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~シルフ舞う滑走路~ 1

女子たちのクロスしあう喧騒を表現したくって、実験的に書いてみたのです。 どうかしら?

『白蓮ものがたり』 ~妖精(シルフ)の舞う滑走路~ 

 一角獣の事件から、さかのぼること二月(ふたつき)(まえ)‥‥‥

挿絵(By みてみん)


    

    【 ()(づき)

 スポットライトから放たれたLEDの熱のない光が、天井一面につき立てられた(かざ)ぐるまのようにくるくると回っている。 風もないのにせわしなく動き続けるそいつらは、きっとドン・キホーテが挑み続けた『(うつろ)な怪物』の赤ちゃんたちだ。


 目の前には『T』の字に描かれた滑走路。 8ビートで(またた)く誘導灯が「オマエの進む道はこっちだよ」と、甘いささやきで私を誘惑し続ける。 足元を覗くと、奈落へと続く闇の深淵(しんえん)が広がり、その中へとぎゅうぎゅうに押し詰められた人々の顔は、真っ黒で何も見えない。 


 振り上げられたその手に握られたペンライトの怪しい光を誘蛾灯(ゆうがとう)にして、無理やり春色に染められた布きれたちが、人の手によって造られた蝶に化けて、音のない声で叫びながらひらひらと舞い狂う。 


 けたたましく鳴り響く、耳障りだけを誇張した流行りの音楽に身をのせながらステップを踏み続けると、歩数の数だけ私の心は冷めていった。


 

 この滑走(ランウ)(ェイ)では、私は飛び立つことができない‥‥‥。






「ミヅキちゃ~ん。 どうしたのぉ? なんだか今日は、ノッてなかったじゃない? これからまださぁ、モデルとしてステップアップしてくんだから、ガシガシいかないと! いまのゲンジョウ、イジできないってみんな言ってるよ」


 あいかわらず、言葉がひとつ足りないマネージャーの話を聞いていると、頭が痛くなる。


「そぉいえばさぁ、社長(シャチョー)が言ってた、アレ、考えてくれた? ホンゴシいれて、このギョウカイイッポンでいくってヤツ。 なんだっけ? あのガッコウ、勉強だってキビシイんでしょう? だいたいブッキョウナンチャラってところが古クサイよ! ミヅキちゃんのイメージにぜんぜんあわないなぁ。 ヤメちゃったほうがいいんじゃないかってみんな思ってるし」


 コイツ、本当に私の名前、漢字で書けるのか?ってくらい怪しい。 それに《みんな》って誰なのよ。 だいたいアンタたちにアタシの人生を選ぶ権利ないし、聞く気もないわっ! 


 でも、本当にどうしようかしらね。 これからのコト。  別に学校が好きってワケじゃないし、クラスのヤツラのおべんちゃらにもウンザリ。 だからといって、この仕事もなんとなくやっているだけの腰掛(こしかけ)だしね。


「そぉいえばさぁ、また、へんな手紙きてたって。 ストーカーっぽいってヤツ? たくさんファンもふえたし、まぁいろんなヒトもいるし、しんぱいばっかりしてるのもアレだけど、  そんなのもひっくるめて、ちゃんとプロダクションでホンゴシってヤツ? そうすると、安心みたいだよぅ」

 

 また「そぉいえばさぁ」かよっ! 聞きかじりばかりだけで、アンタの真実(ほんとう)はなんなんだ! いい大人が、どうしていかなきゃならないのかくらい、自分で考えて教えてみなよ!

 


 ‥‥‥違う! なにも考えてないのは私のほうだ。 ふわふわと流されてばかりで、飛び立った先の行先さえも見つけることができない。





    【()(づき) ②】


 今日はなんとなく学校にやってきた。 別に友達なんかいないし、欲しくもないけど。


 それでも、六時限分みっちりと授業を聞いていると、先生の顔ってこんなだっけ?とか、黒板の横に、こんなヘンな絵が飾られていたっけ?とか、いろんな発見があって、いい暇つぶしになった。 あいかわらず、そんな記憶は頭の中に残んなかったんだけどね。


 だけど、ホームルームが終わるころになると、クラスのみんなが浮足だして、どうでもよくって、どうにもならない話しに花を咲かせてくる。 そんなこんなで、なんとなく居心地が悪くなって、急いで荷物をかたづけたら、逃げるように校庭に駆けだしていた。


すると、わざわざ全力疾走で追いかけてくる、奇特(きとく)なヤツが話しかけてきたんだよね。

「ハァハァ、 ミヅキちゃん! 『POPeyesteen』の最新号読んだよ~。 もう鼻高々だよ。 

同級生が人気モデルなんだからね。 そいうえば、あの話って本当? ついにドラマにでるんだってやつ~。 minoくんと共演とかってメッチャ憧れる! あー私もミヅキちゃんのように、ツヤツヤストレートな髪だったらなぁ」

 

 いや~髪を移し替えたって、アンタは私にはなんないよ。 アンタはアンタらしく、自分の道を行くべきだね。 そんな私もどこへ進んだらいいのかなんて全くわからないけどさ‥‥‥。


 そう、わたしを導いてくれる《風の滑走路》はどこにあるんだろう??


 そのとき、体の真ん中を射貫くような激しい風切り音が耳の中にこだましたんだ。

後ろのほうに振りかえると、武道館の端っこの弓道場のほうから、背の高い女が思いっきり背筋を伸ばした姿勢で立っている。 ナマイキにも人の心を見透かすように、涼しい瞳で睨みやがって。 なんなのムカツク!


「あ~! リンコちゃんだ~! かっこいいよね! ミヅキちゃんと並んで、クラスの2大スターだよ! こんど、弓で全国大会にいくんだって! そうなると、さらに百合りんな女子のハートをズッキューンとしちゃうのかな? そうだそうだ! 今度二人で並んでみなよ~ きっと、お似合いのカップルみたいになるよ。 キャ~」

 

 なんなのこのコ。 勝手なコトをペラペラと。 だいたいなんで、あんなでっかいヤツと並ばなきゃなんないのよ。 それじゃあ私がまるで、大仏様のお供えものみたいじゃん!




それに‥‥‥。 なんでアイツは、ずっとこっちを見ているの? 


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