76_ミーネの目的
「痛いわよぅ」
ミーネは瞬に両腕を締め上げられ、バタバタと足を動かした。
「ちょっとぉ。セルパン捕獲業者の住所。知ってどうするつもりよ」
「セルペリオールに報告して、仲間を救出してもらう。
人間たちが呪い殺される前に、終わらせたい」
俺はミーネの目をジッと見つめながら言った。
ミーネは俺の言葉を吟味するように、一瞬、真剣な目をした。
だが、すぐにミーネはふざけ出した。
「やだ。ルイたんってば。そんな真剣な目で見ないで。おばさんドキドキしてきた」
ミーネは身をくねくねとよじった。
「ババァ!色気づいてねぇで、早くいいやがれ!」
瞬が後ろからどやす。
「ババァとは何よ!あたし、アラフィフだけど、こないだ街で30代ですかぁ?って言われたんだから。あんたたちくらいの若いイケメンだったわ。
ナンパされたのよ~!二人でお茶して、いろいろ話したわ。
そのあとなぜか絵画を買うことになったんだけどね。
そう言えばあのあと彼から連絡来ないのよ。電話もつながらないし。どうしたのかしらね」
「くそっ!洋平。時間がないぞ」
瞬がうめく。
「ミーネ、早く言え!お前本気で仲間が苦しんでもいいと思ってるのか」
「あれっ、ルイたん!質問なんだっけ」
ミーネと会話していると頭痛がしてくる。
「敵の拠点の住所を教えろ!」
「そのハナシだったわね!
忘れないうちに、答えるわ。
敵のアジトを、セルペリオールに言う気なら、死んでも教えてやらないんだから」
ミーネが急にドスの聞いた声で言う。
「なにっ?どういうことだ」
「とにかく!セルペリオール言うのはダメなのよ!」
そのとき、下で玄関の扉が開く音がした。
「まずいっ、帰ってきた」
「ミーネ。道華に言うつもりか」
「言わないよ。なんとなく、ルイたんの目的が見えてきた。
あたしと方向は一緒なのよ。あとで話し合いましょう。
んふっ。またあたしを羽交い締めにしてくれていいわ。
スキンシップしながら、また話しましょ......ねッ」
ミーネはそんな事を言った。
瞬が
「クソババァ。道華にしゃべったら殺す」
と言いながら、ミーネの両腕を離す。
そのとき、廊下を歩く足音がした。
こちらに向かってくる。
道華の部屋のドアが開いた。
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「あら?ミーネ、どうしてあたしの部屋にいるの?」
道華の声。
俺と瞬は、道華の拷問器具が所狭しと並べられたクローゼットに隠れていた。
狭いので、瞬の肩と俺の肩が重なり合っている。
少しでも動けば、拷問器具の鎖がガチャリと音を立てそうでヒヤヒヤする。
「聞いて!ミッチー。怪しい人影を見たの」
ミーネが道華の元へかけよる音がする。
まさか、あいつ。
道華に話すつもりか。
「人影ですって?」
「そうなの。外から見て、ミッチーの部屋に人影が見えたのよ。
だから、あたし、思わずお部屋に入って確かめてみたってわけ」
「それで?」
「だれもいなかったの。見間違えたみたい」
「そう。ならよかったわ。でも誰かが隠れていたりしたら大変ね?」
道華は、俺たちの隠れた隣のクローゼットの扉を開ける。
たしか隣には服がぎっしり詰まっていたはずだ。
「誰もいないわね」
道華が俺たちの隠れているクローゼットに近づくのが気配でわかった。
ミーネが言う。
「その拷問コレクションのクローゼットなら、さっき見たわよ。大丈夫だった」
ミーネが言う。
「わかった」
道華はそういうと、俺たちの隠れているクローゼットを素通りして、カーテンを勢いよく開けた。
「バルコニーにも、誰もいない。大丈夫なようね」
隣で瞬が、ほっとため息をつくのを感じた。
俺もハラハラした。




