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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
セルパン救出作戦
61/193

61_服従の印

「今、国内で確認できるセルパンの捕獲業者はひとつだけなの。

そこをつぶして、ウチの寺が日本唯一のセルパン取引の窓口になりたい」


「俺に何をさせたいんだ?それともこれもワナなのか?」

「あたし、すっかりあなたの信頼を失っているみたいね。

あなたにビジネスのパートナーになってほしいのよ」


「ビジネス?」


「業者をつぶす方法は考えてあるの。協力してくれると約束するなら報酬は500万よ」


やはり道華はセルパン捕獲業者についての情報を持っている。

焦らず、少しずつ核心に近づかなければ。


「その......囚えられているセルパンは、売られて、全国のあちこちに散らばっているのか?」


もしも全国に散らばっているのなら、救出作戦は難しくなる。


「いいえ。敵側から買収したスパイによれば、

売却したセルパンは、売却後もほぼ全員、捕獲業者が一括管理していると聞いているわ。おそらく売却済みの札でもかけられて、ときどき来る金持ちの願いを叶えているんでしょうね」

道華はコーヒーを飲みながら目を細めた。


「権力者や金持ちがよほど、そのセルパンの容姿を気に入れば、オモチャとして連れて帰ることもあるみたいだけど。ほとんどは、業者に管理も任せているそうよ」


なるほど。セルパンは一箇所にまとめて幽閉されている。

であれば、救出は簡単だ。

あとは住所が知りたい。

少しずつ情報をもらおう。


俺はいくつかの疑問点を道華にぶつけることにした。


「セルパン捕獲の商売って言うけど、そんなことが商売になるのか?」


「なぜ?とても儲かる商売になるに決まっているでしょう?

セルパンは願いを叶えてくれるのだから」


「だが、願いを叶えるには召喚が必要だ。

清めの檻のなかでは、召喚も不可能になるし。

それに願いは一人に付き1回。しかも叶えたあとは、人間のほうは記憶を失う」


道華は俺の言葉を聞き、少し驚いた顔をした。

俺は気にせず、疑問をぶつけた。


「囚えられたセルパンは、一体どういうふうに利用されるんだ?」


「あなた、何も知らないのね」

道華はため息を付いた。

「知らないって、どういうことだよ」


「200年も生きていて......まさか、服従の印をしらないとは」

「服従の印......?」


「清めの檻に入れられて、魂を食べることもできずに時間が経つと、やがてセルパンは、ひとりの人間に服従するようになるのよ」

「えっ?そんな話、聞いたことない」


「服従の印で結ばれた主人に対して、セルパンは召喚なしで願いを叶えてくれるのよ!もちろん実現可能な願いだけだけど。人間の方が記憶を失うこともない」


「願いの回数は?いくらでも叶えるのか?」


「無制限ではないでしょうね。願いを叶えるとセルパンは消耗する。長持ちさせたいなら、ここぞというときにだけ、使うことになるんじゃない」


道華はこちらをじっと見ながら、言った。

「セルパンは一人の人間と服従の印で結ばれ、他の人間には召喚不可能になる。

完全に主人専用の奴隷になるのよ!」

道華は興奮した様子で、そう話した。


「......」

衝撃のあまり、言葉が出なかった。


そんな話は聞いたことがなかった。

だが実際に捕獲の商売が成り立っているのだ。

この話は真実なのだろう。


「セルパンは、一体、どの人間に服従するんだ?

自分を檻に閉じ込めた人間にか?」


「セルパンは清めの檻のなかで、暴力を振るってくる人間に服従するのよ」

道華はなぜか、俺の目をじっとみて微笑んだ。


「セルパンが完全に服従すると、そのあかしに人間側の左手の甲に印が浮かぶ」


道華は俺の目を見つめながら、意味ありげに自分の左手の甲をさすった。


「契約のアザではなく印が?」

胸の中がざわつく。

「そうよ。単なる契約のアザではなく、支配したセルパンが持つ固有の印が人間の手の甲に浮かぶの。それを服従の印と呼ぶ」


「あなたの印は蛇がモチーフになっているのね。ということは、あなたは呪術に蛇を使う。それってとても珍しいんじゃない?

そして印はとても複雑なつくり。つまりあなたは、能力の高いセルパンということ。

これだけ複雑な印の持ち主を閉じ込めて拷問できたのは、運が良かったと言える」


道華は自分の手の甲をゆっくりと撫でながら言った。

その言葉に俺は思わず、息を呑んだ。


「俺の印が......まさか」


道華は、ゆっくりと自分の左手の甲をテーブルに乗せ、俺に見せた。


「そんなっ......」

心臓がドキドキと暴れ狂う。

額には冷や汗が浮かんだ。


まずい。

俺は道華と服従の印で結ばれてしまった?

そんな、まさか。


たしかに俺は、清めの檻で道華に拷問された。

しかしほんの数時間だけだ。

あの短時間で印が結ばれてしまうなんて有り得るのか。


だけど、あのとき魂の摂取もできておらず、体が弱っていたのは確かだった。

それにくわえ、道華の拷問は苛烈だった。


怖くて道華の手を、まともに見ることができない。

だが確かめければ。


覚悟を決めて道華の手の甲に目をやる。

道華の手の甲にはうっすら、紫色のアザが浮かんでいた。

俺の印をあらわす蛇が見えた。

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