24_半年の猶予
赤い砂の上に座り込んだまま、リザベルと話した。
「半年で、なにか成果を上げることはできるのかしら」
リザベルは不安そうに言う。
「自信は無いなぁ」
リザベルは首を横に振った。
「なんとかしないと」
彼女は小さくため息を付いた。
「もしも、あなたが煉獄におちるなら、私も行く覚悟はある」
そう言うと、俺の頬に触れた。
「ねえ。危険を冒してあなたを守ったのだからご褒美をちょうだい?」
頬をなでていた彼女の指が、俺の唇をなぞるように移動した。
「ご褒美?」
俺は座った状態のまま、少し後退りしてリザベルから距離を取ろうとした。
しかしリザベルは諦めなかった。
「ルイ。分かってるくせに」
リザベルは、ぎゅっと抱きついてきた。
彼女の気持ちが伝わってくる。
俺のことを好きだという気持ちが。
「俺の気持ちは有理にある」
「今はそれでいい。実際にあの子を見てわかった。
確かにあの子は特別な子ね。
あたしも見たことがないくらいのパワーを感じた。
でもあの子は人間。少し待てば、滅びる命。
しかも魂の契約が結ばれているから、次の人生も無い」
リザベルは赤い砂の上に俺を押し倒した。
「ルイ。あなたのこと愛してる」
そう言いながら、俺に何度もキスをする。
抵抗できなかった。
大きな危険を犯して俺を助けたリザベル。
そんなリザベルを邪険にすることなどできない。
でも、俺は有理のことだけが好きだった。
「リザベル。俺はゆう......」
有理のことを言おうとする俺の口をリザベルのキスが塞ぐ。
「ん.....」
リザベルは俺のマントを乱暴にまくりあげ、麻のシャツの裾から手を入れてきた。
彼女の手が、脇腹にふれるのを感じる。
ふいに自分の意識が遠のくのを感じる。
「まって、いかないで、ルイ」
リザベルが慌てるが、俺の意識は薄れていく。
「絶対に諦めないから!この続きも必ず......」
リザベルの声が耳元で聞こえる。
気がつくと、俺は洋平の姿で、自身のベットで目が覚めた。
洋平のぽっちゃりとした手のひらを眺める。
「目覚めてよかった。危なかった」
どうやら夢のなかで天界に呼び出されていたのだ。
危ないところで目が覚めた。
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早朝のトレーニングとカラスたちへの餌やりを行った。
「お前たち!昨日は来るのが遅かったじゃないか」
俺はカラスに文句を言った。
お陰で道元にボコボコにされたのだ。
(あるじ。すみません。猫族と縄張り争いのケンカをしていたもので)
親玉が、言い訳をする。
「猫たちのことを襲うのも大概にしろ」
「最近は食べ物が少ないんです。若い衆がイライラして、つい......」
「食べ物ならやるから、子猫を食べようとするな。
だけど、お前らが大繁殖するのも困るから、多くの餌はやれないけどな」
「そうだ。我々セルパンに罠を仕掛けて捕らえる人間がいるらしい。
そのことについて何か知っているものは」
「わかりません」
「わかりません」
カラスたちはパンくずや、野菜くずを食べながら口々に言った。
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家に戻ってきてシャワーを浴びる。
朝のルーティン作業はこれで終わりだった。
いつもなら学校に行く時間だが。
土曜日の朝の7時。
家の中は静まり返っていた。




