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最弱の地図術士、ダンジョンを書き換える 〜敵の巣窟を自由自在に変えて最速クリアします〜  作者: いおにあ


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第5話 予想外の依頼

 

 ギルドに来ると、いつもと空気が違っていた。


 朝の喧騒はどこへやら、冒険者たちは険しい表情で掲示板を見つめている。壁一面に貼り出された依頼書の中央、最も目立つ場所に、一通の緊急依頼が張り出されていた。


『B級ダンジョン『深き岩窟』における救出依頼


 行方不明者:ギルバート・シュタイナー率いるB級パーティ『銀翼の剣』、四名。


 潜入より三日経過、連絡途絶。生死不明。


 救助隊を緊急募集する。報酬は通常の三倍。ただし、B級ダンジョンであることを理解した上で、自己責任で参加できる者のみ。』


「ギルバート様が……まさか……」

「あの『銀翼の剣』が行方不明だって? そんな馬鹿な」


 冒険者たちのざわめきが広がる。あのギルバートですら攻略に苦戦するとなれば、B級ダンジョンの恐ろしさを如実に物語っていた。


「救助隊……だけど、B級以上のパーティじゃないと……」

「今、街にいるB級以上は――いないな。みんな遠征中だ」


 受付の前で、冒険者たちが顔を見合わせる。C級以下のパーティでは、B級ダンジョンに足を踏み入れることは命懸けだ。


 その時、受付の奥から一人の女性が現れた。赤毛の受付嬢――ミルカ・ロジェだ。彼女の表情はいつもの冷淡さを保っていたが、目つきは一層鋭かった。


「皆さん、聞いてください」

 彼女の声に、ギルド内が静まる。


「この救助依頼は、級位に関係なく受け付けます。B級でなくても構いません」


 冒険者たちの間に、ざわめきが生じる。


 

「……どうする?」


 隣にいたリリエンが、小さな声で尋ねる。彼女も今日は朝からギルドに来ていた。今日もトオルとダンジョンに潜る約束をしていたからだ。


「僕たちは……F級とE級だ」

「それがどうした。お前には地図がある。それに、あの力もある」


 リリエンの猫耳がぴくっと動く。


「行くぞ、トオル」

「でも……」

「迷ってる場合か! 誰かが助けを待ってるんだ!」


 リリエンの言葉に、トオルの背筋が伸びた。

 そうだ。誰かが――ギルバートが、助けを待っている。


 彼はスケッチブックを抱え、立ち上がった。


「……行きます」


 トオルの声が、静かなギルドに響いた。


 周囲の冒険者たちが、驚いたように振り返る。柱の影から現れた、か細い少年と猫耳の少女。身に着けた装備は貧弱で、背格好もひときわ小さい。


「なに……あいつ誰だ?」

「確かF級の地図描きだったろう」

「馬鹿言え。あんな奴らに何ができる」


 嘲笑が、ギルド内に巻き起こる。しかしトオルもリリエンも、大して気にしなかった。もう慣れていたから。


「僕が行きます。地図は持っています」


 受付嬢ミルカは一瞬、何かを考えるように間を置いた。


「……わかりました。行ってください」


「ミルカさん!」

「待ってください! あいつらはF級とE級ですよ!」


 周囲の冒険者たちが抗議の声を上げる。しかしミルカは首を振った。


「条件は満たしています。それに――」


 彼女は周囲を見回した。


「誰か他に、行きたい方がいるのですか?」


 その言葉に、冒険者たちは沈黙した。

 彼らとて、C級以下のパーティ。B級ダンジョンに下手に潜れば、命すら落としかねない。


 そんな冒険者たちの無言の反応を見て、ミルカは静かにうなずく。


「よろしいですね? それでは、トオルさんとリリエンさん。お二人に、正式に依頼を出します」


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