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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
セルパン救出作戦
60/193

60_道華との食事

道華に連れて行かれたのは、高層ビルの最上階にある店だった。

窓が広いので、遠くまで景色が見渡せた。

店内に他に客はいない。


「ここに座りなさい」

道華が指差す椅子に座った。


「こないだは私、少し乱暴だったわね?洋平」


少し乱暴?

この女のおかげで、切り傷がまだ痛むというのに。

拷問を思い出し、また冷や汗が頬をつたった。

すでに帰りたくてたまらない。


それにしても、俺はどうして道華が怖いんだろう。


姿勢や歩きかたから見て、道華は護身に優れているとは思えない。

俺の武術を使えば10秒ほどで彼女を殺すこともできそうだった。


それなのに俺は道華が怖くてたまらなかった。


テーブルのしたで、道華のひざが、俺のひざに当たった。

ゾッとして、椅子を引いた。

ガタッと大きな音がする。


「すっかり私に怯えてるのね。

あなたは一体、いくつなの?まだ子どもだったのかしら」


「子どもではない」


「では、いくつなのかしら」

「......」

800歳だと言ってやりたかったが、嘘は見破られそうな気がした。


「私の予想では、200歳前後ってところかしら」

年齢をあてられてギョッとして道華を見てしまった。


「あはは!あなたって、ほんとに表情に出やすいわね。

そうやっていちいち反応してくれるから、つい夢中になってしまうのよ。

人間で言うと20歳.....?なぜ人間に憑依してるの?」


「お前に関係ない」

「まぁいいわ。あなたが人間のままでいてくれたほうが、いつでも会える。私にとっても好都合よ」


道華は俺から視線を外さないまま、店の人間になにやら指示を出した。

やがて酒がテーブルに運ばれる。


料理もテーブルに並べられたが、俺は手を伸ばさなかった。

道華は血が滴る肉をナイフで器用に切っていた。


「睡眠薬や毒薬は入っていない。安心して食べなさい」

「腹は減ってない」


「洋平がカワタホールディングス次期社長の養子だと知った。

あなたも将来、あの大企業のトップになる可能性が高いということよ。

あなたは一般庶民とは違う。

だから残念だけどあなたを囚えて、檻に閉じ込めておくことはもう不可能なの。

たとえ洋平の中身がセルパンだとしてもね。

危なすぎる橋を渡るほど、私は愚かじゃない」


「もっとも、本来、拷問する前にそれを調査しておくべきだったけれど。

あなたが魅力的だったから、調べる前にやってしまったのよ」

アハハハと一人で笑う。


俺は無言で道華の戯言ざれごとを聞いていた。


「あなた、いい人間に憑依したのね。権力者の息子。安全な隠れみの」


「もういいから。早く本題に入れよ。セルパンが囚えられている場所の話をしろ」


「あなたは情報をもらうほう。私は与えるほう。

私のほうが上なのよ?私のペースに合わせなさい!」


道華は、血のようなワインを飲みながら厳しい声でそう言った。


料理のあと、コーヒーが運ばれてきた。

すごくいい香りがした。


「あら。コーヒーが好きなのね?」

道華が微笑む。


しまった。思わず飲んでしまった。

「喉が渇いただけだ」

慌ててごまかす。


甘そうな菓子が運ばれてきたが、手を伸ばさなかった。


「本題に入るわ。セルパンをワナにはめて、政治家や大企業の幹部など、

権力者に売りつける商売があるのは知ってる?」


「はるか昔から、そういうことは起きている。

召喚され、ダマサれて清めの檻に閉じ込められるんだろ?

清めの檻のなかでは呪術も使えなければ、天界にも戻れなくなる。

そんな自由が効かなくなった状態で売りとばされる」


召喚されたまま、帰ってこない仲間は、たまにいた。

囚えられたセルパンは、道華のような変態に切り刻まれたり、実験台に使われたりするんだろう。

俺はこのときまで、そう思い込んでいた。


「セルパンの取引をウチの寺で一本化したいの。

つまり、ライバルの捕獲業者をのっとりたいのよ」

「なに?」


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