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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
21/193

21_謝罪

「えっ、セルパンのルイ?そんなこと言ったかなぁ」

まずい。

聞かれていたか。


「あぁ~あたしも、それ聞こえた。

中二病みたいなセリフだなって思った。

けどそのあとタイミングよく雷落ちたし、洋平の表情が怖かったよね」


「すごい雷だったよね。部活が無い日で良かった」

などと口々に話す。


「セルパンなんたら~って、どうせアニメかマンガのセリフなんでしょ?」

陽子がニヤリと笑う。

「あぁ~!そうなんだ。芝居か何か、どこかで聞いたセリフなんだ。

それでつい」

俺は陽子の話に乗っかった。


「お芝居。セルパンのルイのお芝居」

有理が首を傾げている。


ルイは俺なんだって言えたらラクなんだけど。


ゆかりが小さく震えているのが目に入った。

「ゆかり。大丈夫?

俺のせいだな。ゆかりをケンカに巻き込んだ」

姿勢を低くしてゆかりの視線に自分を合わせた。


「ほんとうにごめん。ゆかりに謝罪してもしきれない罪を負っている」

(そして亡くなった洋平自身にも。まだ生きたかっただろうに。俺が殺した。)


片膝を地面につけ、ひざまずいた。

そして、ゆかりに頭を下げた。

人間に頭を下げたのは、初めてだった。


ゆかりは視線を伏せたまま黙っていた。

許してくれるとは思っていなかった。


妹にひざまずいて謝罪する兄。

その様子を、有理たちはあっけにとられて見ていた。


「あっ、ねぇ。雨がやんだよ」

典明が明るい声で言った。


-----------------------


みんなで校門を出たところだった。

「ルイ!」

俺を呼ぶ声がした。


「えっ?」

振り返ると、実体化したグースとリザベルが立っていた。

「グース、リザベル!どうした?」


グースは茶色の髪をしたラテン系で筋肉隆々の20代前半の男。

リザベルは、白人で赤毛のやはり20代の女性だ。

ふたりとも日本人にはとても見えない。

場違いすぎる......。


「紹介する。俺の友人のグースとリザベルだ」

俺は有理たちに二人を紹介した。


「えっ?洋平の友達?こ、こんにちは~」

みんなは驚いている。


「あなたの怒りの声が天まで響いたものですから、何かあったのかと心配で降りてきました。でも大丈夫そうですね?」

「大丈夫だ!グース、あまり変なこと言うなよ」

グースにそっと注意した。

「ふたりとも、俺のことは洋平と呼ぶように」

小声で二人に告げる。

さっきルイと呼ばれたのは、みんなには聞かれていないようだった。


「いつ戻ってくるの?あなたがいないと寂しくてどうにかなりそう」

リザベルはそう言うと、体を密着させてきた。

アゴをぐいっとつかまれてキスされそうになる。


俺は後ずさりしながら慌てて顔を背けた。

「リザベル、まて」


「ぼ、僕たち邪魔かな?洋平?」

典明が顔を赤くして言った。

「おいおい、洋平。お前、恋人がいるのに有理に告ったのか?」

陽子が呆れたような顔をする。

「しかも、なんで、こんなにナイスバディで、ものすごい美人がお前と......?」


有理も俺のほうをじっと見ている。

「いやっ、違うんだ!リザベルはなんというか......婚約者なんだ」


「婚約者ぁ?」

みんなは、一斉に声を上げる。

「違うんだ。偉い人が勝手に決めた婚約者なんだよ?俺は別にこいつのことをなんとも思ってない」


「えぇ?」

陽子が目をむく。

「お前、いろいろ複雑な事情抱えてんだな」


「あなたが、北条有理?ふぅん......」

リザベルは有理のことを頭の天辺からつま先まで眺め回した。

「おいっ、有理から離れろ」

二人の間に割って入る。

リザベルが有理を呪ったりしないか心配だった。


「ゆかりが雨で濡れて寒そうだ!俺は帰る。

グース、リザベル、また今度ゆっくり話そう」


ゆかりの肩に手をおいて、二人に強引に別れを告げた。

「いいの?あの二人、洋平に会いに来た?」

有理が不思議そうに言う。

「いいんだ。来ようと思えば、ひとっ飛びで来れるんだから」


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