に何やら列の後ろの方で揉め事がおこっていた。

よく見ると3人の男子受験生とおもしき人達が桃色髪の女子受験生を取り囲んでいた。


「あなた達何があったか知りませんが男性が多人数で1人の女性を取り囲むのはどうかと思いますよ。」


すっと後ろにさがって間に止めに入るアリス。


「なんだてめぇ!この御方を何方と心得える!順番ぐらい譲るのが常識だろうが!!」


そんな暴論を吐きながら真ん中の金髪長身、野性的な肉体と顔つきの受験生の後ろに着く取り巻き2人。


「そこの御方がどなたか存じ上げませんがあなた達は後からならんだのでしょう?順番を譲れと取り囲むのは褒められた行動ではありませんよ。」


男子受験生の暴論に少しキレかけたアリス。その証拠に言葉には怒気が含まれてる。しかし今は入学試験前、あまり揉め事を起こすわけにはいかず必死に我慢する。

それに貴族であろうこの取り巻きとおもしき男子受験生の口ぶりからこの真ん中に居る金髪長身の受験生は相当高位の貴族だと予測していた。


しかし・・・、


「おい貴様らいい顔をしているな、俺の娼婦になれ。それで今回の件不問にしてやる。」


急に喋りだしたと思ったら第一声がそれだ。

聞いた瞬間に、腰の刀に手を掛けるアリス。

最早、殺気を隠すこともせずに完全に切り捨てようとした。


「ジャンク少しおいたが過ぎるぞ。」


アリスが殺気を放った直後3人組の後ろから男性が怒気を孕む声で声をかけてきた。

こちらも金髪長身だがジャンクと呼ばれた受験生より細身で理知的な雰囲気がある。


「フランク兄上なぜここに!?」


急な兄の登場にジャンクが狼狽えているとフランクは続ける。


「来て当然だろう?私はこの学園の生徒会長なのだからな。それに学園での権威の使用は厳禁だと教えなかったか?ここには他国の王侯貴族も入学する可能性が高いのだからあまり恥をさらすのはよせ。」


「ちっ!クソ、お前ら行くぞ!」


ジャンクはそう言うと顔を赤くし試験会場に立ち去っていった。


「いやー入学試験から災難だったねーアリスさんと桃色髪のキミは初対面だね。僕は生徒会長のフランク・フォン・アルメリアよろしく!」


そう笑顔で自己紹介するフランクに呆れ顔のアリスがツッコむ。


「はぁー、もっとちゃんと言うことがあるでしょう?フランク第1王子殿下。お久しぶりです。それと初めまして私はアリス・カルミア、冒険者をしているわ。私の事はアリスと読んでね!」


第1王子といいながらその口調は軽い。

普通なら罪になる所だがフランクも気にする様子はないので続けて桃色髪の受験生に自己紹介する。

それを聞きハッとする桃色髪の受験生。

頭を下げ自己紹介を始める。


「お、お初にお目にかかります。アイジュナ辺境伯の娘。カナ・ローレルであります。私のことはカナとお呼び下さい。よろしくお願い致しますアリスさん。」


「へー、あなたがあの。」


神妙な顔を見せたアリスだがすぐに何時もの笑顔に戻ると。


「よろしくね、カナさん。」


「よろしく、カナさん。ちなみに僕のことはフランと呼んでね!」


笑顔でそんな事を言う王子にまたも呆れ顔になるアリス。


「出来るわけないでしょう流石に、殿下と気軽に話すなんてSランク冒険者ぐらいのものですよ。」


首を物凄い勢いで上下するカナ。

不満顔のフランクだったか直ぐに切り替える。


「てかキミも十分気軽でしょ。まーキミが特別なだけか。そうそう君達も受け付けは僕がやっておくからもう受験にいっていいよ。」


「い、いいのですか殿下。」


落ち着かない様子のカナが恐る恐る聞くと。


「いいよ!どうせ本人確認ぐらいだし。それにジャンクの事悪かったよ。そのお詫びには足りないけどこれぐらいはね!」


そして2人はお礼を言いつつ必要書類をフランクに渡し教室に向かうのだった。


------------------------


2人が教室へ向かった後、アリスとカナの受け付けを済ませ無人の教室へやってきていた。

周りに人がいないのを確認し冷たい声で呟く。


「アンリエッタ。」


「はっ、ここに。」


その呟きと当時にフランクの影から現れ膝を着く覆面を付けた切目の黒髪の女性。

その雰囲気から出来る仕事人、秘書といった印象を受ける。


「ジャンクとその取り巻き、そしてカナ・ローレルとその周辺を探れ。絶対に気取られるなよ、絶他に」


念を押し命令を出すその声色に気安さはなく、誰もがひれ伏す覇王のそれだった。


「はっ、ただちに。」


そう言い、アンリエッタはまたフランクの影に沈んでいく。


(ホムラ・ミヤマの報告が確かならカナ・ローレルはて・・・、しかし此方でも裏をとる必要があるか。ジャンクの裏にも最近見え隠れする影がある。陽動、罠の類かもしれんがしかたない。)


思考の海に沈むフランク、しかし考えても答えは出ないと思考を切り替える。


(それにしても入学試験で第2王子の流血沙汰なんてならなくて本当よかったー。相変わらず無茶苦茶するなーアリス、あれ絶対ホムラさんの影響だよ。)


絶対本気だったね、と本音か冗談か分からない想像をしていた。

けれどほとんど間違っていない考えをしながらコレぐらいは許されるだろうと自分で自分を肯定していた。

破天荒な友人に何時も振り回され苦労するフランクだった。

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