31、説教?
帰り道、洗濯機を作ることで服を絞るのがどれだけ楽になるかを、お父さんに熱弁した。
翌朝
黒パンをいつも通りに頬張ると、魔法で出した水で流し込んだ。
(いつか喉に詰まるかも)
そんなことを考えながら朝食を済ませ、お父さんと一緒にカインの家の前に着いた。
「コンコン。カイーン!」
ドアをノックし、カインの名前を叫んだ。
「はーい!」
少しすると、家の中からカインの声が聞こえてきた。
勢いよく扉が開き、そこには可愛い女の子がい。
「おはよう、アイ!」
「おはよう、カイン!」
顔を合わせるなり、カインは私の後ろにいるお父さんへ目を向けた。
「おじさんも、おはようございます」
「おう、おはよう」
お父さんは軽く手を上げて挨拶する。
三人揃ったら、今日も街の教会に向かっていた。
「ねぇ一応金貨を持ってきたけど、今日買うの?」
カインが街に行く道中でポケットに手を当てて話しかけてきた。
(う〜〜ん神父様に相談してからかな〜〜)
「神父様に相談してから考えよかな」
「うん、分かった」
カインが頷いた。
その直後、お父さんが足を止めた。
「......金貨?」
お父さんは足を止めてカインを見つめていた。
「カイン、......金貨を持ってるのか?」
「はい。依頼でもらったものです」
カインは落ち着いた様子で答えた。
「そうか......」
お父さんは少し黙り込む。
金貨一枚は平民にとって、とても大きなお金だ。
それをカインが持っている。
「.......そのこと、ヘェデルコ。親は知ってるのか?」
「...知りません」
カインは少しだけ視線を落とした。
お父さんはそれ以上、聞かなかった。
カインの両親とカインが少し距離があるのを、お父さんも知っている。
だからこそ、カインが自分から話していないことについて、無理に聞くつもりはないのだろう。
「そうか。なら、ちゃんと気をつけて持っておけよ」
「はい」
「金貨なんて、簡単に持ち歩いていいような物じゃないからな」
カインは頷き、お父さんはそれを確認すると、再び歩き始めた。
私たちもその後を追った。
門を越えて街に入ってしばらく歩くと、教会が見えてきた。
教会の前に行き、私は重い扉を開け中に入った。
お父さんは私とカインがちゃんと中に入るまで見届けていた。
教会の中には、シスターさんがいた。
シスターさんがこちらに気づくと挨拶を私たちにした。
「おはようございます、アイさん。カインさん。」
「おはようございます、シスターさん」
「おはようございます」
私とカインが挨拶を返す。
「では、部屋に行きましょうか。今日は神父様もいますよ」
「「はい!」」
私とカインはシスターさんについて行き、部屋の前まで来た。
シスターさんがノックをしたら、神父様の返事の声が聞こえ、シスターさんが扉を開けて中に入った。
「「おはようございます!」」
「おはよう」
「あのーちょっと相談したい事があるんですが...」
「ほう、相談かね? 一体どんなことだい」
神父様は穏やかな視線をこちらに向けた
「あのーー私、洗濯機を作りたいんです」
「せんたくき?」
神父様は首かしげた。
「はい。昨日、お父さんにも話したんですけど、洗濯した服を絞るのって、すごく大変なんです」
「だから、服を二本のローラーで挟んで、水を絞り出す道具を作ろうと思っています」
私は、二本のローラーを並べ、その間に濡れた服を通す仕組みを説明した。
「ローラーを回すと、挟まれた服が引っ張られて、水が押し出されるんです」
「なるほど......よく考えたな」
神父様は感心したように頷いた。
「それで、材料を買うためのお金が必要なんです」
「どのくらい必要なのかね?」
「まだ正確には分かりません。でも、ローラーを作るための木材や、ローラーの中心に通す棒、それを支える枠、金具やハンドルなんかが必要になるので、銀貨三枚ぐらいだと思います」
「それで、その費用はどうするつもりなのかな?」
「カインと半分ずつ出します」
私が答えると、カインも頷いた。
「二人で使うものだから、半分ずつ出そうって決めました」
「なるほど。では、アイは今、いくら持っているのかね?」
「銅貨五枚です」
「五枚...か」
神父様が呟く。
「だから、これから依頼を受けて貯めようと思っています」
「そうか。それなら時間を掛ければ問題はないだろう」
「はい」
神父様は少し考えたあと神父様が私たちに尋ねた。
「そういえば、君たちはなぜ依頼を受けているのだったかな?」
神父様からの問いかけに、私とカインは少し縮こまった。
「王都で暮らすためです」
「王都で生活するには、お金が必要だから、依頼をこなして稼ぐように言われました」
「そうだったね」
神父様は頷いた。
「王都で暮らすために働きなさい、と私が言ったのだ。生活に必要なお金を自分で稼がないと、暮らせないからね」
私とカインは黙り込んでしまった。
神父様は少しため息をついて、私たちに言った。
「それなら。生活費を優先しながら、無理のない範囲で進めるといいだろう」
(まぁ銀貨三枚くらいならいいだろう。それよりも一緒にいたシスターは何を考えてるのかね。後で話しを聞かないとな)
「「はい!」」
「あ〜〜それと良い事を教えて上げよう」
神父様はそう言うと、座り直して私に問いかけた。
「君は、蒸気の魔法が使えるのだろう?」
「はい」
「ならば、その魔法を洗濯に利用することは考えたのかな?」
「洗濯に?」
「水蒸気の熱を利用して水を温めることができる。温かい水なら、汚れも落としやすくなるかもしれない」
「たしかに...」
「まあ、次からは自分の魔法でどうにかならないかを先に考えなさい。どうしてもできない時に、今回のようなやり方をとればいいのだからね。だが、無駄遣いだけはしないようにな」




