73_真実を話すとき
有理は俺が超能力者だと、勘違いしている。
どうしようかなと思った。
そのまま勘違いさせておくか。
でもなぁ。さすがに違和感がある。
有理は俺が超能力者だと思って、目をキラキラさせて喜んでいた。
実際は、違う。
俺は超能力者なんてかっこいいものじゃなくて、いやしい魔物じゃないか。
有理の誤解を早急に解かないといけない。
「有理、違うんだ。俺は......」
「おっはよー!洋平!北条さん!」
タイミングが悪いことに典明が合流してきた。
「おはよう」
有理が典明に笑いかける。
「あっ、ねぇ。地理の宿題って今日までだっけ」
典明が有理に話しかけていた。
有理はいたずらっぽい顔で、俺に目配せした。
(他の人には誰にも言わないよ)
そんな顔だった。
二人だけの秘密が出来たみたいでちょっと嬉しくなる。
俺はほんとうは人の魂を食べて生きている、いやしい魔物。
本当のことを話せば、正義感の強い有理は、俺に幻滅するだろう。
自分がほんとうに超能力者だったらどんなに良いだろうと思った。
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「朝の話の続きなんだけど」
昼休み、有理に話しかけた。
「あっ、あの話?今、話すの?」
有理は、キョロキョロとまわりを見回して、小声になった。
「うん。今は話せないよな」
俺も周囲を見回した。
人が多かった。
「今は、人が多いし。それに説明しだすと昼休みじゃ終わらない。
今週末なんだけど、二人で会える?」
「......いいよ」
有理は少し戸惑いながらもOKしてくれた。
「消えない?次は?ほんとに怖かった」
「う~ん。たぶん、大丈夫だと思う」
召喚はいつされるか分からない。
授業中やみんなの注目を浴びてるとき、そんなときにもしも召喚されたら。
コツゼンと姿を消すことになる。
だが人間に憑依して4ヶ月ほど、全く召喚されなかった。
召喚は、そうしょっちゅう起きることではないのだ。
こればかりは自分でコントロールできない。
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セルパン取引業者の拠点住所を早急に調べなければいけない。
俺には、そんな宿題も残されていた。
道華から住所を聞き出そうとするのは、もう限界だった。
これ以上、道華にいたぶられたら服従の印が完成してしまう。
「道元、話があるんだけど」
有理に話しかけたあと、俺は道元にも話しかけた。
取り巻きの佐々木、犬山と大笑いして、何かを話していた道元は、俺を見て真顔になる。
「なんだ。川田」
「お前の姉のことなんだけど」
俺がそう言うと、道元は、佐々木と犬山を追い払った。
「姉ちゃんのことか。お前、姉ちゃんに会ってるみたいだよな」
道元が小声になる。
俺は道元の前の席に座った。
「あれから2回会った。道華は、俺に会うと必ず暴力を振るってくる。
どうしてあんなに暴力的なんだ」
つい道元に愚痴ってしまった。
道元はさらに小声になった。
「姉ちゃんは好きな男を半殺しにする。実際、病院送りになるほど激しい。暴力は姉ちゃんの愛情表現なんだ。
お前は、それだけ好かれてるってことだ」
「愛情表現?愛されてるとはとても思えないな。もうそろそろマジで限界だ」
「お前ドMか?嫌なら会わなきゃいいだけだろ?
お前はカワタホールディングスの息子だから、拉致られる心配もないんだし。
お前から行かなきゃ、姉ちゃんもお前に手出しはできないはずだよ?」
道元がもっともなことを言う。
「もしかして、お前は実はドMで、姉ちゃんに惚れたのか?
それなら、北条は俺のものだな?」
「お前の姉に惚れてないし、俺は有理のことが大好きだ」
「ふん。じゃあ、なんで姉ちゃんに会ってるんだよ?」
「俺も会いたくはないんだけど。
どうにもならないことが起きていて。
放課後、瞬も呼んで三人で話せない?」




