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51 あったかいんだから~

「ふふ、二人とも本当に筋がいいわね」


 ルシアさんは嬉しそうに言うと、作業机に置いた魔術本を閉じた。


「さて、私から教えるのはひとまずここまでね。この後はゆっくり休んでちょうだい」


「ありがとうございます、ルシアさん!」


 私とカインがお礼を言うと、資料室の入口でずっと私たちの練習を静かに見守っていたクララさんが、歩み寄ってきた。


「お疲れ様でした、お二人とも。とても素晴らしい魔力コントロールでしたね」

「ちょうどお昼時になりましたけれど……お腹は空いていませんか?」


 クララさんに言われた瞬間、カインのお腹からぐぅっと可愛らしい音が鳴り響いた。カインは顔を真っ赤にして両手でお腹を押さえた。


「ふふ、元気な音ですね。実は、これからマスカラ街の教会へお昼ご飯を食べに行こうと思っているのですけれど、よろしければお二人も一緒に行かれませんか?」


「教会で昼ご飯ですか?」


「ええ。あそこの教会では、お昼時に街の方々や旅人さんにとても美味しいお食事を振る舞ってくださるんですよ。それに事前に教会に少しお世話になると、お手紙で伝えましたから」


「それではルシアさんにご挨拶をして、さっそく向かいましょうか」


 私たちはルシアさんにお礼を告げて組合をあとにし、クララさんに案内されながら賑やかなマスカラ街の通りへと繰り出した。


(私たちが行ってる街より賑わってるし、みんな健康そう)


「クララさん、今日の教会のメニューって何ですか?」


「ふふ、日によって変わるので行ってからのお楽しみですが、シスターの作る温かいスープは絶品なんですよ。カインさんも、アイさんも気に入ってくださると嬉しいです」


「楽しみ! アイ、早く行こ!」


 待ちきれない様子のカインに手を引かれながら、クララさんと並んで石畳の坂道を登っていく。


 坂道を登りきると、木々に囲まれた場所に、教会が見えてきた。


「こちらがマスカラ街の教会です。さあ、中に入って美味しいお昼ご飯をいただきましょう」


 クララさんが扉を開けると、中からふわっと香ばしいパンとハーブの匂いが漂ってきた。


「こんにちは、シスター・マーサ」


「おや、クララさん! ようこそおいでくださいました」


 奥から現れたのは、包容力のありそうな優し笑顔を浮かべたシスターだった。 

 クララさんは丁寧にお辞儀をする。


「お手紙でお伝えしていた通り、今日お世話になるアイさんとカインさんを連れてまいりました」


「まあ、この子たちですね。ようこそ教会へ。さあ、ちょうどスープが煮上がったところですよ。中へどうぞ」


「お邪魔します!」

「失礼します」


 私とカインが挨拶をして中に入ると、食堂スペースではすでに街の人々や旅人が何人か腰掛け、楽しそうに食事をとっていた。


「うわぁ……すごくいい匂い!」


 カインが目を輝かせると、シスター・マーサは嬉しそうにカインに話しかけた。


「ふふ、お腹が空いているでしょう。温かいうちにたくさん召し上がれ」


 マーサさんに促されて席に着くと、湯気が立つ大きなお皿と、焼き立てのパンが運ばれてきた。具だくさんのスープには、柔らかく煮込まれた野菜が入っている。


「それじゃあ、いただきましょうか」


「「いただきます!」」


 私とカインはさっそくスープを一口すくって口に運んだ。


「……! すごく美味しい!」


「本当だ、体に染みわたる!」


「ふふ、お口に合って良かったです」


 一口食べたクララさんも満足そうに微笑んだ。


「野菜の甘みがすごくて、スープの出汁がじわっと広がるね!」


 カインは目を輝かせながら、あっという間に大きなパンをスープに浸してパクリと頬張った。


「カインちゃん、喉を詰まらせないように気をつけてくださいね」


 クララさんは柔らかく微笑みながら、カインの前に水を入れたコップをそっと置いた。


「だって本当に美味しいんだもん! アイもそう思うでしょ?」


「うん、魔道具の練習でちょっと疲れちゃってたけど、一気に元気が出てきたよ」


 私が頷くと、隣のテーブルで食事をしていた街の男の人が笑顔で話しかけてきた。


「だろー?」

「シスター・マーサのスープは、この街の一番の名物だから。旅の疲れも一発で吹き飛ぶぞ」


「ふふ、みなさんにそう言っていただけると作り甲斐がありますわ」


 お鍋を持ったシスター・マーサが通りかかり、満足そうに微笑んだ。


「今日一日だけのお世話になりますけれど、お二人とも、おかわりもたくさんありますから遠慮せずに言ってくださいね。しっかり英気を養っていってください」


「「はい! ありがとうございます!」」


 カインと私は、声を揃えて返事をした。


 温かいスープと焼き立てのパンを食べて、私たちは今日一日のエネルギーをしっかりとチャージした。


(この街は食料に困ってないんだな〜〜)

タイトルで世代がばれますかね〜〜?

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