96_連れ去られたセルパンたち
セルパン救出作戦は成功した。
だが実は完全じゃなかった。
「囚えられているセルパンは売り飛ばされて全国に散らばっているのか?」
そう聞いたとき、道華はこう言った。
「売却したセルパンは、ほぼ全員、捕獲業者が一括管理していると聞いているわ」
そう。
「ほぼ全員」
と言ったのだ。
「権力者がセルパンの容姿を気に入れば連れ帰ってオモチャにすることもあるみたい」
道華はそんなことを言っていた。
早瀬賢治に連れ去られたレザールの娘、ナナのように。
実は、連れ去られたと思われるセルパンが3人いた。
「ルイ。俺の婚約者のアデリーナが、召喚されたまま帰ってこないんだ。
今回、君が救出してくれた仲間たちの中にいるかとおもったんだが......」
「私の友達のレオが、帰ってこない。ルイ、教えて!檻の中にいなかった?」
「うちの子が、ソジュンが......帰ってこないの。どうしたらいい?お礼は何でもするから」
夜眠ると、俺は夢の中で数人のセルパンからそんな相談を受けるようになっていた。
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「セルペリオール。あと3名のセルパンがまだ行方不明なんです」
「ふむ。聞いている。お前の情報をもとに救出にも動いたんだが、実はうまくいかなかった」
セルペリオールには早瀬賢治の自宅から奪った、「赤いファイル」の情報を伝えてあった。
「救出に失敗したんですか!?どうして」
「詳しくは、部隊のものに聞くが良い」
「わたしは今、かなり忙しいのだ。知ってるだろう。
50年に一度の魔導書印目の儀式が迫っていることを」
「はい」
「だから、ルイ。あとはお前がなんとかしろ」
「はい?」
セルペリオールに仕事を丸投げされた。
そんなわけで、俺は連れ去られた3人のセルパンの救出に動き出すことになった。
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すでに清めの檻から助け出されたセルパンたちは、回復し元気を取り戻しつつあった。
だが、囚われていたのは子どもたちがほとんどで、彼らは魂の保有もまだ少ない。
特に親兄弟のいないセルペリオールに属する子どもたちは、
親類から魂を譲ってもらうこともできず、飢えて困っているものが数人いた。
俺はシズオから継承した魂の大半を飢えのひどい子どもにゆずった。
シズオが契約した魂を摂取して、苦しんでいた子どもたちは元気になっていった。
こんな使い方なら、シズオもきっと許してくれる。
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心に引っかかっていることがもう一つあった。
道華のことだ。
セルパンたちが逃げ出したことは、当然、道華の耳にはいっているだろう。
ミーネが姿を消した。
だからミーネが裏切ったことは、もう明らかなはずだった。
そして、その裏切りに俺が関与していることも、きっと気づいているだろう。
有理の目の前で無理やりキスをさせられて以来、道華からは連絡がなかった。
彼女がいつ、俺の前に現れるのか。
そう思うと、安心できない日々が続いていた。
そして俺のいちばん大事な有理とのこと。
道華とのキスを見られたあと、彼女は電話で怒っていた。
「何が起きているのか知りたい」と言っていた。
有理とゆっくり話し合う時間が必要だった。
でも、どこまで真実を話すべきなのか。
今までのことを話すなら、川田洋平の死について話すことも避けられない。
有理と話したい。
でも話すのが怖い。
そんな思いが交差していた。




