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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
清めの檻に囚われる
56/193

56_川田洋平と道元の過去

「そんな。川田は死んでるのか」

「そうだ。川田洋平は死んだ。俺のせいだ」


「このやろう!」

道元は俺を何発か殴った。

「ばか!もうやめとけ!」

瞬が道元の腕をつかんで、止めた。


「よくわかんないんだけど、洋平は、洋平を殺して洋平の中に入ったんだな?」

瞬が言った。

「あれっ?余計ややこしい。お前の本当の名前ってセルパン?」

「いや。ルイだ」

「ルイが、洋平を殺して、洋平の中に入った」

「そういうことになる」

「川田の魂を、もう一度返せ」

道元は俺をまた殴り始めた。


道元は、ゆかりと同じことを言う。

ゆかりも

「お兄ちゃんを返せ」と俺に迫った。

道元は川田洋平をいじめていたが、実は好きだったのだろうか。


「もう殴るなって。とりあえずルイの話を聞かないと!」

瞬は俺をさらに殴ろうとする道元の手をつかんだ。


-------------------


「なに?本当は俺が死ぬはずだった?」


「そうだ。覚えているか、有理に押されて階段から落ちそうになったのを」

「そうだ。あのとき、何かが俺を支えた......」

道元はアゴをさすりながら、あのときのことを思い出していた。


俺は瞬と道元に説明した。

有理を人殺しにしないために、人間に憑依したこと。

それが俺のミスで、道元は生き、川田が死ぬことになってしまったこと。


「要するに川田は俺の身代わりで死んだのか」

道元は黙り込んだ。

「俺のミスだ。俺が運命に介入してしまった」


「少しややこしいけど、だんだん理解できてきたような気がする。

俺はお前らと違って進学校じゃねえから、頭わりぃんだけどな」

瞬が首をかしげながら言った。


「川田はもう戻ってこないのか?」

「戻ってこない」

「そんな」


道元は馬乗りになっていた俺の上から降りると、体育座りになった。

そして、頭を抱え込む。


「道元」

「ちょっと放っておいてくれ」


道元の肩は震えていた。

泣いているのかもしれない。


-------------------


道元が黙り込んでいるあいだ、瞬が俺に話しかけてきた。


「ルイは、異常なほど北条有理が好きなんだな?」

「好きというよりも愛してる」


「北条有理とは、もうやったのか?一回やると、気持ちが落ち着くよな?」

「やるってなにをだよ」

「はぁ?セックスに決まってんだろ」

瞬は軽薄なことを言う。


「肉欲か。たしかにそういう気持ちもあるけど、有理のことが大事だし」

「なんだそれ。肉欲って」

瞬はなぜだかゲラゲラと笑った。


「俺の愛は深いんだ。人間にはわからないだろうな」

「へぇ。わっかんないな。この話やーめたー」

瞬は呆れたような声を出した。


ーーーーー


「俺は川田をイジメていた。だけど、小学校までは友達だったんだ」

道元がポツリと口を開いた。

「そうだったな。お前ら昔は、仲良かった」

瞬がそう言って、うなずいた。

「仲良かった?どうして洋平をイジメるようなことになったんだ?」

道元に尋ねた。


「川田が俺を裏切ったからだ......」

道元は赤い目をしていた。

泣いたのだろう。


-----------------------


小学校のある時期まで、洋平と道元は仲が良かった。

だが、道元が瞬のような不良と絡んだり、悪いことをするようになると、洋平は道元から離れようとした。


やがて、洋平は、学校の先生に道元の万引きを密告する。

そのことで、道元と洋平の中にミゾが出来てしまったということだった。


「そんなことで?」

俺は呆れた。

「ずっと友達でいようって誓いあった仲だったんだ。だから悔しくて」

「でも、このままイジメ続けるのは良くないって分かってた。

謝りたかった。いつもイジメたあと、後悔してたんだ!

最期にひとこと、謝りたかった......」


「追い打ちをかけるようで悪いが、洋平は自殺を考えていたらしい」

「えっ......そんな。俺のせいか?」


「両親は家にいないし、洋平は孤独だったみたいだ。

道元のせいだけとは限らない。それにどの程度本気だったのかも、分からないけど、自殺を計画していたのはホントみたいだ」

「そんな」

道元の手は震えていた。




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