3章-6
「風よ!切りk……!!」
——出ない。
次の瞬間、
内側で弾けた。
「っ!!」
衝撃で、体が吹き飛ばされ壁に叩きつけられる——
その直前。
「……まずい。」
エルが保護魔法で包み込み、難を逃れた。
しかし、
「暴走したな。」
「思い切り暴走してるな。」
「あらあら、派手に暴走しましたわね。」
三人は、ほぼ同時に口を揃えた。
保護魔法が解け、足元がふらつきつつも、
「すみません!」
と、頭を下げフウタは落ち込んだ。
「ほらみろ!まだコイツは使える様になって1週間だぞ!一回も実戦してないんだ!こうなるのは当たり前だろ!」
言い募るホムラに、
「あなたは黙ってなさい!」
と、カグヤ軽く手を振る。
次の瞬間、月輪がホムラの頭に叩きつけられた。
「何しやがるババア!外れないじゃねぇか!」
その一方で、エルは、静かに口を開き、
「魔法を使う時は、精神を落ち着け、集中するんだ。」
「は、はい!」
こっちはこっちで魔法のレクチャーをしていた。
「まさか、こうなるとは思いませんでしたわ。」
頬に手を当てながら慌てるカグヤに同意する様に、
「……僕もそう思います。」
と、淡々と答えるフウタだった。
「――さて」
コホンと一つ咳払いをして、
「話を戻しますわ」
エルと魔法の使い方を確認していたフウタに、カグヤは視線を向ける。
「少し見誤りましたわね。では、一つハンデをつけましょう」
「ハンデ……ですか?」
「えぇ。エルとホムラを使っても構いませんわ」
「おい待て!勝手に俺を使う前提にすんな!」
「黙りなさい」
「……っ」
「ただし、それぞれ一度ずつ。合わせて最大二回まで」
「分かりました!」
「では、再開ですわね。」
「エルさん!さっきの泡、もっとたくさん出せますか?」
「出来ないことは無いが、それで良いのか?少年」
「はい!お願いします!」
先ほどまでの頼り無かったフウタとは違い、今の彼の目は真剣だった。
「分かった。少年の言う通りにしよう」
エルが手をかざす。
「——泡よ……」
次の瞬間、無数の泡が生まれ、部屋いっぱいに広がった。
フウタは小さく息を吐く。
(エルさんの言う通りに落ち着いて、集中して……)
右手を前に出し、
「風よ!切り刻め!」
次の瞬間、無数の風の刃が走った。
泡を、空気ごと裂くように。
「エルの保護魔法ですわね。」
白く霞む視界の中でも、カグヤの声は揺るがない。
「目眩しにでもするつもりかしら」
ふっと小さく笑う。
「ですが——私には通用しませんわ!」
(さぁ、何処からきても——)
——違う!
その直後、
ガキィィン!
という音にカグヤの驚きは隠せなかった。
視界のすぐ上、——右斜めから、フウタが何かを振り下ろしていた。
「どうして!?あなたは武器が無いはずなのに!」
「やっぱりな!そう考えてると思ったぜ!」
答えたのはホムラだった。
「なんであんなに突っかかってたか分かるか?」
「お前の月輪を——わざと受けるためだよ!」




