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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
7/193

7_憑依成功

「川田くん」

有理は懸命に洋平の肩をゆさぶるが、洋平の中には、すでに魂がない。


川田洋平はもう死んでる。

セルパンである俺には一目瞭然だった。


「あぁ......。き、救急車。川田くん。あぁ」


有理はパニックに陥っていた。

俺も同じように混乱していた。


俺は、なにをやってるんだ。

どうしたらいい?


マーヤの占いでは、有理は道元を突き飛ばして殺すはずだった。

だが俺が運命の道筋を変えてしまったのだ。


もうだめか

計画が丸つぶれ......


......いや......。

まだ間に合う。


俺は、川田洋平の死体に目をやる。

死んだのはほんの数秒?数分前?


俺は急いで洋平に憑依した。


-----------------------------


「うっ、ゲホッゲホッ!」

「か、川田くん!?」


俺は洋平の中に無事、入り込んだ。

心臓は動き出し、肺は空気で膨らむ。


俺の天使、有理の顔もしっかり見え始めた。

脳も大丈夫なようだな。


どうやら間に合った。

憑依は成功した。


「......ゲホッ!有理。俺のミスだ」

「えっ?川田くん?」


打ち付けた後頭部がジンジンと痛む。


セルパンのときも、実体化すると痛みや恐怖も味わうことがあるが、

これほどの痛みはなかなか味わったことがなかった。


「川田くん、あたしのせいで、頭ぶつけた。すごい音した」


俺は床に尻餅をついたまま、後頭部をさする。

洋平は頭部に致命的な損傷を受けていた。


このままでは、致命傷を負った洋平の肉体は、すぐに滅んでしまう。

すでに俺の意識は朦朧とし始め、魂が肉体から追い出されかけていた。


だがそんなことは、想定内だった。


「有理。い......今怪我を治すから。待って......くれ」


致命傷を癒やす魔力をマーヤから授かってきた。

一度だけ使える魔力で、二度目はない。


引き換えに、人間の魂を10。

マーヤに上納しなければいけなかった。

かなりキツイが仕方がない。


俺は目をつぶり、精神を統一。

小さな声で呪文を唱えた。


徐々に痛みが引いていくのが分かる。

だが俺の魔法能力は貧弱だった。

天界から同時にマーヤが補助呪文を唱えてくれているのを感じる。


マーヤは自分のスコープで俺の様子を見ていてくれたのだろう。


俺ひとりじゃ、治癒は無理だった

ナイスサポート。

マーヤ。いいぞ。

うまくいった。


ゆっくりと立ち上がる。


傷はすっかり治った。

それなのに、なんて体が重いんだ。

びっくりするほど、重い。

そして、動きがトロい。


川田洋平は、100キロ近いデブだった。

筋肉はゼロ、脂肪のカタマリ。


俺はとんでもなく分厚い肉体の檻に閉じ込められた。


「川田くん、歩ける。大丈夫。頭は」

「もう大丈夫。心配ないよ」


有理を安心させようと微笑んだ。


「でも川田くん。頭打った。強く。病院へ行く」

有理は心配そうに俺の顔を覗き込む。


うっ。

有理が俺を心配している。

なんて幸せなんだろう。


「大丈夫だよ。治癒の魔法ですっかり傷は癒やされた」


俺がそう言うと、有理はさらに不安そうな顔をした。

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