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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
セルパン救出作戦
89/193

89_ルートを守護するもの

レザールのいる拠点には、リザベルとグース。

ナナが囚われているであろう拠点には、ミーネと瞬、そして俺が行くことになった。


「ナナのいる拠点に行くのが、全員人間の肉体を持つものだという部分が気になる」

グースが考え込むように言った。

「弱ったセルパンたちを天界に運ぶときは、どうするのだ?」


「大丈夫よ。作戦のとき、あたしは憑依を解くわ。あたしの力なら一度に3人くらいなら天界に運べる。それにあんたたちも、終わり次第、こちらの拠点に飛んできてくれればいい」


「お前の中に、モトの人間の魂は残ってるのか?」

俺は気になっていたことをミーネに聞いた。


まさかミーネは、人間を殺して中に憑依しているのだろうか。

ミーネは道華の秘書の肉体に憑依したと言っていた。


「残ってるわ。あたしが抜けたら、彼女はなにも覚えてないでしょうね」

「女性が気の毒だ。早く、抜けてやったほうが良いと思う」

自分の肉体を好きに操られるなんて、最悪だろう。


「ルイたんはホント優しいわよね。その優しさ、危険よ?」

ミーネは俺に抱きついてきた。

「ちょっと!あたしのルイに触らないで」

リザベルが怒る。


「あらっ。リジーはルイたんのことが好きなのねぇ」

ミーネが嬉しそうに俺たちを見る。

「ルイを愛してるわ。それに彼はあたしの婚約者なの」

「えっ?でも洋平が好きなのは、北条有理だろ?」

瞬がキョトンとして尋ねる。


「あらっ?そうなの?ルイたん?そうなの?」

ミーネが口に手を当ててびっくりしている。

ミーネはしばらく天井を見つめたあと、ハッとした顔をした。


「そうなのね!だから、北条有理ちゃんの運命を変えたのね?

ルイたんは、彼女が人を殺して苦しむのを見たくなかったんだわ!」


「そうだ。俺は有理を愛している。

言っておくが、お前には絶対に有理の魂は渡さない」


「ほほぉーん。そういうことだったのねぇ。腑に落ちたわ。

有理ちゃんの魂はかなり極上なのよ。

でも、あたしが手に入れるのは無理そうね?

愛する女の魂は自分で食べるのね?」


食べるつもりはない。

有理が死ぬ前に、俺は灰になって、契約を無効にするんだ。

密かに心のなかでそう思った。

ミーネは俺の瞳をじっと見つめていた。

俺の考えを見透かしているのかもしれない。


「ああ。有理ちゃんの魂を食べたかったわ」

「ミーネ。お前、北条有理の魂を食らって

それ以上魔力をつけてどうするつもりだ」

グースが呆れている。


「いくらでも強くなりたいのよ。

あたしは、ルイたんのことが気に入ってるから、有理ちゃんの魂は諦める。

けど今後も、彼女の魂を狙うセルパンが現れるわよ。

もしかしたら、セルパン以外の魔物も狙ってくるかもしれない。気をつけなさい」

ミーネは俺に、ウィンクしながら不吉なことを言った。


----------------------------


「ようへーい。ビール運んで」

カウンターから広子の呼ぶ声がした。

「分かった!」

俺はビールと皿に乗った料理をみんなに運んだ。

グースとリザベルは、飲んだり食べたりしないのだが注文しないと広子に悪い。


「あたしこの店、気に入ったわ」

ミーネが言う。

「また一人で来るかも。うん、きっと来るわ」

「俺は、ビール出してくれない店は無理だなぁ」

瞬が言う。


ギィイイというきしむような音を立てて、店の扉が開いた。

ルートだった。

ルートのやつ、夜の時間帯にも店に来ていたのか。

いつもの落ち着いた様子で、店の隅の席に座った。


やがて、ルートが歌いだすと、セルパンたちは黙り込んだ。

瞬でさえ、遠くを見るような目をしている。


唄が終わると、ミーネが大きな拍手を送った。

「すばらしいわ」


「今日は、洋平の仲間がたくさんいるんだな。

みんな悪魔だ。その子は人間だけど、どこか普通じゃないな」

ルートが俺たちのほうを見て言う。


「彼には千里眼があるようね」

ミーネがにやりと笑う。


ミーネは急に席を立った。

ルートのそばに行くのかと思ったのだが、驚いたことに、ミーネはシルクハットの方へと歩み寄った。


「あんたは.....あの人間の守護天使なのね?ご苦労さまだわ」

ミーネはシルクハットの肩をポンポンと叩いた。


「セルパンふぜいが、気安く私に話しかけるな!このバカ」

シルクハットがミーネの手を振り払う。

初めて聞いた彼の声だった。

子どものような声で、小声なのに店の中に響き渡るような、そんな不思議な声だった。

驚いた。


広子も、シルクハットの声を初めて聞いたのだろう。

ぎょっとした顔をしている。


「これだから、天使は嫌い。お高く止まっちゃってさ」

ミーネは肩をすくめながら、俺たちの席に戻ってきた。


シルクハットはルートの守護天使だったのか。

まったく気が付かなかった。


ルートは人間だけど、既に人間を超越した存在になりつつある。

シルクハットはルートが天寿を全うするまで、見守り続ける天界から派遣された天使ということか。

ルートはその死後、シルクハットと同じ天使か、神に近い存在になるのだろう。


やがて有理にも守護天使がつくのかもしれない。

そうなれば、俺は用無しだなぁ。

っていうか、その前に俺は灰になってるか。

そんなことを思い寂しくなった。


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