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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
22/193

22_ゆかりと洋平の秘密

「みんな、雨に濡れてしまった。悪いことした」

「洋平のせいで雨が降ったんじゃないんだし」

典明が笑う。

(いや、俺のせいなんだよなぁ)


久々に雷を落とすほど怒って、俺もかなりの疲労を感じていた。


「また明日、学校でな」

「明日は土曜日だよ?」

「そうか。明日は休みなのか」

「洋平、しっかりしろよ?」

陽子が背中を叩いた。


-----------------------


「ゆかり。寒くないか?」

電車のなかでも、ゆかりはじっと黙っていた。

「あなたには、学校に友達がいるんだね?」

ゆかりは、俺のことを「あなた」と言った。


「えっ?......あぁ、あいつらのことか?

有理以外は、知り合ったばかりだ。

グースとリザベルは古い付き合いだ」

俺は頭をかいた。


「お兄ちゃんには、友達なんかいなかった。

いつも学校でいじめられてるって言ってた」


「うん、俺もそれは知っている。実際、今日もそいつらに殴られたわけだし」


ゆかりはまた、黙り込んでしまった。

「俺が許せないのは分かってる」

ゆかりは俺に視線をむけた。


「許すわけない。お兄ちゃんは先に逝ってしまった。

あなたが誰だか知らないけど、あなたには責任がある。

私を殺して。

私とお兄ちゃんは一緒に死ぬ計画を立てていたんだよ」


「えっ?」

聞き間違いと思ったが。


そこで電車が駅についた。


-------------------------


洋平とゆかりは二人で死ぬつもりだった?

駅から家までの道のり。


「一緒に死ぬ計画とはどういうことだ?」

と詰め寄ったが、ゆかりは黙り込んでしまった。

「自殺はだめだ。地獄に落ちてしまう」

俺はゆかりに言ったが、彼女は前を見つめたままだった。


「まぁ!濡れてるじゃないですか」

平林さんが俺たちを出迎えた。

「雨に降られて」


「お風邪をひいたら大変です。お風呂を沸かしますね」


ゆかりが先に風呂に入っている間、平林さんが小声で俺に聞いてきた。

「洋平さん。その顔、どうなさったんですか?」

「学校でちょっとケンカして」


平林さんはため息をつく。

「どうしましょう。奥様がご覧になられたら、心配なさいます。

洋平さん最近、あまり食べないし。痩せてきてます」


「奥様って、小夜子のこと?」

「小夜子って!お母様でしょう」

「あいつは、なんなんだ?

ロクに家にいないし、ゆかりに手をあげるし」


平林さんは、黙り込むとキッチンへ移動し、野菜を切り始めた。

「あいつ。小夜子はどうしてゆかりにだけ、あんな態度なんだ」

「洋平さん、ようやく反抗期ですか?」

平林さんは野菜を切りながらボソッと言う。


「奥様はゆかりさんを見ると、前妻の香織さんのことを思い出すのでしょう」

「前妻......?」

ゆかりは、小夜子の子どもではないのか。


「ゆかりさんは、どんどん香織さんに似てきています」


「そういえば、うちの父親はどこにいるんだっけ?」

俺は平林さんから情報をどんどん仕入れようと思った。


「洋平さんおかしな事ばかり言いますね。

お父様の高次さんは今ドイツにおられますよね」


「そうだった!そうだった!」

俺はウンウン、と頷く。


バタン!と扉の音がしてゆかりが出てきた。

「さぁ、洋平さんもお風呂で温まってきてください」

平林さんはそう言うと、料理に集中し始めてしまった。


----------------------------


俺は風呂に入った。


蹴られたり殴られた場所は、みにくく変色し始めていた。

これだから肉体はやっかいだ。


小夜子がゆかりを虐待する理由。

パズルのピースがあつまりはじめていた。

父親の高次には会えるのだろうか。


セルパンであれば、ドイツなどひとっ飛びで行けるのだが。


ゆかりも洋平も、親に放置されている。

それが俺の印象だった。

二人を愛してくれている人間はいるのだろうか。

平林さんは金で契約を結んでいるだけだ。


二人は孤独だった。

しかも洋平は学校でいじめを受け、ゆかりは家で虐待されていた。


それで二人で死を計画した?


湯に浸かりながら、痛む顔をさすった。



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