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闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
14/193

14_暴力の影

無事、関所も超え電車にも間違いなく乗って家に帰ってこれた。


自宅付近に着くと、カラスの親玉がふわりと俺の肩に舞い降りる。


「何だお前。よほど暇なんだな」

(明日の朝、約束の食い物、おねがいしますよ)

「分かってる」

(寺の息子は敵ですね?任せてください。若い衆を集めて明日、襲いましょう)


俺が教室で道元と闘っていたのを、窓から見ていたらしい。

部下にスパイをさせて、道元が寺の息子だということも、すでに突き止めたか。


「いや。いい。勝手なことするなよ?」

俺は親玉に釘を刺す。

こいつらは、

「やれ」

といえば道元を集団で襲い、目玉をくり抜くくらいは平気でやるだろう。


そこまでは必要ない。

子ども同士のケンカなのだ。


親玉は、カァとひと声鳴くと飛び立っていった。


--------------------------


「ただいま帰りました」

玄関のドアを開け、誰に言うでもなくつぶやく。

今日も、平林さんと妹のゆかりの3人だけだろうか。


しかし玄関には見慣れぬ女物の靴が置いてあった。


リビングで物音が聞こえる。

ガタッ!


「痛い!ごめんなさい」


ゆかりの声ではないか?

俺はリビングに急いで入った。


リビングでは見知らぬ中年の女が、ゆかりを叩いていた。

「あなたは、しつけがなってない!

あの女にそっくりだわ」

そんなことを言いながら、ゆかりの頭を叩き、背中を蹴っている。


「何してんだ!」

俺は、ゆかりをさらに叩こうとする中年女の腕をつかんだ。


幼い子どもが大人にぶたれている。

あってはならない状況ではないか?


中年女は俺を見て言う。

「あらっ、洋ちゃんおかえりなさい」

甘い声を出す。


「なぜ、ゆかりを叩く?お前は母親か?」

「洋ちゃん、何言ってるの?そういうの学校で流行ってるの?」

「なぜ叩くか聞いている」

俺は女の腕を強く握った。


「痛い!洋ちゃん離して。この子が言うことを聞かないから、しつけていただけでしょ。いつもやっているじゃない」


「しつけ?」

「背中を丸めてお菓子を食べていたからみっともないって思って」

「なんだそれ」


俺は小夜子の腕を離してやった。


「私が悪かったの。ごめんなさい。小夜子さん」

ゆかりは目に涙をためて、泣いていた。


「小夜子さん?」

俺はわけがわからなかった。

こいつは母親じゃないのか?


小夜子からはどす黒いオーラが広がっていた。

子どもを愛する母親のオーラではない。


「子どもに暴力を振るってはいけない」

俺は小夜子の目を見て説教した。

「洋ちゃん、なんだか......おかしい」

小夜子は怯えたような目をする。


「洋ちゃん。お母さんがいなくて寂しかったのね?」

やはりこの女は、洋平の母親なのか。


「ちょっと痩せたんじゃない。平林さんちゃんと料理してるの」

俺の両頬に手を当てる。

「お母さん、今夜から大阪で講演会があるの。

またしばらく留守にするけど。大丈夫かな」


「大丈夫だ。とにかく二度と暴力は振るうな。こんなに怯えている」

俺はゆかりをみた。

ゆかりは床にぺたんと座ったまま震え、頬は涙で濡れていた。


道元と言い、この母親と言い、どうやら洋平の周囲には「暴力」の影がつきまとっているようだ。


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