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絶海の無人島に転移したけど、ステータスが「通販」スキルしかなかった件 ~女に貢ぐより魔石を稼いでレベルを上げろ~  作者: ナマ


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第四話 資産運用(アセットマネジメント)と水の価値

二日目の朝。

 不快な喉の渇きと、硬い枝の感触で目が覚めた。

 

「……っ、喉が、くっついている……」

 

 唾液も出ない。昨晩食べた魔物の肉は、生きるためのカロリーにはなったが、水分までは補給してくれなかった。

 俺はつるの安全帯を解き、強張った体に鞭打って木から降りた。

 

 まずは、昨晩仕掛けた「罠」の確認だ。

 一歩、一歩、足音を消して進む。警備員としての「巡回」の基本だ。死角を確認し、風上から接近する。

 

 仕掛けた倒木の罠は――見事に発動していた。

 そこには、昨夜と同じ魔物が二匹、無残に圧死していた。

 

「よし……二匹だ。売上(魔石)を回収するぞ」

 

 死体から溢れ出す光の粒子。俺の目の前に、二つの魔石が転がる。

 迷わず拾い上げると、俺は即座に『通販:Lv.1』のウィンドウを呼び出した。

 

【所持魔石:2】

 

 手が震える。俺はカタログのトップに表示されていた『天然水(500ml)』を一本、迷わずタップした。

 

【魔石×1 を消費しました】

 

 ポンッ、と虚空から冷えたペットボトルが落ちてくる。

 ラベルには見慣れた日本の文字。蓋をひねる。カチリという音が、この絶望的な島で唯一の救いのように聞こえた。

 

「……っ、あぁ……ッ!!」

 

 水が、砂漠のような喉を潤していく。

 美味い。これまで飲んだどんな高級酒よりも、風俗帰りに飲んだエナジードリンクよりも美味い。

 

 生き返る感覚と共に、俺の思考は「生存」から「効率化」へとギアを上げた。

罠の「効率化」とリスク分散

 残りの魔石は、1個。

 

「水一本に魔石1個……。このコストを下げない限り、俺の貯蓄ステータスアップは進まない」

 

 俺は頭の中に仮想の「収支計算書」を展開した。

 

 今の俺の「作業能率」を上げるには、手作業での解体や石での工作時間を短縮しなければならない。

 そのためには、より精度の高い道具が必要だ。

 

 だが、道具を買うための魔石が足りない。

 ならば、答えは一つ。

 

「罠の数を増やし、面で制圧する。システムの自動化だ」

 

 俺は二日目の午前中をすべて「罠の増設」に充てた。

 昨日のような単純な重力罠だけでなく、木のしなりを利用した「スネアトラップ」や、地面に掘った「落とし穴」を組み合わせた。

 

 森の獣道を分析し、エリアを「ゾーンA」から「ゾーンD」まで区分けする。

 

 ゾーンA:逃走経路を遮断するフェンス代わりの罠。

 ゾーンB:殺傷力の高い主力トラップ。

 ゾーンC:音で獲物を誘い込むデコイエリア。

 

 蔓を編み、杭を打ち、カムフラージュを施す。

 

「女と違って、物理法則は裏切らない。引けば締まるし、落ちれば死ぬからな。」

 

 誰かに頼る必要はない。この「罠」こそが、俺の唯一の信頼できるパートナーだ。

二日目の決算

 夕刻。

 増設した全10箇所の罠を巡回した結果、今日の戦果は凄まじかった。

 

ネズミの魔物が6匹、そして初めて見る、巨大な角を持つ兎のような魔物が1匹。

 

【所持魔石:8】(水1本の消費を差し引き、現在の残高)

 

 画面に表示された『8』という数字。

 ようやく、俺は「投資」のステージに立った。

 

 選択肢は三つ。

 

1. レベル3への昇給(コスト:5):肉体スペックを上げ、基礎生存率を高める。


2. 通販スキル:Lv.2への拡張(コスト:5):カタログを増やし、生活の質と武器の質を上げる。


3. 温存(コスト:0):万が一の「水」や「食料」の欠乏に備える。

 

「……いや、投資だ。金を寝かせておくのは、停滞と同じだ」

 

 俺の指は、迷うことなく『通販スキル:Lv.2』のアップグレードボタンに向かった。

 肉体レベルは自分の努力(罠の設置)でカバーできるが、道具スキルがなければこれ以上の効率化は望めない。

 

【魔石×5 を消費しました。通販スキルが Lv.2 に上昇します】

【カタログが更新されました:『キャンプ用品』『調味料』『鉄製ツール』が解放されました】

 

「……っ! 鉄製ツール!」

 

 画面をスクロールすると、そこには『サバイバルナイフ(鉄製)』や『手斧』の文字が。

 さらに、『塩』や『胡椒』といった、今の俺が最も渇望していた調味料までもがラインナップされていた。

 

「これだ……。これで、あの不味い肉ともおさらばできる。それに、斧があればもっと強固な罠が作れる」

 

 残高は、3魔石。

 俺は、Lv.2になったカタログから「鉄製ナイフ(2魔石)」を即座に注文した。

 

 手元に落ちてきたのは、ズッシリと重い、本物の金属の輝き。

 石の破片とは比較にならない、鋭い切れ味。

 

「ハハッ……あはははは!」

 

 暗い森の中、俺は狂ったように笑った。

 

 魔石を稼ぎ、投資し、リターンを得る。

 このシンプルな循環が、俺の壊れた心に何よりの充足感を与えていた。

 

 二日目の夜。

 俺はナイフで研ぎ澄まされた新しい枝を抱え、より強固に補強された「木の上」の寝床で、静かに目を閉じた。

 

 明日は、もっと稼げる。

 この島を、俺だけの完全なる「無人要塞」にしてやる。

異世界無人島サバイバル:2日目 終了

残り魔石:1

通販レベル:2

獲得アイテム:鉄製ナイフ、使い捨てライター

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