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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
セルパン救出作戦
65/193

65_テンション下がる

「川田くん。ちょっと来て!急ぎの用があるんだよ」

「えっ?」

放課後、2~3人の女に腕を引っ張られて、北校舎の裏に連れ込まれた。

「なんの用?」

北校舎の裏側では、一人の女が俺を待ち構えていた。


「川田くん!好きです。付き合って」

突然告白された。

周りを見回すと他の女たちは消えていた。

ものすごいチームワークだ。手際が良い。


誰だっけ?と思いながら話した。

人間に憑依したての頃は、いちいちみんなのフルネームを聞いていたけど、最近ではそれも止めていた。

よほど、敵意がありそうな相手なら、やっぱり氏名は聞いておきたいけど。


人間界になじんできていた。

そろそろ、人間に憑依して3か月が経とうとしていた。


「俺は、有理が好きなんだ。北条有理って言って同じクラスの子なんだけど......」

「知ってる。それ有名だもん。でも北条さんは川田くんのこと、好きじゃないんでしょ?」


ひどい......。

そんなにはっきりと言わなくてもいいじゃないか。


「う~ん。嫌われては、いないと思うんだけどね」

頭をかきながら自分自身をフォローする。


今月に入って何人かの子とこんなやりとりをしていた。

川田洋平の容姿は、かなり人気みたいだった。

太っている頃は、誰も見向きもしなかったのになぁ。


「川田くん、ナイショなんだけどね。北条さんは女の子が好きっていう噂があるんだよ。いつも森さんと一緒にいるでしょ?」

「森さん?あぁ、陽子か。有理の友達だよ?」

「森さんは、北条さんのこと好きなんだよ。中学の頃からね。

LIKEじゃないよ?LOVEのほう」


「えっ?LOVEって、愛してるってこと?陽子が有理を?」

「そうだよ!北条さんと森さんは......その......レズじゃないかってみんな言ってる。

だから、川田くんが北条さんをいくら好きでも無理だと思う」


「レズ......レズビアンってこと?う~ん。陽子と有理が。

仮にそうだとしたら、陽子は俺のライバルってことになるけど」

首をかしげながら答えた。


「普通だったら、川田くんみたいなかっこいい人に告白されたらすぐに付き合うよ?それが、見向きもされないんでしょ?レズだからだよ!」

「見向きもされないって.....へこむんだけど」


「ごめんごめん!とにかく北条さんはレズだから、いくら頑張っても無理だと思う。このままじゃ川田くんがちょっと可哀想だなって思って」


「でもそれって噂だよね?事実とは限らないし」

「それなら、北条さん本人に聞いてみなよ!きっと認めるから」


そんな話をその子としたのだった。


---------------


噂なんかに惑わされてはいけない。

だけど、実際のところ気になる噂ではあった。

陽子は確かに有理のことを大切に思っている。

陽子が同性愛者なのかと言われたら、判断がつかなかった。

もしそうだとしても、それは個人の自由だけど。


有理はどうなんだろう。

有理の魂の美しさなら知り尽くしている。

だけど有理の性的嗜好まで、俺は知らなかった。

魂が美しい同性愛者は、実際たくさんいる。

むしろ魂が美しい人間のほうが、性別の壁を気にせずに相手を愛することができる。


前に「ルイが好きだ」と言っていた。

だけどそう言えば、最近はそれも言わなくなったよな。


有理が女性を愛することに目覚めていたらどうしよう。

男よりも女のほうが好きだ。

そんなふうに考えていたら?


--------------------------


陽子が朝寝坊することが多くなった。

俺と有理は、陽子がいないので毎朝二人きりで登校することが増えた。


「陽子はどうしたんだろう。急に朝に弱くなったのかな」

俺がそう言うと、有理は黙って首を傾げていた。


「そういえばさ。この間、有理のバイト先に行けなくて残念だった。

今日、行っても良い?」

「いいけど。普通のカフェだよ?」


「有理の働いている姿が見たいんだよ!」

「えっ、なんだか緊張するじゃん」

「いろんな種類、たくさん注文して困らせちゃおうかな」

「えっ。そんな。やめてよ~?」

有理が焦った顔をしていた。

どうしてだか俺は有理を困らせたり、からかったりするのが楽しかった。


放課後になった。

有理のカフェには、陽子も一緒に行くことになっていた。

「あそこのミルクレープ、最強だから!」

「俺はコーヒーだけでいいんだけど」

「お前、一度食べてみろって」


有理のカフェでコーヒーを飲みながら、陽子に聞いてみようかな。

俺はそんなことをチラッと考えた。


「有理のことを愛してるのか?」って。

こんな聞き方は、重すぎるか。

そうだ。

「お前ら、付き合ってんの?」って軽い感じで聞くほうが良いかも。

陽子がケロッとした顔で「うん、付き合ってる」なんて言ったらどうしよう。

もう立ち直れない。


悶々としながら、歩いていると、スマホが鳴った。


「もしもし?」

「ルイ?さっきから何度もかけていたのよ。

いい?今後あたしからの電話は一度で出なさい。さもないと......」


一気にテンションが下がる。

道華からの電話だった。


「授業中だったりするんだから、仕方がないだろ。

それで何の用だよ」

「ビジネスの話。打ち合わせたいことがあるから、送った地図の場所に来なさい。ミーネも来るわ」

「分かった。けど寺なら行きたくない」

「寺じゃないわ。すぐに来なさい」


また道華の邪魔が入った。

「洋平?」

有理が心配そうに俺をみあげている。

「有理、今日はバイト、何時まで?」

「えっと。20時までだよ」


「それまでには行けると思う。

陽子、俺はちょっと用事を済ませてから行くことにする」

「洋平、最近忙しいなー」

陽子は呆れたような顔をした。


-------------------------


道華の送ってきた地図の場所についた。

ビルの34階まで上がって来いということだった。

エレベーターに乗る。


ふと前回、道華にエレベーターの中でされたことを思い出し、身がすくむ。


壁に押し付けられ、無理やりディープキスをされた。

怯えたり嫌がると、道華はますます興奮するようだった。


道華に触られると恐怖でなにもできなくなる。

不完全な服従の印だけど、実はけっこうな効力があるのだ。

そのことを道華にバレないようにしなければいけない。

バレれば、あの女はきっと、もっとひどいことをしてくるだろう。



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