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2、将来と魔法

 最近は大人の会話も理解できるようになった。ちなみに英語ではなかったので私の知らないどこかの国の言語かなとも思ったが、どうやら違っているようだ。その証拠として、大人たちが手から水を出していたからだ、つまり私は地球ではない”魔法”のようなものがある世界にきてしまったようだ。


 だがそれを喜んでいる暇などなかった、冬は私たちにとって厳しい季節であった。まだ始まったばかりなのだが、これ以上寒くなったらヤバくないか?暖房設備は暖炉だけであり、暖炉の火だけでは家全体を十分に温められず、布を重ねるしかなかった。冬の間は畑の土が凍りついて農作業ができなくなるため、普段は畑仕事をしている6歳上の兄・ソラは、最近は森に行って薪を採りに行っていた。

 ソラは母によく似た綺麗な金髪を持ち、少しぶっきらぼうだが根は優しい兄だ。


「ソラ、今日農作業はないの?」


「寒すぎて作物が育たないんだよ。最近は薪集めさ、もっと寒くなる前に集めておかないと、冬を越せないからな」


「そっか...ソラは大変だね」


「へへ、これくらい当たり前だろ」


 そう答えるソラの鼻先は寒さで真っ赤だったが、表情はどこか誇らしげだった。この世界の子どもたちは、こんなに小さいうちから生きるために家計を助けて働いているのだ。やがて空から白い結晶がひらひらと舞い降りてくる頃になると、積雪のせいで山へ薪を取りに行けなくなった。それと同時に、父も外へ仕事に行かなくなった。父は短髪の蒼髪で、がっしりとした体格をしている。


「お父さん、仕事は?」


「冬はお休みなんだよ。雪で歩くのも大変だし、何より家族で冬を越す準備をしなきゃいけないからな。.....まあアイはまだ一歳半だし、難しいことは気にしないで安心しなさい」


 お父さんが笑顔で私にそう言った、そりゃ私はまだ1歳半だしね、生きるので精一杯なのだ。というか生きているだけで満点なのだ。


「それにしても、アイはお喋り上手だねぇ。ソラがこの歳の頃は、まだ上手く喋れなかったけどなー」


(この年齢でこんなにスムーズに会話できるのは、やっぱり異常か。まあ、前世の記憶があるからなんだけどね)


 食事は冬の間は粗末なものばかりだった。固い干し肉や、秋に収穫して保存しておいた穀物のスープ、前世の飽食になれた身には少し寂しいメニューだが、背に腹は変えられない。


 冬が本格的に始まったとき、暖炉の火をつけるときにお父さんが魔法を使っていたのを偶然見た。普段は私は寝ている事が多いのであんまり見かけないのだが、その時に初めて火の魔法を見た。

 その魔法は人差し指の先から小さな火が、ぽっと咲き、その火はとてもきれいで見とれてしまうほどだ。

 その小さな火は暖炉の中に放たれて、暖炉に火がついた。魔法を使ってみたい!そんな事を思い聞いてみた。


「お父さん、それなあに?」


「ん? ああ、魔法のことか? アイにはまだ早いよ。それも1歳半は早すぎるよ」


 父は優しく笑うだけで、それ以上は教えてくれなかった。結局、私たちは寒さに震えながらなんとか過酷な冬を乗り越え、ふたたび暖かな春を迎えた。 


 そして2年半後、多分4歳の私は最近この不潔な生活に順応してきたが、転生前の生活を思い出したら、やはりなんとかしてこの”生活から抜け出したい”と思ってしまう。 


 4歳になった私は、家の中でのお片付けや簡単な掃除といったお手伝いをさせられるようになった。その中で分かったのだが、父は近くの街で兵士をしており、十三歳になった兄のソラも、いずれ「兵士見習い」として父の仕事についていく予定らしい。この世界では、兵士の子は兵士に、職人の子は職人に、親の職業を受け継ぐのが一般的なようだった。


「お母さん、私って大人になったらなんの仕事をすればいいの?やっぱり兵士?」


「ううん、アイはこの村か街で何かの職業につくのよ、アイは女の子だからお父さんも、無理には兵士にしいなと思うよ」

 お母さんはとても優しい口調でそう言った。

(う〜〜ん私は魔法の研究をしたいしな〜この村や隣町で魔法の研究者なんて、職業はあるのかな?)


 そもそもなぜ私が魔法をの研究をしたいかと言うと、魔法で前の世界での生活に近づけるのではないかと思っているからだ、まず文明レベルを上げるのは多分だけど私には無理だろう。けど、魔法なら完全には無理だとしても近づけることはできると思うけど、どうだろう?この「魔法」という不思議な現象を解明・応用できれば、現代に近い利便性や快適さを手に入れられるかもしれないのだ。


 少し話題を変えて魔法について聞いてみようかな、


「ねえお母さん、私ね手から水を出すやつを、やってみたいのどうしたらいいの?」


「アイには、まだ早いわよ」


「ええ〜、どうして? なんでダメなの?」


「手から水を出すのは、魔法と言って7歳未満の子には教えちゃいけない決まりなのよ」


(どうしてダメなのだろうか?確か中世のヨーロッパでは7歳から善悪の判断がつくとされていたから、そんな感じなのか?生活の仕方も似ているしね。)



「なんで7歳未満の子はダメなの?」


「まだ善悪の判断もつかないし、教会で洗礼式を終えていないからよ」


「洗礼式...?お母さんはどうやって魔法を学んだの?」


私の問いに、母は少し間を置いてから教えてくれた。


「魔法はね、その洗礼式のときに教えてもらうのよ」



母の言葉を聞いた瞬間、私は思わず息を呑んだ。

てっきり家庭内で親から子へ、生活に必要な魔法を少しずつ手ほどきしていくものだと思い込んでいたのだ。しかし実際は違った。この世界において、魔法という技術はすべて「教会」の厳しい管理下に置かれているのかもしれない。


 それを聞いた私は少し驚いた、てっきり親が生活に必要な魔法だけ、教えるのかと思っていたからだ。

なぜそう思ったかはわからないがなんとなくそう思っていたのだ。


(洗礼式まではこの生活を我慢しないといけないのか〜〜、耐えられるかな........)

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