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絶海の無人島に転移したけど、ステータスが「通販」スキルしかなかった件 ~女に貢ぐより魔石を稼いでレベルを上げろ~  作者: ナマ


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第二十三話 宿泊環境の不備(低品質なUX)と次期投資計画

徹夜の業務を終え、朝日が眩しく街を照らし始める頃、俺は猛烈な眠気に襲われていた。

 懐には昨日の素材売却で得た金貨がある。ここはケチる場面ではない。俺は「最高級」を謳う、中央広場近くの宿屋へと足を運んだ。


「……宿泊の申し込み(チェックイン)をしたい。一番いい部屋を頼む」


 受付に出した金貨を、店員は値踏みするように眺め、鼻を鳴らして鍵を放り投げてきた。案内もなければ、愛想の一つもない。その態度は、まるで「忙しい時に来た迷惑な逆」だと思っているようで、この時点で俺の不快指数(ストレス値)は閾値を超え始めていた。

欠陥住宅の検証トラブルシューティング

 通された部屋は、確かに広い。だが、清掃が行き届いていない。

 

 ベッドのシーツは湿気を帯び、枕元には前の客のものと思われる髪の毛が落ちている。窓枠はガタつき、外の喧騒がそのまま流れ込んでくる。極め付けは、ルームサービスで頼んだ朝食だ。冷え切った硬いパンと、脂の浮いた得体の知れないスープ。


「……これが『高級』か。ふざけるな」


 35歳のオッサンを舐めているのか。あるいは、この世界の標準的なクオリティ(SLA)が低すぎるのか。

 かつて日本で利用していた清潔で効率化されたビジネスホテルの機能美が恋しくなる。あそこには、適正な対価に対する、確かな「安定」があった。

 不快な部屋で無理やり目を閉じるが、脳が「拒絶」して眠れない。

 俺は起き上がり、意識の中で『通販スキル』のカタログを、iPad miniの画面をスクロールするように高速で読み進めた。


「……もっと根本的な解決策が必要だ。既存の宿に依存するから、こういう『外れ(バグ)』を引くことになる」


新規スキルの発見:『亜空間宿プライベート・インスタンス

 検索ワードに「居住」「快適」「ポータブル」を打ち込み、リストの深層を掘り下げていく。

 そして、ついにその「究極のアップデート案」を見つけ出した。


• 【スキルオーブ:亜空間宿インスタンス・スイート

• コスト:3,000魔石

• 効果: 現実空間から切り離された、自分専用の「居住用亜空間」を生成する。入り口はどこにでも設置可能で、自分以外はアクセス不可。

• 備考: 習得後、魔石を消費して「設備のアップグレード(パッチ)」が可能。ユニットバス、高性能エアコン、防音室まで拡張可能。


「……これだ。これこそが俺の求めていた『完全な孤独(聖域)』だ」


 誰にも邪魔されず、清潔で、常に自分好みに最適化カスタマイズされた空間。

 このスキルを手に入れれば、もはや不潔な宿屋の店員に頭を下げる必要も、隣の部屋のいびきに悩まされることもない。どこにいても、そこが俺の「家」になる。

戦略的目標の設定ロードマップ

 ただし、コストは3,000魔石。今の俺の残高キャッシュでは到底足りない。

 

 倉庫街の警備ナイト・パトロールは、この街の基礎的な情報収集(ログ解析)には役立つが、魔石の稼ぎとしては効率が悪すぎる。


「……方針変更だ。この3日間の契約が終わり次第、高効率な『討伐系案件(高額報酬クエスト)』にシフトする」


 海賊の頭領を倒したあのレベル35の武力と、アイテムボックスに眠る現代兵器をフル活用すれば、魔石の大量獲得は難しいことではない。

 

 俺は不味いスープを流し込み、硬いベッドの上で、脳内に「次期開発計画」の工程表を描いた。

 人付き合いを断ち切り、自分だけの究極の快適環境を構築する。そのための「残業代(魔石)」稼ぎなら、どれだけ血生臭い戦いでも耐えられる。

「……待ってろよ、亜空間宿。俺の『最強の引きこもりライフ』を、力ずくで買い取ってやる」


 夕方の出勤時間まで、あと数時間。

 俺は耳栓を深く差し込み、怒りを燃料にして、不快な現実をスリープモードへと追いやった。

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