↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/33

28、大変な神父様

「今日は、もう教会に戻って昼食にしましょうか」


「「はい!」」


私たちは、シスターさんの手を握ってた。


「ふふ、二人とも元気が良いですね。今日も白パンを用意してありますから、楽しみにしていてくださいね」


「白パン!」


思わず声があげた。

隣を見ると、カインも嬉しそうな顔をしていた。


(教会がずっと白パンを出せるのって、神父様がなにかしてるのかな?苦労してるって言ってたし)


白パンを食べられるというだけで、ちょっとした贅沢をしている気分になる。


「今日は二人とも、たくさん動きましたからね。お腹も空いているでしょう?」


「「はい!」」


「ふふ。それなら急いで戻りましょうか」


シスターさんに手を引かれながら、私たちは教会へ向かって歩き始めた。

さっきまで市場を歩き回っていたせいか、足は少し疲れている。

けれど、昼食が白パンだと思うと、不思議と足取りが軽くなった。

歩いて教会へ戻ると、私たちは部屋に向かった。


中に入ると、すでに机の上には白パンが皿の上に置かれていた。


「今日は一人二つですよ」


シスターさんがそう言いながら、私とカインの前に白パンを二つずつ置いてくれた。


「いただきます!」


「いただきます!」


私たちは白パンを勢い良くかじった、普段のご飯よりも美味しいせいなのかもしれない。パンを食べ終わると、シスターさんが午後の予定について話し始めた。


「それじゃあ、午後の予定を確認しましょうか」


「「はい!」」

シスターさんはさっきまで私たちの隣に座っていたが、向かい側に移動した。


「まず、アイさんの依頼で馬車が必要なので申請をするために、組合に向かいましょう。防火水槽に水を入れた後は、教会でお父さんを待ちますか?市場で洗濯機の材料は結構見れましたし」


「はい!教会でお父さんを待ちます」

(まぁ必要な物とかが大体分かったし、今日はもう市場に行かなくていいかな)


「カインさんもそれで良いですか?」


「はい!」


カインが返事をした後、シスターさんはパンが置いてあった皿を、持って部屋を出て行った。


「私はお皿を片付けてくるので、待っていてください。戻って来たら、組合に行きましょう」


「「は〜い」」


私が返事をすると、シスターさんは皿を持って部屋を出て行った。


「ねぇそういえば神父様を今日は見ないね」


「あっそういえば、見ないね。どうしたんだろうね」


私がカインに話しかけると、カインはハッとしたように目を丸くした。


「体調が悪いとか?かな」


「そうじゃないかな、後でシスターさんに聞いてみよう」


「うん!そうだね。少し心配だしね」


(神父様はいつも朝早くから教会の掃除をしたり、街の人たちの相談に乗ったりと、休む間もなく動き回っていると昨日の夜ご飯の時にお父さんが言ってたから、疲れが溜まってるのか?)


そんなことを考えていると、ドアが開いた。


「お待たせしました。それでは、組合へ向かいましょうか」


片付けを終えたシスターさんが、優しく微笑みながら部屋に戻ってきた。

私はカインと顔を見合わせると、シスターさんに尋ねた。


「あの、シスターさん。そういえば、今日は朝から神父様の姿を見かけない気がするのですが、どこかへ出かけられているんですか?」


シスターさんは一瞬だけ驚いたように目を細め、それから安心させるような穏やかな笑みを浮かべた。


「今日は街の外へと、病気や怪我をした人への訪問に行っているのです」


(あ、そうだったんだ。どこか体調でも悪いのかなと思ったけど、街の外まで行ってるんだ)


「神父様はいつもお忙しいですから、心配になりますよね。近隣の村にお住まいの信徒さんから頼まれて、今朝早くに出発されたのです。夕方には戻られる予定ですから、安心してくださいね」


シスターさんはそう言うと、私たちは安心した。


「よしっ! じゃあ組合に行きましょう!」


「ええ、行きましょうか」


「「はい!」」


私たちは、組合に向かうために教会を出た。組合の前まで来ると、組合に前に二人の兵士が立っていた。

「あれ、街の兵士さんがいるね」


カインが呟いた。


「そうですね。何かあったのでしょうか...」

組合の大きな木の扉の両脇には、鎧を身につけた兵士が二人、気むずかしい顔で立っていた。普段はあまり見かけない光景に、私は思わず足を踏みとどめる。


「こんにちは。何かあったんですか?」


私が疑問を隠せない様子で尋ねると、シスターさんも少し心配そうに兵士たちへと視線を向けた。


「あいにく内部で手続きの調整を行っていてな。用があるなら、手短に頼むぞ」


兵士の一人が硬い声でそう答えた。事件というよりは、何か特別な申請や確認で組合に来ているようだ。


「分かりました。馬車の申請だけですので、すぐ済ませますね」


シスターさんは穏やかに頷くと、少し緊張した様子の私とカインの背中を優しく押し、組合の扉をそっと開けた。


(何があったんだろう?何か怖い事じゃないといいんだけど)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。