14、混合属性
(この世界だと、お礼を言われた時は静かにお辞儀をするのが礼儀なのかな?)
「ではカインとアイはパンを一個づつ食べなさい」
神父様はそう言うと、白いパンを1つ手に取り、両手でしっかりと持って、力を加えて半分にしたら、片方を口元まで運んで一口かじった。片方のパンを食べ終わると、満足そうな表情でもう片方の白いパンに視線を向けていた。
「今年のパンはやはり去年のパンよりも美味しいな、私の苦労は無駄ではなかったか」
(苦労?神父様は畑仕事をしているのかな?それとも支援とか?)
「君たちも早く食べてみなさい、美味しいぞ」
「「はい」」
私とカインは返事をした後に神父様と同じ様に、白いパンを半分にして片方だけを一口食べた。一口食べて私は前世で食べていたパンを思い出した。
(あっ、この白いパンいつも食べている黒パンよりもすごく美味しい、硬さはそこまで変わらないけど、ほのかな甘み、黒パンのような癖がなくて食べやすい。なんかこれに似てる物を食べた事があるような...
あっ!食パンだ!味が凄い似てる!食感はこっちの方が硬いけど、味はそっくりだ!)
「神父様、このパンすごく美味しいです!」
「私、この白いパン好き!」
カインもこのパンを気に入ったようだ、黒パンのような穀物本来の風味がなく、癖もないため、子供はこのパンの方が好きと言う子が多いだろう。カインはもう片方もすぐになくなっていた。勿論、私も食べ終わっていた。
「凄く気に入ったようだな。君たちが今食べたパンの原材料である小麦は、土魔法で出した『肥沃な土』だけを使って栽培させてみたんだ。今まで食べたパンの中で一番美味しいだろう?」
「「はい!」」
(この世界のパンの中だったら一番美味しいかも。それよりも畑全ての土を『肥沃な土』だけにできるの?かなりの量が必要だと思うけど、あと神父様そういう事をさせる事ができる立場の人間なんだ、貴族よりは下だけど平民よりは上って感じかな?)
カインが不思議そうな顔で神父様を見つめて質問をした。
「どうやって『肥沃な土』だけで畑を作ったんですか?」
「どうやって作ったか。...簡単に説明すると、私が所有している土地を仕事がない人たちに貸してやり、その土地を畑が作れるぐらいには整えさせて、魔法使いを雇い『肥沃な土』を出してもらい、元々あったその土地の土と『肥沃な土』を入れ替えた、という感じだな」
(ざっくりしてるけど、大体のことはわかったけど。入れ替えたって結構大変な気がするけど、どうなのかな?)
神父様は椅子から立ち上がりながら、続けて話し始めた。
「気になる事はあるかもしれないが、そろそろ混合属性について話すぞ」
立ち上がった神父様は部屋の奥にある棚へと向かい、2枚の木札を手に取り机に戻ってきた。
「これが土と水、水と火の混合属性の詠唱文が書かれた木札だ」
「やっぱり私のやつは泥なんですね」
「私は水蒸気?ですか?」
神父様は視線を鋭くして私とカインをじっとみた。
(なんか、変な事しちゃったかな?)
「やはり、二人とも子供とは思えないぐらいに賢いな。『水蒸気』という言葉知っていたり、子供とは思えないぐらい礼儀がある。どこで教えて貰ったんだ?」
(どこでか...私は前世の記憶があるから、そう思われるかもだけど、確かにカインは他の子よりも賢いと思うけどそれは地頭が良いからだと思ってたけど、どこかで教えて貰ってたのかな?それよりも私はなんて答えればいいのかな?前世の記憶があるなんて言えば変な人扱いされるかもだし...)
私が答えに詰まっていると、先にカインが答えた。
「私は大人の人を見て学びました」
その答えに助け舟が出された様に私が感じた。
「わっ、私も同じです」
神父様は腕を組んで頭を少しひねりながら口を開いた。
「う〜む。礼儀に関しては完璧でもないし、子供なりに大人の真似をして、頑張ってできるだけ礼儀正しくしていると言われれば納得はいくが、知識に関しては少し納得はいかんが、まあそういう事なのか」
あんまり納得していない様子の神父様は小さく頷いた。
(まあ信じるしかないよね。私が同じ立場だったら天才の一言ですませると思うし)
「うむ、まあ君たちは特別賢いのだろうな。それ以外は考えられないからな」
私は少し安堵した。転生なんておかしな事を言わなくてすんだからだ。
「少し話しがそれたが、今から混合属性について話すぞ」
「「はい」」
「うむ、良い返事だ。まず混合属性は詠唱するだけではダメだ」
(詠唱だけではダメって、中級魔法と同じじゃない?)
「だが、そこまで難しいわけではないらしいから、とりあえずやってみなさい。私は混合属性ではないから、教えれる事はあんまりないからな」
(神父様は光の単一なのか)
私とカインはそれぞれの木札を片手で取り、もう片方の手に魔力を集中させて同時に詠唱した。
私は水と火が混じって、水蒸気になるのを想像していた。
(蒸気を想像するより、水蒸気を想像した方がやりやすいと思うから、水蒸気を想像して見ようかな)
「我が魔力よ、水と火が交わり蒸気と姿を変えよ」
「我が魔力よ、土と水が交わり泥濘と姿を変えよ」
私の手には何も現れなかった。しかし、カインの手のひらには泥が現れた。
「カイン凄い!1回でできるなんて!」
「うむ、魔法の才能がカインにはあるようだな」
「そ、そうなのかな。アイもすぐできる様になると思うよ」
カインは私と神父様に褒められて顔を赤くしていた。
「カインはどんな想像したの?」
「う〜んとね、私の第一属性は土だから土の下に水が隠れていて、だんだん土の中にしみてくる感じ?ちょっとわかりにくいかな?」
「う〜〜んなんとなくだけどわかった気がするかも?」
カインの曖昧な説明を聞いて私は実践してみようと思った。神父様は少し考えていた。
「そんな感じなのか...どうだアイはできそうか?」
「やってみます」
「あっあの、この泥どうしたら良いですか?」
「あー窓から捨てといてくれ」
「わかりました」
カインが窓から泥を捨てた後カインは私に近寄ってきた。
「アイ、頑張って!」
「うん!」
私は火が水のすぐ下にあり、水がどんどん蒸発していくのを想像した。
「我が魔力よ、水と火が交わり蒸気と姿を変えよ」
「おーーー」
「これで良いのかな?」
「これでいいぞ」
詠唱と共に、手からどんどん蒸気が湧いて出てきていた。私はてっきり水球が出てきて、それが蒸発するかと思っていたが、まさかの手から直接でるとは思っていなかった。
(え、神父様がこれで良いって言ってるから、これでいいんだろうけど、水蒸気がそのまま出てくるのね。後これはどうやって止めればいいのかな?手のひらの魔力を分散させれば良いのかな、手のひらに集めた魔力が徐々に変わっていくような感じだし)
手のひらに集めた魔力を体全体に分散させると、蒸発が止まった。
「ふ〜〜止まった」
最近は漫画やアニメを一気見していたので、なかなか更新できていませんでいた。
明日からは頑張って更新します。誤字脱字があれば遠慮なくお願いします!




