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~シルフ舞う滑走路~ 6

    【プロキオン】


「冬はオリオンが綺麗だ。 本当に美しい‥‥ 」

第百十九代、白蓮会の五人の少女たちは、学院にそびえたつ鐘楼塔の上に立ちながら、夜空に浮かぶ遠い南の方角を眺めていた。


「いよいよ来月の三日だね。 会長」 

丹精な顔立ちの少女が褐色の肌を月の光に照らしながら、一歩近づく。


「そうだね。 ホント、アンタたちと過ごした白蓮会の1年間は楽しかった。 それも、あともうわずかだ。 それと、候補生のあの子たちも、面白いヤツらだったな」


 会長と呼ばれた少女は、瞳に笑みをうかべながら、皆との冒険の日々を思いうかべていた。

「ああ、この『追儺(ついな)雅楽(ががく)』が終わったら、もうあの子たちの時代だ。 ()()()()も思いっきり泣いてきそうだ。 アイツら図体の割に泣き虫だからな……。 


 そういえば、三年生のあの二人には、もう日取りは伝えてくれたかい? この一件が終わったら、面倒事につき合わせたことへのお詫びと、ありがとうを伝えないとね」

 

 そのとき、鐘楼塔の縁に腰をかけた、内巻きカールの少女が口元に指を添えると、微笑を浮かべながらこう話しをきりだしてきた。

「どおしてこの時期になると、魑魅(ちみ)魍魎(もうりょう)(たぐい)があそこへ集まってくるんでしょうかねぇ。 そういえば、私たちのときもたいへんだったな。 会長なんて泣きべそかいちゃったりして」


すると、会長とよばれた少女は、南の空を指さしてこう答えた。

「ごらんよ。 あの、ひときわ目を引く冬の大三角に、潤むように輝く星は『プロキオン』。 

こいぬ座の泣きはらした瞳。 天の川の向こうに去ってしまった、ご主人様を焦がれて永遠に待ち続けているという悲しい星座なんだ。 そういった焦がれる気持ちが強ければ強いほど、多ければ多いほど、それが悪いほうにいくと、いろんな負の感情を吸い込んで化け物になる。 如月(きさらぎ)はそういったものが膨らんで集まってくる時期(とき)なんだよ」 


 切れ長の瞳の少女が、すっくと立ちあがりながら叫ぶ。

「なにいってんだい! あたしら人間サマなんだから、(あら)(ほし)の川どころか、濁流、激流、なンだって、越えていかなくっちゃ前に進めないもんなんだ。 そうじゃなきゃ、やってらんないよ! 」

 

会長とよばれた少女はうなずきながら答える。 



「そうだね。 だから救ってあげないと」



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