↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/64

45、噂

 エマちゃんのお母さんに体験させた後は、私とカインはどっちとも魔力切れなので、その後は一日中森でゆっくりしていた。


 ──


「あ〜ねむい……」


 今日はカインと教会に行ってから、ローラーを受け取るか……

 それにしても、今日はなんか眠いな。


 目をこすりながら、リビングに行き、朝ごはんを食べた。その後は、カインと合流して、一緒に教会に向かった。


「ねえ、今日は凄く眠そうだね」


 カインが私に話しかけてきた。


「うん。少しだけ」


(昨日はテンションが上がり過ぎてたせいで、あんまり寝れなかったんだよね)


 街に着くと、門をくぐり、石畳の通りを抜ける。少し進むと視界がひらけ、陽光に照らされた白壁の教会の前へと辿り着いた。


 教会の前でお父さんと別れた後は、教会の中にいる、クララさんと部屋で少しだけゆっくりした。

 今日はローラーを受け取る前に、依頼がないか確認するために、私、カイン、クララさんの三人で組合へと向かった。


 ──


「あの、今日は何か依頼はありますか?」

 私は組合に着くと、早速受付の人に話しかけた。


「はい。アイさんとカインさん、お二人に頼みたい依頼があります」


「それは、隣のマスカラ街のことは知っていますか?マスカラ街にある『憩いの大樹』が、最近なんだか元気がなくて葉っぱが落ちてしまっているらしいんです。街の皆さんが生活魔法でお水をあげているのですが、全然良くならなくて」


 受付の女性は一枚の依頼書を二人の前に差し出した。


「そこで、魔法使い見習いのお二人にお願いしたいんです。アイさんの『水魔法』で土の中の水分の様子を調べて、カインさんの『土魔法』で根っこの周りの土を調べて欲しいのです」


「調べる……」


(つまり調査ってことだよね)


「調査なんて、私たちにできるかわかりません」


 私がそう言うと、受付の女性は微笑んだ。


「大丈夫です! お二人の活躍は少しずつですけど広まっていますし、マスカラ街にいる魔法使いさんのお手伝いのような立場ですから」


 私がカインの顔を見ると、カインは力強くうなずいた。


「任せてください! アイの水と私の土があれば、どんな木だって元気にしてみせます!」


胸を張って言い切るカインの言葉に、さっきまでの私の不安もすっと吹き飛んでいった。

受付の女性も嬉しそうに微笑んでいる。


「とても頼もしいですね。お二人で協力して、大樹を助けてあげてください」

「それとこちらの依頼ですが、もし都合が悪くなった場合でも、明日までなら断ることができます」


「「はい!」」


私たちは元気よく返事をすると、組合を後にした。

外に出てから、手元にある依頼書に目を通した。


「カイン、今回の依頼だけど……明後日に街に行かないといけないらしいよ」


(結構急だけど、今日のうちに親や神父様に相談したらいいかな。もしダメだって言われたら、明日依頼を断ればいいんだし)


私がそう言うと、カインは私の手元にある依頼書を上からのぞき込んできた。


「本当だ、明後日だ。それじゃあ、まずは予定通りローラーを受け取りに行けるね」


「うん、そうだね!」


私たちが頷き合っていると、クララさんが話しかけてきた。


「マスカラ街は私の故郷なんです。お二人とも、よろしくお願いしますね」


「えっ!そうなんですか?!」


思わず大声で聞き返してしまった私に、クララさんは可愛らしく微笑んだ。


「そうですよ」


「クララさんは、なんでこの街に来たんですか?」


気になったのか、カインが質問を投げかける。


「そうですね……カルキア教会にいる神父様の噂を聞いたから、ですかね」


(神父様って、隣の街にまで名前が知れ渡ってるんだ……)


私が感心していると、クララさんは手を叩いた。


「それはそうと、まずはローラーを受け取りに行きましょうか。神父様のお話なら、直接ご本人に聞いてみてはいかがですか?」


 私は依頼書を大切にポッケトへと仕舞うと、歩き出した。


──



 木工職人さんの所に着くと、店主のおじさんが「おお、できてるぞ」と、ローラーを出してきてくれた。ローラーの真ん中には綺麗な穴が空いていた。


「すごい……! ありがとう、おじさん!」


「大切に使えよ。それと、これ」


 おじさんはそう言うと、鉄の棒を渡してくれた。


「お代は銅貨十七枚だ」


 おじさんがそう言うと、カインは金貨をおじさんの前に出した。

 するとおじさんは目を丸くして、驚いていた。


「お、おまえさん。これ金貨か?」


 おじさんは、驚きつつも小さな声でカインに尋ねた。


「はい!そうです!」

 カインはそんな事をお構いなしと言わんばかりに大きな声で返事をした。


「そ、そうか……できれば金貨じゃなくて、銅貨か銀貨はないかい? 金貨だと、うちじゃお釣りが出せねぇよ」


「でも、これしかないです」


申し訳なさそうにカインがそう言うと、店主のおじさんは首をひねった。


「う〜〜ん、そうか……。それなら、支払いは後でいいぞ」


「えっ? いいんですか?」


「おう。お前さんたちの活躍は最近よく耳にするからな。それに、それだけ大きな金を持ってるなら、持ち逃げするような真似もしなさそうだしな」


(私たちの噂……なんか恥ずかしいな)


「ありがとうございます! それじゃあ、依頼が終わったら、すぐに払いに来ますね!」


カインは笑顔で、おじさんに向かって言った。


「おう!頑張れよ」


評価ポイントを入れてくださった方、ありがとうございます! 誤字脱字のご報告も本当に助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。