41_ミーネの暗躍
「ここは......」
広がる赤い土の大地。
灰色の空。
その夜。
再び夢の中で天界に呼び戻されていた。
夢の中ではセルパンのルイの姿だった。
目の前にはセルペリオールが立っていた。
慌ててひざまずく。
「セルペリオール。お呼びですか」
「お前が眠らないと、こうして話せない。なんて不便なんだ」
セルペリオールは不満そうにイライラと言った。
俺に会うために、セルペリオールが実体化して人間界に降りてくるなんて想像ができない。
セルペリオールが降りてくれば人間界の木は腐り、空気はよどみ、事故が多発するだろう。
セルペリオールの影響で人々の心が荒んで、戦争が起きる可能性さえあった。
人間界の大混乱は、俺たちの望むところではない。
混乱の時代には欲望を持つ人間が爆発的に増えてしまう。
そうなると需要と供給のバランスが崩れ、俺達にとっても忙しすぎて厄介になる。
今くらいがちょうどいい。
セルペリオールが俺と会うためには、俺が眠るのを待つしか無い。
「セルパンをとらえる一派の話だが。お前は、なにかつかんだのか?」
「まだなにも」
「実は、わかったことがある。今回の件にはミーネの暗躍が視えた」
「ミーネが?」
驚いた。
ミーネと言えば以前、セルペリオールの寝所に火を放ち大騒ぎを起こした女だった。
ミーネはセルペリオールの元で活動するセルパンではない。
レザールをボスとし、俺たちとは別の組織に属するセルパンだった。
欲深いのが特徴で、非常に冷酷な魔物だ。
あいつは、古くから俺たちを苦しめてきた。
「ミーネは捕らえて地獄の奥深く、デスゾーンに閉じ込めたって聞きましたけど」
「逃げ出した」
「えっ?......」
(デスゾーンから逃げ出したなんて、聞いたことがない)
「ミーネが人間に力を貸して、我々を滅ぼそうとしている」
セルペリオールは俺にそう言った。
「運命が、あらかじめ定めたことなのだろう。
ミーネは、人間界の、お前のごく近くの人間に憑依している」
「なんですって。一体誰に?」
「そこまでは分からぬのだ。
いそぎ、マーヤに占わせているが、これ以上は、はっきりしない。」
「それで、俺はどうすれば良いですか」
ひざまずいたまま、セルペリオールに尋ねた。
「お前に命ずる。ミーネに注意して、あと4か月以内に敵の本拠地を突き止めろ。
本拠地......つまり、セルパンたちが囚えられている場所を突き止めるのだ。
場所が分かったら、勝手に動くな。俺に報告するのだぞ」
「分かりました」
「4か月でそれができなければ、ルイお前は、約束通り煉獄の番人として生涯を過ごすことになる」
------------------------
ベッドで目が覚める。
「敵の本拠地をつきとめろ、だってさ」
俺はセルペリオールの声音を真似てフザけた。
それにしても、よりによってミーネが絡んでいるとは。
ミーネなんかより、有理のことで頭がいっぱいなのにな。
ミーネは強い。
ミーネの尻尾を捕まえたとしても、俺とミーネとの実力差は大きかった。
ミーネはすでに500年は生きているし百戦錬磨。
俺はまだ200歳ちょっとの若造だ。
俺とミーネは実力に圧倒的な差がある。
典明に教わったゲームで言えば、ザコ敵とラスボスくらいの違いだ。
セルペリオールは俺を捨て駒にする気だろう。
人間に憑依した変わり者の若いセルパンが悪名高きミーネと渡り合うなんて、できっこない。
そう思っているに違いなかった。
一泡吹かせてやる......俺は負けるつもりはなかった。




