88_チーム分け
「あたしだって今すぐにでもナナのもとに飛んでいきたい!
だけど絶対に失敗は許されない。
成功させるために、ぐっと我慢してここまできたのよ?」
ミーネが俺に掴みかかる。
「確かにミーネの計画のほうが成功の可能性は高い。
だけど人間を殺すのは反対だ。」
俺はきっぱりと言った。
「拠点は2箇所で間違いないんだな?ミーネ」
グースが冷静な声でミーネに聞く。
「間違いないわ」
「お前は拠点の住所、2箇所とも知っているのか」
「1箇所しか教えてもらえていないわ。ミッチーは用心深いから。
あたしがもし裏切ったら、もう一つの拠点にいるセルパンを灰にするって言っていた」
「道華は俺にも同じことを言った。
しかし道華は、ミーネと俺が手を結ぶとは、思ってもいないだろう。
今が出し抜くチャンスだな」
「ミーネのおばはんと、洋平の知っている拠点の住所をお互いせーので言ってみろよ。」
瞬がリザベルの前に置かれたビールをいつの間に飲みながら言った。
ヤツはグースのビールも狙っている。
「たしかにな。俺もミーネも同じ拠点を知らされてるかもしれない。
そうなると、もう一箇所の拠点の場所がまだ、不明ということになってしまう」
俺とミーネは、同時に拠点の住所を言った。
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幸運なことに、ミーネの知る拠点と俺の知る拠点は別々の住所だった。
つまりミーネはナナの囚われている拠点を知っており、俺はレザールの囚われている拠点の場所を知っていたのだ。
「私とリザベルそしてミーネ、ルイ、上村瞬。
これだけの人数がいれば、2箇所の拠点を同時に襲うことなど、たやすい」
グースが言う。
「そうね。一つの拠点にはレザールがいる。レザールを逃がせば大きな戦力になるし」
グースの言葉に、リザベルもうなずく。
「でも万が一、失敗すれば全員囚われる可能性もあるのよ?」
ミーネが心配そうに言う。
「よく分かんねーけど!人間を殺してセルパンを助け出すよりも、殺さずに助け出したほうが、あとあと気分もいいんじゃねーか!」
「そうね。瞬の言う通りよ。あたしもムダな殺しはしたくない」
「あんたたち、本気なの。
まぁ、あたし一人だと無理だと思っていたから。
たしかに仲間がこれだけいれば、可能かもしれないけど......」
ミーネがぶつぶつと言う。
「それじゃあ、拠点は2つあるんだから、チームを2つに分けよう」
俺はみんなに言い渡した。
「ミーネ、安心しろ。俺はセルペリオールに、拠点の場所を言わない」
「でも!それじゃあ、ルイは煉獄に堕ちるわ」
リザベルが慌てている。
「たしかにな。だけど、セルペリオールはレザールと堂々と戦うべきだ。
清めの檻に閉じ込められた状態ではレザールは負けてしまう」
人間を殺すこと無く、セルパンたちを助け出す。
俺は、有理に恥じることのない行動が最後にできる。
煉獄に堕ちて、灰になる覚悟はできていた。
「ルイ、心配しないで。煉獄にはあたしも一緒に行くから」
「わたしも行きます。ルイ」
リザベルとグースは口々に言う。
「煉獄ってなんだよ?なんかの罰ゲームか?
そんなもん、セルペリオールもやっつけちまえばいいじゃねえか」
瞬が笑いながら言う。
「あはは。瞬たん。ホントにあんた、いい子よね。大好き」
ミーネが瞬の頭をクシャクシャと撫でる。
「やめろ。ババァ」
瞬は、ミーネの手をうるさそうに振り払った。
「もう~照れないで。瞬たん」
ミーネが瞬を抱きしめる。
「クソっ!ババァ。俺にさわんな」
どうやら、いつものミーネが戻ってきていたようだ。




