13、お金と貴族
私とカインは好きな魔法で何ができるか試して、神父様が戻って来るのを待っていた。
鐘が2回なり、もうすぐで12時になろうとしていた。
「ガチャ」
神父様が扉を開け戻ってきた。
「魔法の練習をしていたのか、あの木札に書かれていた魔法は初級魔法だから、簡単だっただろう?」
(初級魔法?中級、上級もあるんだろうか?)
神父様が続けて話した。
「初級魔法は各属性ごとに3つある、つまり君たちは初級魔法は全て学んだことになるな」
カインが神父様に質問をした、それは私も気になっていたことだ。
「初級魔法ってなんですか?」
「初級魔法と言うのは中級魔法以上の基礎になるものだ、因みに中級からは難しく、一点に魔力を集めて詠唱をするだけではダメだ」
(私は快適な生活や清潔な生活が送れるようになればいいから、中級魔法とか難しいのは覚える必要がないいし、私のイメージする中級魔法とかって派手で強そうな魔法って感じだから、興味があんまりないなー)
「とりあえず、中級魔法は難しいから初級魔法を広範囲に使えるようになりなさい、初級魔法を広範囲に使えるだけで、魔法使いとしての価値が大きく上がるからな」
(価値が上がるのはわかったけど、魔法使いってどういう定義なんだろう?ほとんどの平民も魔法を使えるし、基準がわからないや)
カインが私の気になっていたことを神父様に聞いた。
「魔法使いってどういうことですか?」
「うむ、初級魔法を全て使えることと、それを生業にしている者を『魔法使い』と言う。君たちは将来魔法使いになるだろうな」
(魔法使いか〜悪くは無さそうだよね、稼ぎも良さそうだし、なにより魔法の研究ができそうだよね。そうなったら、いろんな魔法を使って前世の近い生活を送れそうだよね)
「話しは少しそれるが今話しておくか」
神父様は少しため息をついて話しはじめた
「君たちは魔法使いの見習いとして魔法学校に行くまでに働いてもらう、なぜ働くか今から説明する」
「はい」
「はい」
私の後にすぐにカインも返事をした。
「うむ、良い返事だ。それでなぜ働くかだが、まず授業料は無料だが生活費までは出してくれないからだ。
魔法学校での食事は平民が使うための食堂があり、お金を払って買わないといけない。それ以外にも寮で暮らすことになるから寮費を払わないといけない、だから今のうちに働きお金を稼いでいないと後々大変になるかなら。何か質問はあるか?」
(学費無料ってのは、授業料と教材くらいなのかな?もうちょっと無料にしてよ)
「あ、あの質問いいですか?」
「うむ」
「どのくらいのお金がかかるんですか?」
「最低で金貨30枚ぐらいだろうな」
(金貨ってどのくらいなんだろ?私もカインも金貨なんて見たことがないか、どのくらいの価値かわからないんだよね)
「金貨ってどのくらいなんですか?」
「銀貨10枚で金貨一枚だ、因みに銀貨一枚は銅貨10で、銅貨一枚は小銅貨10枚だ、魔法使い見習いなら一つの仕事で銅貨5枚くらいだから、3年もあればある程度は稼げるな。平民なら魔法学校に通いながら、お金を稼ぐことが可能だから3年で金貨30枚を稼ぐ必要はないが、今のうちに稼いどいた方が後々楽になるぞ」
(結構魔法使い見習いの給料高くない?お父さんの給料はどのくらいかはわからないけど、豚肉が一ヶ月に1回ぐらいで豚肉と獣脂で銅貨2枚だったから、お父さんの給料はだいたい銀貨4枚と銅貨数枚とかかな?となると金貨30枚ってかなりの大金だな、5年間王都で暮らすならそのぐらいかかるのかな?)
「平民の魔法使いは本当に少ないから、かなり稼ぎが良いんだよ。見習いでも1日に2回仕事をすれば、それだけで銀貨1枚になる。だけど、平民の中で魔力が多くあって、それなりに裕福な家庭じゃなきゃ魔法使いにはなれないんだ。だからこそ魔法使いの需要は高い。貴族様たちが、平民のために魔法を使ってくれることなんて滅多にないからね」
(将来の夢は魔法使いで決定!!めっちゃ稼いでいい生活を送ってやる!ついでに魔法の研究をして前世の生活に近づければいいしね!)
「私は将来絶対に魔法使いになる!!」
急にテンションを上げた私に、カインと神父様は驚いた様子だ。
「わ、私も魔法使いになる!」
続いて声を上げたカインと私を、神父様はどこか呆れたような目で見つめていた。
「なぜお金が稼げると知ったらそんなに元気になるのは、子供にしてはマセすぎだな。 稼げるようになるには、まず初級魔法を広範囲で使えるようにならないといかんからな。まあいい、今日は昼ごはんを食べたら混合属性について教えるから、そのつもりでいなさい」
「「はい!」」
「昼ごはんは持ってきているのか? なかったら、この教会にあるパンを分けるがどうする?」
(本当は昼ごはんを食べない予定だったけど、教会で貰えるなら貰っておこうかな)
「教会にあるパンを少し分けて欲しいです」
「私も欲しいです」
私たちが昼ごはんを持ってきていない理由、それはこの村では毎日昼ごはんを食べられるとは限らないからだ。
この世界の平民には、そもそも「貯金」という概念自体がほとんどない。日々の暮らしで手一杯だからだ。
そんな中、私の家は村の中では少し裕福な方だった。カインの家をはじめとする周囲が安い粉を買って自分たちで焼いているのに対し、うちはすでに焼き上がった黒パンを買う余裕があった。だが、今日に限ってはパンがない。昨日の昼ごはんで少し使いすぎてしまったからだ。
「よし、じゃあこの部屋で待ってなさい、しばらくしたらシスターがパンを持ってくる」
「あと食事の前に貴族様との接し方を軽く教える」
(貴族様との接し方かーどんな感じなんだろう。魔法学校で貴族様とは会いそう)
「まず貴族様とあったら膝をついて目を合わせない様に下をむくんだ、貴族様が通り過ぎるまで待ちなさい
。そしてもし話しかけられても、許可が出るまでは喋ってはダメだからな」
カインは表情を変えずに聞いていた、この世界の常識なのだろ。
(貴族とは絶対に会いたくない、怖すぎる)
「まあ安心しろ、魔法学校では貴族科と平民科では校舎が違うため、基本的に向こうから来ない限りは会うことはないが、食事の際は貴族科の校舎に行き平民用の食堂を使わないといけないから、その際には気をつけなさい。食事の時間が違うから会うことはないと思うがな」
(あ〜〜よかった〜貴族と会いたくないよ、膝をついて、通り過ぎるまで待つなんてヤバいでしょ!)
「コン、コン」
2回だけノックされ扉が開いた、そこには白いパンを木製の皿に乗せて運んできたシスターだった。
「よし、シスターこの机に置いてくれ」
「はい」
シスターは机に向かって歩き出し、机の上に白いパンを4つ乗せた木製の皿を置いた。
「ありがとう」
神父様にお礼をされたシスターは胸の前で手を組み、静かに微笑みながらお辞儀をした。
私とカインもお礼をしたら、シスターさっきと同じ様に胸の前で手を組み、静かに微笑みながらお辞儀した。
(この世界だと、お礼を言われた時は静かにお辞儀をするのが礼儀なのかな?)




