18、依頼はなんですか!
昨夜の出来事は、私にとって今の親がどれだけ私の事を考えているのか、十分に分かった。
あの話の後は教会でカインと「どんな魔法が使えるようになったか」なんて雑談を交わしていた。
本当は早く家に帰って、魔法を使った掃除方法を色々試してみるつもりだったが、まあ今日やればいっか!
「アイ、行くぞ〜〜」
「うん、わかった」
私は朝食を済ませた後、お父さんと家を出た。そのまま、カインを呼びに行った。
「コンコン」
ノックして後、一歩さがる。そして最近知ったのだが、この世界は扉のノックが三回ではなく、二回である。
「アイー!」
扉が勢いよく開いた。
「カイン、教会に行こ」
「うん!」
私たちは三人で、静かな村の自宅から、街の門を抜けて、すでに活気ある街並みを通り、教会の前まで来た。
「じゃあ、今日も頑張れよ」
「うん!お父さんも仕事頑張って」
「おう!」
お父さんは教会の扉を開けて、私たちを中に入れた。
「頑張れよ」
私たちは小さく頷いたのを見て、お父さんは扉を閉めた。私たちは歩いて、魔法の練習をしていた部屋の前まで来た。
「ノックしてみるか」
「コンコン」
「入っていいぞ」
(ここって神父様の部屋ってわけではないのに、何でいつもいるんだろう)
ドアを開けたら、机の向こう側に神父様が座っているのが見えた。
「「おはようございます」」
「はい、おはよう」
「今日はシスターと共に、組合に行って依頼をこなして来なさい」
「「はい!」」
「うむ、良い返事だ」
満足そうな笑みを神父様は浮かべていた。
(やっぱり少しだけ、緊張してくるな〜〜。なんせ初めての仕事なわけだしね)
「まあ、そこの椅子に座って、シスターが来るのを待っていなさい」
私たちは小さく頷いて、椅子に座った。
「ねぇカイン、初めての依頼ってなんだと思う?」
「う〜〜ん、簡単って言ってたし、水とか土を出すだけでいい依頼じゃない?」
「多分だが、出すだけだの依頼だと思うぞ」
(出すだけなら、確かに簡単だけど、どんな依頼なんだろう?)
「出すだけってどんな依頼なんですか?」
腕を組んで少し考えた後、神父様は口を開いた。
「例えば防火水槽に水を出すとか、じゃないか?」
「「防火水槽?」」
私とカインが重ねて言った。
「なんだ、防火水槽を知らないのか」
「防火水槽と言うのは木製の建物を火事から守るために、街角に設置されている大きな木樽や石の槽の事だよ」
「「へーなるほど」」
(まあ確かにそれなら、出すだけか)
私とカインが防火水槽について理解した時にドアがノックされた。
「コンコン」
「入っていいぞ」
「おはようございます。神父様」
「おはよう。早速だが、この子たちと組合に行ってくれ」
「はい、かしこまりました」
「うむ」
(上下関係がすごいな、シスターさんと神父様で)
「ではアイさん、カインさん、行きましょう」
「「はい!」」
私とカインはいつも通り、シスターの後ろについて行って、教会を出た。
そのまま、会話をしながら組合に向かって歩いていた。
「そろそろ着くね」
「うん、こんな朝早くやってるのかな?」
「基本的には、初めの鐘が鳴った時点でほとんどの人は働いているので、大丈夫ですよ」
(はっや!!!6時に始業なの?!どんなブラックよ!)
「そんなに、早いんですか?!」
「ん?そうですよ」
シスターは落ち着いた声でそう言った。
(この世界の常識なのか、確かにいつもシスターさんも、鐘が鳴る前に教会に来てるしね。それにしてもヤバいな)
「へーーそうなんですか...」
「着きましたよ、では中に入りましょう」
私とカインは頷いて、中に入った。
「今回は初めての依頼ですし、まずはアイさんたちから受付の方に声をかけてみてください。私もすぐ後ろで見守っていますので」
「「わかりました」」
「カイン、行こ」
「うん」
私とカインは受付の前まで行く。
受付の人は昨日、対応してくれた人だ。
「あのーー依頼についてなんですけど」
「はい、アイさんとカインさんにお願いしたい依頼があります」
「依頼はなんですか?」
「はい、アイさんには防火水槽の補充。カインさんは窯焼き用の粘り気の強い土の補充です。詳細はこの紙に書いてます」
受付の人に、依頼についての詳細が乗っている紙を貰った。
(てっきりカインと同じ依頼だと思ってたけど、違うのか、よく考えれば属性が違うのに、同じ依頼にはならないのか。とういか、神父様が例えで言ってたのが、本当に依頼になった、神父様なんか凄いな)
「では、依頼主へ受託された旨を連絡しますので、1週間以内にご対応をお願いします。連絡は今日の午前中に行います。今日対応される場合は午後の鐘が鳴ったらでお願いします」
「はい!」
「...はい」
(ん?カインどうしたんだろう、元気がないな)




