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セレナの運命

(聖女セレナside)


太陽が沈みかけ、空が赤く染まった中、1台の馬車がエルフィンド王国の国境を超えようとしていた。

客車には、聖女セレナが乗っていた。

セレナは鞄からあるものを取り出し、うっとりとそれを眺めた。


毒殺した相手が身につけていたと考えると、気持ち悪くもあったが、そんなことなどすべて払拭してしまうほどの魅力が、この宝石にはあった。


セレナは、手の上にのせた大粒のルビーを満足そうに眺めた。


まさに私のために存在しているような色……。さすがは王家に伝わる秘宝のルビーだわ……。


心の中でそうつぶやきながら、セレナはネックレスを自分の首にかけた。


本当に私は、なんて運のいい女なのかしら……。


アレクシオ王子は子供の頃、魔の森で瘴気に侵された……。

そんな貴重な情報を得ることができた時、セレナは自分がとても幸運だと感じた。

これで王子に接近できると思ったのだ。


ただ、アメリアを婚約者に推していた王妃を暗殺する計画は、なぜか失敗に終わってしまった。

その時は、どうしてうまくいかなかったのかと、神を呪ったものだ。


けれど、結局神はいつも私の味方だった。

神は、私のためを思って、あえて王妃殺しを失敗させたのだ。

というのも、計画通りに事が進んでいたなら、今ごろ私は呪われた王子と結婚する羽目になっていたのだから……。


いくらイケメン王子でも、死んでしまえば利用価値など何もない……。

しかもあの王子、私よりもずっと年増で醜い女に興味を持つだなんて……。

あんな王子は、さっさと呪い殺されればいい……。

天罰が下ればいいのよ……。


セレナは笑いながら王子の不幸を想像し、幸せな気分に浸っていた。

そして、別のことを考えた。


今の私には、恐ろしいくらいに次々と幸運が舞い込んできている……。


なぜなら、秘宝のルビーばかりでなく、国宝級の魔道具まで手に入れることができたのだから。


セレナは鞄に手を入れると、ゆっくりとその魔道具を取り出した。


一つの指輪が、セレナの手のひらに乗っていた。


これが伝説の……、魔力封じの指輪……、聖女の生命を守る指輪だ……。


セレナはさっそく指輪を自分の指にはめてみようとした。


ただ、そうしようとした時、ふと妙な感じがした。


指輪が大きく見えたのだ。

確か、アメリアは小指にこの指輪をはめていたはず。それにしては、やけに大きく、男性の指にもはまりそうな品物なのだ。


どういうことだろうか?


この指輪は、確かにアメリアのポケットから奪い取ってきたもの……。


今すぐここで指輪をはめてその効果を試すつもりだったが、指輪の大きさを見たセレナは、はめるべきかどうかをもう一度考え直すことにした。


まずは、他人の指にはめさせて、安全かどうかを確かめるべきだわ……。


そう結論付けたセレナは、いったん指輪を鞄に戻した。


それから15分ほど馬車に揺られ続けた時、考えが変わった。


いったい私は、何を心配しているのだろうか……。

私は神に選ばれし聖女なのよ。神はいつも私の味方なのだから……。


セレナは再び鞄から指輪を取り出した。

見れば見るほど、魔道具特有の危険な魅力がセレナの脳を刺激してくる。


この指輪を今すぐはめてみたい……。


そんな誘惑に逆らうことができなかった。


セレナは手のひらに置いた指輪を左手でつまみ、そっと自分の右手中指にはめてみた。


「えっ!」


次の瞬間、目が眩むほどの電流が頭の中を駆け巡った。


何か異常なことが起こっている!


そう感じたセレナは、あわてて指輪を外した。


けれど指輪を外しても、身体の中には得体のしれない不吉なものが残ってしまい、それが消え去ることはなかった。


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