表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
セルパン救出作戦
79/193

79_道華と有理

「卑劣さを示せ......?一体どういう意味だよ」


道華は有理の方にチラッと視線を移した。

嫌な予感がした。


「あなた、彼のクラスメイトなの?」

道華が有理に話しかける。


「有理は巻き込むな」

俺は有理を道華から遠ざけようと一歩下がった。


「北条有理です。あなたは誰」

有理は俺の背中から出てきて、道華と対面してしまった。


「これは失礼したわね。自己紹介もせずに。

私は笹山道華。笹山道元の姉よ」

「笹山のお姉さん?」

有理はちょっと驚いた表情をしている。


「あなた、彼が人間ではないことは知ってるの?」

道華は、俺のほうをチラッとみると、有理に聞いた。

「洋平は超能力者」


道華はアハハハと笑い声を上げた。

「あなた、この子に自分のことを超能力者だと言ってダマしてるの?」

道華は身をよじって笑っている。


「洋平?」

有理は俺のほうを見る。

「有理......」


「良いのよ。その子にすべてを説明する必要なんて無いじゃない。

あなたは、卑劣で仲間を裏切ることもできる、悪しき魔物でしょう?

女の子に嘘をついて自分の好きにすることくらい、何でも無い」


「魔物?意味がわからない」

有理が俺のことをじっと見つめる。

その目は、本当のことを話して欲しい。そう訴えていた。


「私のほうに来なさい?」

道華が俺に手招きする。

「こちらに来て、彼女の目の前で私にキスするのよ。

それが卑劣さの証明になるわ」


「......」


自然と足が道華のほうへと向く。

あきらかに服従の印の効力は強くなっていた。

自分の意志ではどうにもならない。

勝手に足が動いた。


なんとか力を振り絞って、足を止める。

まだ少し抵抗できそうだった。

額から冷や汗が吹き出た。

心と体がバラバラに分裂しそうな気がした。


「どうってことないわよね。

ついこの間も、あたしたち激しいキスをした。

あなたは私にしがみついてハァハァと喘いでいたじゃない」

道華は、いたぶるように、そう言った。


「洋平?どうなってる?」

有理の不安そうな声が聞こえる。


俺は道華のそばに行き、彼女にそっと口づけした。

はたから見ると、恋人に出会って自然とキスしている。

そんな様子に見えたかもしれない。

だが、実際は、恐怖で震えていた。


道華は俺の首に手を回し、さらに激しくキスをしてきた。


「行くわよ。車に乗りなさい」

「車には乗りたくない」


口では抵抗しても体はダメだった。

言いなりになるしか無い。

(早く乗るんだ)

そんな考えが頭を占めはじめていた。

道華に背中を押され、車に乗り込もうとした。


「待って!おかしい。行っちゃダメだ」

有理が突然、そう叫んで、車に近づいた。

「なにを言ってるの?彼はあたしと行くところがあるのよ」

道華が有理をにらむ。

だが有理はひるまなかった。


「洋平は怖い。行っちゃダメだ。洋平。

嫌なら行くこと無いんだ」

有理は俺のほうに手を差し出した。


「彼の邪魔をするのはよくないわ。

見たでしょう?彼は自分からあたしにキスをして自分の意思で車に乗ろうとしている。無理やりじゃないのよ?」

「でも何かおかしい」

 

「おかしいのは、あなたよ」

道華は有理の肩を、乱暴に押しやった。

足の悪い有理はバランスを崩し、尻もちをつく。


「やめろ!有理には手を出さないでくれ」

俺は必死に道華にすがった。


有理は道華をにらみ続けている。

その姿は勇敢だった。


「あなたは、洋平をイジメてる!そんなのダメだ!ダメだ!ダメだ!」

有理は道華をにらみながら指をさした。

有理は俺が今まで見たことがないくらい、ものすごく怒っていた。


「アハハハ!そうよ。イジメてるの。だけど、彼もそれを楽しんでいるのよ。

あなたのような精神障害者には分からないでしょうけど」

道華はそういうと、俺の背中をさらに押して、車の中に押し込んだ。


「洋平......」

有理が小さくつぶやく声が聞こえた。


車の中から後ろを振り返ると、有理がポツンと立っているのが見えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ