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間話:期待はずれ
村外れの大木。
その枝の上に、“それ”はいた。
風が吹く。
葉が揺れる。
だが、“それ”は動かない。
ただ、見下ろしている。
「力の増幅頼まれたから見にきたけど、雑魚は雑魚 のままかぁ。」
興味の薄い声が、ぽつりと落ちた。
視線の先では、リザードマンたちが崩れていく。
統率のない動き。浅い連携。無意味な抵抗。
「多少は見れるようになるかと思ったんだけど」
期待は、最初から大してしていない。
「やっぱり、素材が悪いと無理だね」
あっさりと切り捨てる。
そのとき。
“それ”の視線が、ゆっくりと別の方向へ移る。
――人影。
戦いを終えたばかりの数人が、村の中を進んでいる。
疲れを滲ませながらも、足取りに迷いはない。
向かっている先は――
「……あっちか」
わずかに、声が変わる。
ほんの少しだけ、興味が戻る。
「へぇ。そっち行くんだ」
枝に預けていた体を、わずかに起こす。
だが、それ以上は何もしない。
追うでもなく、止めるでもなく。
ただ、“知っている”ように見下ろしている。
「……まあ、どうでも良いか。」
関心が、途切れた。
次の瞬間。
風が強く吹き抜けた。
葉が揺れ、視界を覆い— —
そこにはもう、何もいなかった。
まるで最初から、何もいなかったかのように。




