第10話
「ノア……?!」
アンは必死にノアを探す。机の下ベッドの上、タンス、隅々まで探したが、見つからない。
「ノア!?どこ?!」
「お嬢様?どうかされたのですか?」
メイドが部屋に入ってくる。
「それが!ノアがいなくなったの!」
「え?!」
「ノアー!」
「ノア様ー!」
それから屋敷の皆でノアを探したが見つからなかった。
「ノア、どこに行ったの?」
アンは泣き出してしまった。
「ノア……。」
置いて行かなければよかったとアンは後悔した。
そんな時だった。電話が鳴る。メイドが出る。
「アン様!ノア様からですよ!」
「え?ノア?!」
アンは直ぐに電話機に飛びついた。
「ノア!ノアどこ?!」
「すみません、連れ去られてしまって、今は隙を見て連絡しています。」
「ノア、無事なのね?!良かった……。」
「アン様、東の森の館にきてください。危ないのでお供も忘れずに!申し訳ありません、自力で帰りたいのですが、もうすぐ充電が……きれ……」
「ノア?ノア?!どうしたの?!ノア?!」
「つー、つー。」
電話は切れていた。
「ノア……」
アンは直ぐに東の森の館に向かおうとする。だが、使用人達に止められた。
「アン様!もし何かあっては危険です!スマホは諦めた方が……」
「そうです!アン様に何かあっては遅いのですよ?!」
「アン様、ここは思いとどまってください!」
「いやよ!」
アンは急いで走ってゆく。すると爺やがそれを止めた。
「アン様?何事ですか?!」
「ノアの居場所が分かったの!東の森の館に急いで行ってくる!」
「いけません!お嬢様にそんな危険な場所に1人でいかせられません!」
「じゃあ、どうすれば……?」
「オレがついていきますよ。」
「へ?」
そこには執事のクーがいた。クーとは幼い頃から良好な仲である。
「クー、戻っていたのね。」
「ええ。」
この国では兵士を貴族の使用人から輩出し、一時期国に貸すことになっていた。
クーは2年前に国王軍に従事することになった。それからクーとはアンは会っていなかったのだ。
「クー!再会を喜んでいる場合じゃないの!そこを退いて!!」
「退けれませんね。」
「そんな!」
アンはなんとか突破しようと魔法で光を出す。だが、クーは目を眩ませるどころか、アンの腕を掴んでいた。
「アン様、いや、バカアン!何考えてんだよ!1人でそんな危険な場所にいかせられるか!バカ女!!」
「ばっ、バカ女ですって?!貴方、いつの間にそんなに下品な言葉を覚えてたの?!」
「うるさい!いいからいくな!」
「貴方には関係ないでしょ?!」
「あるに決まってるだろ!」
「むー!」
「いいからいくな。オレが代わりにいく。」
「ダメよ!」
「なら、オレがついていく!!」
「?!」
東の森はとても深い。そんな森だが、昔は人々が住んでいた廃屋がある。その内の1つが森の館だ。
「にしてもどうしてこんな所にスマホが?」
「連れ去られたそうよ。」
「誰に?」
「恐らく……」
話していると前方に熊が現れた。
「?!」
「お嬢様!ここはオレに任せてくれ!」
クーは炎の魔法で熊を退ける。
「はっ!どんなもんだ!」
「凄いわ!クー!いつの間にそんな魔法を?」
「軍に従事してすぐに護身用の魔法をたくさん学んだんですよ!」
「そうなのね!頼りになるわ!」
そう話しながら森の奥に進んでゆく。2人は苦労しながらもやっとの事で館についた。
「ここ、ね。なんだか、不気味だわ。」
「大丈夫。オレがついてますから!」
2人は訝しみながらも館へと導かれる。2人は館の扉を開けた。
一方、ノアは……。
「充電が……どうすれば。」
「あら、目が覚めたの?」
「!?」
「そんなに驚かなくってもいいでしょ?私が犯人だと分かっていたくせに。」
「ええ、分かっていましたよ。……エミリ。」
「ふふ、貴方は今日から私のものよ!言うことを聞きなさい!さもなければ貴方のご主人を殺すわ!」
「!」
「あら、アンが来たわね。」
「!」
「可愛がってあげるわ!ふふふ、ふふふふふふ、ふふふふふふふふふ!」
その頃、アンは館に入ろうとしていた。
「アン様、どうしてそのノアなんてののた為にこんな所まで?」
「ノアは私をいつも助けてくれたの!だから私もノアを助けたい!」
「なるほど……話しには聞いてたが、それほど大切なんだな。」
「ええ!」
館の扉を開ける。ギィと音がなった。
「不気味ね。」
「全くだ。」
2人が館に入った瞬間、エミリはそれを悟った。
「やっと来たわね、アン!ここで死んでもらうわ!それにしても……」
エミリは言うことを聞かないノアに手間取っていた。
「この!言うこと聞きなさい!機械の分際で!!」
「言うことなど聞かない!私はアン様のし執事だからだ!」
「黙れ!機械風情が!」
「言う事聞かないと水かけるわよ!」
「防水処理されているから問題ない!」
「きぃー!言う事聞きなさいよ!……まあいいわ!アンがここまで来れるとは思わない事ね!」
エミリの言葉に、ノアはアンの身を案じるのだった。
館の闇は深く、アンとクーは道に迷ってしまう。
「ここ、さっきも通ったわよ?」
「ああ、そうだな。」
「!ここ!この道!ここから出れるんじゃない?」
「なるほど!ここは通ってなかったな!」
2人はなんとか迷路のような廊下を突破した。それを見ていたエミリは舌打ちをする。
「ちっ!全く!運のいいやつら!」
「アン様……」
「でも、もうあんたは要らない存在かもね?」
「?!」
「だって他の男と来てるわよ?」
「そんな事はない!人を連れて来るように言ったのは私だ!それに、アン様はこうやって助けにきてくださっている!それこそが私を必要としてくださっている証拠だ!」
「ふん!どうだか?いいから言うこと聞きなさいよ!」
「離せ!」
エミリとノアがそんな話しをしているとアンとクーはどんどんと館の奥へと向かってゆく。するとさか道でいきなり大きな鉄のボールが転がってきた。
「?!」
2人は脇道にそれてなんとか身を守る。ボールが転がってきては脇道に逃げる。それを繰り返してなんとか進む事が出来た。
「はぁ、はぁ、アン様大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、ええ、クーは?」
「オレは問題ない。それより次の道だ。」
そこは棘だらけの道だった。
「どうやって進めば……?」
「アン様!ここ!これ見て!」
「?」
そこにあったのはボタンの列だった。そこにはこう書かれていた。
「このボタンを順番通りに押すことができれば道は開かれる。」
「なぞなぞ?かしら?」
「うーん、サッパリだ!」
「?これって……」
「?」
「ボタンの列が屋敷の形になってない?」
「!本当だ!」
「じゃあ、最初はここを押して……」
アンの閃きでなんとかボタンを押す事ができた。棘の道はくるりと回って普通の道に変わる。
「さっすが!」
「いいえ、ノアならどう考えるかやってみただけだから……」
「ふーん、お嬢様はノアの事がよっぽど好きなんだな?」
「え?ええ、まあ、相棒ですから。」
「ふーん。」
2人はどんどんと館の奥へと進んでゆく。やっとの思いで最後の扉についた。
「これは?!」
「こんなの進めないわ!」
そこにはこう書いてあった、「生贄を捧げよ。この穴に生贄を捧げれば道は開かれる。」と、
「生贄なんて捧げられない!」
「アン様、ここはオレが!」
「ダメよ!クー!」
すると後ろから壁が動いて迫ってくる。
「アン!行け!」
「ダメ!」
クーは穴に入った。
「クー!?」
「オレは無事だ!だから行け!」
「……ごめんなさい!!」
アンは泣きながらラストの扉を開ける。そこにはエミリはいなかった。
「へ?」




