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43、お風呂③

「えへへ、少し頑張った」


 カインは顔を赤らめてそう言った。


「しかも小さな入口もある!」

(カイン凄すぎる!どうしてこんなに上手く魔法が使えるんだろう?)

「あとはお湯だけだね」


 私は家から桶を運んできた。


「これに水を入れて……」


私は魔法を使ってお湯を用意した。


「よし!」


 桶の中から白い湯気が立ち上る。


「おお……」


 カインが桶を覗き込む。


「さっきも思ったけど、やっぱり不思議だね」


「魔法って不思議だよね」


 私は少し得意になって答えた。すると、そのときだった。


「アイちゃーん!」


 遠くから声が聞こえてきた。


「あ、エマちゃんだ!」


 私とカインは顔を見合わせる。


 しばらくすると、エマちゃんがこちらへ走ってきた。


「お待たせ!」


「お疲れさま!」


「畑のお手伝い、終わったの?」


「ううん、お父さんに今日はアイちゃんとカインちゃんと遊ぶって言ったら、『今日はもういいから、遊んできなさい』って言われて、なんか早く来れちゃった」


 エマちゃんは土の壁を見ると、不思議そうな顔をした。


「これ、何?」


「お風呂!」


「これが?」


「うん!」


 私は胸を張って言った。


 ……とはいっても、土の壁と桶しかない。


 改めて見ると、かなり簡素なお風呂だった。


「本当にここに入るの?」


「大丈夫だよ!」


 カインが元気よく答える。


「今日の朝に、私たちも入ったから!」


「そっか……」


 エマちゃんは少しだけ不安そうに土の壁の中を覗いた。


「じゃあ……入ってみる」


「うん!」


 私はお風呂の入り方を説明した。まず布で体を洗って、それから桶のお湯に入る。


 エマちゃんは言われた通りに体を洗い、ゆっくりとお湯の中へ入った。


「……」


「どう?」


 私が尋ねるが、エマちゃんは少し黙っていた。


「……あったかい」


「でしょ?」


「うん」


 しばらくすると、エマちゃんの表情が少しずつ緩んでいった。


「なんか……気持ちいい」


「でしょ!」


 私は思わず笑った。カインも嬉しそうに頷いている。


「これ、毎日入りたいかも……」


 エマちゃんがそう呟いた。 私はその言葉を聞いて、少し嬉しくなった。


 けれど、その直後。


「でも……」


「ん?」


「これって、毎日どうやって準備するの?」


「実はそこまで考えてないんだけど、村の人たちがお風呂にハマれば、自然とそこら辺の問題は解決させると思ってるんだけど...」


「村の人たちを、このお風呂に順番に入れるの?」


エマちゃんが尋ねてきた。


「そう!」


「じゃあ、次は誰が入るの?」


「う~ん、ケインとか?それか、私のお兄ちゃんかな?」


「じゃあその次は私のお母さんね!」


エマちゃんが勢いよく手を挙げて言った。


「お母さんにも入ってもらいたい!」


「いいね!」


「きっと気に入ってくれると思うの!」


エマちゃんはお湯から上がると、布で体を拭き、服を急いで着始めた。


「え、もう帰るの?」


「うん!お母さんに言ってくる!」


エマちゃんはそう言うと、走っていった。


「そんなに気に入ったんだ」


「お風呂、凄いね」


カインが呟いた。


私はエマちゃんの背中を見ながら笑った。自分から誰かに教えたくなるほど気に入ってくれた事が嬉しかったから。


(なんか、凄く嬉しいな)

私はエマちゃんが走っていった方を眺めていた。


「アイ?」


「ん?」


「どうしたの?」


「ううん。なんでもないよ」


 私は笑った。


 お風呂を作ったときは、ただ自分たちが使えればいいと思っていた。


 でも、誰かが喜んでくれると、こんなに嬉しいんだ。


「……あ」


 ふと、さっきのエマちゃんの言葉を思い出す。


「お母さん、来てくれるかな?」


「どうだろう?」


 カインが首を傾げた。


「でも、エマがあんなに嬉しそうだったし、来てくれるかも」


「そうだね」


 私たちはそのまま待つことにした。


 しばらくすると、遠くから二人の人影が見えてきた。


「アイちゃーん!」


「あ、エマちゃん!」


 エマちゃんが手を振りながら走ってくる。


 その後ろには、エマちゃんのお母さんが歩いていた。


「こんにちは」


「こんにちは!」


 私たちは挨拶をした。


「エマから聞いたんだけど……」


 お母さんは土の壁を見る。


「本当にここがお風呂なの?」


「うん!」


 私は頷いた。



「うん! すごく気持ちよかった!」


「もう、エマったら」


 お母さんは少し困ったように笑った。


 けれど、少し興味がありそうな顔をする。


「……そんなに気持ちいいの?」


「うん!」


 エマちゃんが元気よく答えた。


「お母さんも入ってみて!」


「私も?」


「うん!」


 エマちゃんに背中を押されるように、お母さんはお風呂を覗き込んだ。が、


「この大きさじゃ、私は入れないわね」


お母さんは桶を見ながら、少し困ったように笑った。


「あ……」



 確かに、お母さんが入るには小さすぎる。


 私たちが入るだけなら問題なかったけど、大人が使うとなると話は別だ。


「じゃあ……もっと大きな桶が必要なのかな?」


「そうだね」


 カインが頷く。


「でも、どうやって作るの?」


「うーん……」


 私は腕を組んだ。


 さっきまでなら、カインに頼めば土で作ってもらえたかもしれない。


 でも、今のカインにはもう魔力が残っていない。


(カインの魔法で作るのは無理だよね)




 大きな桶を作るなら、木を使うのが一番良さそうだ。


「……木で作れないかな?」


「木?」


「うん。大きな桶を作ってもらうの」


 カインは少し考える。


「職人さんに頼むってこと?」


「そう!」


 私は頷いた。


 木のローラーを作ってくれた職人なら、桶を作ることもできるかもしれない。


 でも、

(神父様は先に魔法でどうにかできないか、考えろって言ってたよね)


「私の魔法でなにかできないかな?」

ブックマーク13件、ありがとうございます☺️

最初は1件ついただけでも大喜びしていたのに、気がついたら13件になっていて驚いています!

 ちなみに、ここまでお読みいただいた方は、すでに11万字もお付き合いいただいたことになります。本当にありがとうございます!

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