20、依頼達成!ならず...
「なるほど...! 詠唱は、その想像をブレさせないための補助ってことか」
私の言葉に、カインは深く頷いていた
「カインさん、アイさん盛り上がってりとこ悪いのですが、そろそろ昼ごはんを食べませんか」
(教会では昼ごはんを出して貰えるのかな?)
カイン:「今日も貰っていいんですか?」
「はい。最近は貧困に苦しむ方が減ってパンが少し余っておりますので、『カインさん達にあげてください』と神父様がおっしゃっていたのです」
「えっ、本当ですか!? やったぁ、ありがとうございます!」
カインはぱぁっと表情を明るくすると、子供のように素直に喜んだ。
「はい。では、持ってきますね」
(そっか...中世風の世界だし、教会が貧民救済や福祉の役割も担っているのか)
シスターがパンを持ってきた。私たちは、パンを一個づつ木の皿から取りパンを食べていた。
「おっ、パンを食べているのか」
三人でパンを食べているとこに、神父様が部屋に入ってきた。
「はい」
「そうか。アイ、カイン、依頼は何だった?」
私が返事をすると、神父様は依頼についての質問をしてきた。神父様に依頼について話していると、鐘がなり、12時になった。
「では、依頼をしっかりこなすのだよ」
「「はい!」」
「うむ、良い返事だ」
神父様が部屋を出て行くと、シスターが口を開いた。
「では、私たちも組合に行きましょうか」
「「はい!」」
教会を出て、馬車の申請をするために組合に向かった。カインの依頼を先にやるか、話し合ったが、カインが『防火水槽の依頼を先にした方がいいんじゃない?』と言ったため、私の依頼を先にする事になった。
「あのー依頼が街外れなので馬車の申請をしたいんですけど」
「承知いたしました。それでは、組合の前に馬車を手配しておきます」
「ありがとうございます!」
私は組合に着くと、カインとシスターは長椅子に座り、私は馬車の申請に向かった。
申請を終えると、カインの隣に腰をおろした。
「申請って思ったよりもめっちゃ簡単だった。なんか、紙とかに書いたりするのかと思ってた」
「そうなんだ、結構気軽にできてよかったじゃん。アイ、少し緊張してなかった?」
「うん、まあ少しね。あっ受付の人が呼んでるから、行くね」
「うん」
私は小走りで受付まで行った。
「はい、なんですか?」
「馬車の準備が整いました。間もなく組合の前に到着いたしますので、表でお待ちいただけますか?」
「わかりました」
私はカインとシスターに受付の人に言われた事を伝えて、組合の表に出た。
「ねぇアイ、この前受付の人が馬の申請が通ったら、建物の裏にある厩舎に向かってって言ってなかった?馬車は違うのかな?」
「そうなんじゃない?馬車って大きそうだし」
「馬車ってどのくらい大きいのかな?聞いた事はあるけど、見たことないんだよね」
(私も写真で見たことあるぐらいだし、実際目の前にしてどのくらい大きか分からいんだよね)
「おーーい、頼まれた馬車を届けに来たぞーー」
「あっ来たみたい」
ガラゴトと重厚な車輪の音が近づき、大きな二頭の馬を引き連れた馬車が、私たちのすぐ目の前でピタリと停まった。
(大きすぎでしょ....)
「君たちか?」
「は、はい」
話し掛けてきたのは、泥のついた革の胸当てを着けた、頑丈そうな体格のおじさんだった。手に持った手綱を器用に扱いながら、豪快に笑っている。
「なんだ、ずいぶんと若い魔法使いさんだな! 俺は御者のバドだ。組合から頼まれて、依頼場所まで送っていくことになってる」
「あ、よろしくお願いします!私はアイで、こちらカインとシスターです」
私が元気よく挨拶すると、バドさんは「おう!」と力強く頷いた。
「よし、荷物はないな、それならさっさと乗りな。場所までは少し距離があるからな」
(想像以上にワイルドな御者さんだな......でも頼もしそう)
私とカインは顔を見合わせると、私は馬車のステップに足をかけた。
乗り込むと、中は木製のベンチが向かい合わせについていて、思ったよりも広々としていた。私とカインが並んで座り、シスターと向かい合っていた。車体がぐらりと揺れて、馬車がゆっくりと動き出した。
ガタガタと心地よい振動が伝わってくる。
「うわぁ、歩くより全然早いね。 景色がどんどん後ろにいってる」
カインは窓枠に手をかけて、外の景色を眺めている。
(揺れはあるけど思ったより悪くない乗り心地だな...)
しばらく揺られていると、段々と賑やかな店や民家が少なくなっていった。通りを行き交う人の姿もまばらになり、静かな雰囲気に変わっていく。
「おーい! 目的地が見えてきたぞー!」
御者のバドさんが前方の御者台から声をかけてくれた。
窓から少し顔を出して進行方向を見ると、街の外壁の少し手前、街外れの開けた場所に石造りの大きな構造物が姿を現した。あれが今回の依頼場所である防火水槽のようだ。
「ついたぞ! 気をつけて降りな!」
馬車が速度を落とし、パカパカと馬の蹄の音を響かせながら、指定の依頼場所の前でピタリと停まった。
「はーい。バドさん、ありがとうございました!」
私が先に馬車から降りる。続いてカインとシスターも、ステップに足をかけ、地面へ降り立った。
しっかりと土の感覚が戻り、ふぅと息をつく。少し前を見ると、地面に大きな穴があった。
「よし、 俺は依頼が終わるまでここで馬と一緒に待ってるから、依頼が終わったら声をかけてくれ」
「「はい!」」
私は依頼書を取り出した。
「えーーと、依頼者が1日に2回防火水槽に水が入れられてるか確認しにくるから...とりあえずもう水を入れていいのかな」
「これが防火水槽か......思っていたよりずっと深いね」
「アイ、これ1回でいけなくない?」
覗き込むと、石造りの底はわずかに水が残っているものの、あまり残っていなかった。
「これ1回じゃ無理だね、何日かに分けて水をいれるか。今日はとりあえず出せるだけ出すか」
「我が魔力よ、清き水に姿を変えよ」
空中からバシャバシャと水が流れ出し、底に残っていた僅かな水と混ざり合いながら音を立てた。大きな防火水槽は四分の一程度まで溜まった。




