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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
セルパン救出作戦
92/193

92_レザールの呪術

「ナナ!すまない!遅くなった」

「あたしのナナ。無事だった?」

レザールとミーネが、早瀬賢治の自宅へ遅れてやってきた。


ミーネとレザール、それにグースとリザベルは、深手を負ったセルパンたちを天界に運ぶのに追われていた。

囚われていたセルパンたちは弱っていて自力では、天界に戻れない。

抱きかかえて天界まで運んであげる必要があったのだ。


天界は今頃、大さわぎだろう。


俺と瞬は、人間の肉体だから、セルパンたちを天界に運ぶことは出来ない。

そこで、一足先にここのボス「早瀬賢治」の自宅へ踏み込んだのだった。

早瀬賢治の自宅の場所は、檻の見張りをしていた部下たちを脅して聞いた。


「パパ!ママ!」

ナナはレザールとミーネに抱きついた。

「娘よ。すまない。こんなに遅くなってしまった」

「いいの!そこにいる二人が助けてくれたのよ。

人間の瞬とセルパンのルイ」


「俺は洋平に引き続き、またナナも救ってしまった。セルパンから表彰状をもらっても良いと思うんだけど」

瞬は俺を見ながらニヤニヤ笑っている。

「あぁ......冗談抜きで、そうだな」


「名前は?」

レザールが瞬の前に立つ。

「俺?俺は上村瞬、だよ?」


次の瞬間のできごとに俺は目を疑った。

多くのセルパンを率いるボスのレザールが、人間の瞬の前にひざまずいた。

「ほんとうにありがとう、上村瞬。ナナは俺の宝なのだ」

瞬は慌てて言う。

「いいって!」


それから俺のほうにもレザールは視線を向けた。

「ルイ。君にもなんと礼を言ったら良いか分からない。君はセルペリオールをあるじとしているのに、俺たちのために動いてくれた」

「俺の仲間、グースとリザベルも、協力してくれました」

「うむ。そうだったな。彼らが俺を檻から出してくれた」

レザールはうなずく。


「レザール。そんなことより」

俺は視線を気絶している早瀬賢治に向けた。


「あぁ。分かってる。服従の印だな。あいつはナナの主人になってしまっている」

レザールが賢治を蹴飛ばす。

彼の手の甲には、たしかにナナのものと思える印がくっきりと見て取れた。


ゾッとするような恐ろしい形相でレザールは賢治を睨みつける。

「殺すしかあるまい」


レザールは小声でなにかを唱えると、賢治の体を分厚い氷で包んだ。


賢治は異変に気づいたのか、意識を取り戻して慌てている。

やがて自分の体をおおう氷に気づく。

呪術にかかった。


「う!うわぁ!止めてくれっ」

しかしレザールに情けはない。

レザールが腕をシュッと横に動かすと、氷はパリン!と音を立てて割れ、粉々になった。


早瀬賢治も氷とともに粉々になった。


「私としたことが。怒りのあまりに楽な死なせかたをしてしまった。

許せ、ミーネ。それにナナ......しかしヤツの魂は地獄で存分に苦しむことになるであろう」

レザールが氷のように冷たい声でそう言い放った。


「お、おぅ。なんか......やばいな」

瞬は粉々になった賢治をみて衝撃を受けていた。

彼にとって初めてみた死体なのかもしれない。


だが、瞬は粉々の死体を前にして、両手を合わせて祈りはじめた。

「悪者だけど死者だからな」

「そうだな......気が済むようにしろ。俺には祈る習慣はない」

俺は瞬の肩をたたいた。


しばらく祈ったあと、瞬は俺のほうを見て言った。

「賢治のデスクに気になる書類があった」

「書類?」

「あぁ。あの赤いファイルだよ」


瞬が指さしたファイルを開いてみる。

「......っ!」

ファイルの中には、捕らえたセルパンの顔写真と、そのセルパンを購入した人間の氏名、所在地などが記録されていた。


「そのファイル、念のため、持って帰ろーぜ」

瞬が言う。

「そうだな」

俺はうなずいた。

セルパンを支配している人間たちの情報だ。

今後なにかの役に立つかもしれない。



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