表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
連れ去られたセルパンの救出
102/193

102_真実


「......よ......へい」

道華に髪を触られた有理は、うわ言のように俺の名前を呼んだ。


「道華。なんでもする。願いも叶えるし、奴隷でいる。

だから、有理を解放してほしい」


「あなたは私を裏切った罪を償うべきよ」

「俺が裏切るのは、最初から分かっていたって、さっきそう言ったじゃないか」

「フフフ。そうね。そのとおりよ。裏切られたことにショックは受けてない。

それじゃ真実を言うわね」

「真実?」


「あたしはあなたの苦しむ顔が好き。だから彼女を痛めつけたい」

「そんな」


道華は異常だ。

「苦しむ顔が見たいなら、俺を痛めつけろ。俺の手足を切り落とせ。指を一本ずつ切り落としてもいい。有理は関係ない。彼女は何も悪くない」


「そうね。彼女は悪くないわ。あなたに愛されてしまった。強いて言うなら運が悪い」


「くそっ!道華、お前を許さない。お前の死後、かならず魂を八つ裂きにしてやる」

「そう?楽しみにしてるわ」

道華はうれしそうに笑うと立ち上がった。


「男たちを呼んでくるわ」

「男たち?」

「あたしとあなたは、彼女が痛めつけられている様子を眺めるのよ」

「道華!やめてくれ。有理は純粋な魂の持ち主だ。そんなことされたら壊れてしまう」


「そうなのね。それならなおさら楽しみね」

道華はそういうと、部屋のドアから出ていった。


「有理!有理!」

俺は有理に向かって声をかけた。

「う.....ん」

有理は眉間にしわを寄せて、うなっている。


俺は道華と会話しながら密かに、縛られた両手のロープをゆるめていた。

まだ動けない。

でもあと少しで外れそうだ。


しかし仮に、ロープが外れたところで道華が戻ってきてしまえば意味がない。

道華に「大人しく座っていなさい」と言われれば、俺は言われるがまま、座っていることになる。


どうしたらいい。

グースもリザベルも俺をスコープで覗いてくれていないようだ。

見ているならとっくに助けに来てくれているはずだ。


「有理、目を覚まして。起きて逃げるんだ」

有理が起きて、逃げてくれれば良い。

そう思って俺は有理に声をかけ続けた。


「よう......へい。......あれっ、ここどこ?」

有理が目を覚ました。

ここがどこだか分からず、目をキョロキョロさせている。


「有理。落ち着いて」

「洋平?あっ、あたし。お花。落としたんだ」

有理は自分の手のひらをじっと見ている。

「お花!あぁ。ごめんなさい」


「有理。花のことは忘れるんだ」

「いやだ。嬉しかったのに」

そう言うと有理は泣きそうな顔になった。

まずい。

パニック一歩手前だ。

まずは落ち着かせなくては。


「あぁ。お花。落とした」

「大丈夫。きっとまだあそこに落ちてるよ」

「まだ落ちてる。きっと」

「そうだよ、あとで拾いに行こうね?」

「うん。行こう」

有理は少し落ち着いたようだった。


「有理、起き上がって立てそう?」


有理が上半身を起こした。

「いいぞ。立って。ドアまで行って」

「無理だ。足が動かない」

「そんな」


「どうして?洋平!足が動かないよ」


有理は強い薬を飲まされたんだろうか。

これでは彼女一人で逃げるのは絶望的だろう。


「大丈夫だよ。時間が立てば、足は元通りになる」

「でも。どうなってる。ここはどこだ。人たちが車に乗せた。無理やり」

有理は涙目になっていた。


「有理。落ち着いて、時間がない」

「洋平。ここはどこだ」

「有理。深呼吸して」

俺がそう言うと、有理は素直に、深呼吸し始めた。


「これから少し、怖いことが起きる。

だけど、きっと切り抜けられる。一緒にがんばろう」


「怖いこと?嫌だ。怖いのは苦手なんだ」

有理は涙を流しながら首をふるふると横にふる。


「有理、勇気を出すんだ。

俺は道華にイジメられている。俺をイジメるやつをやっつけるって前に言ったよね?」

「うん。やっつける」

「だったら、できる。有理。これから俺の言う事をしっかり聞いてほしい」

「でも」


「有理。がんばるんだ!有理は俺を守ってくれるって言った。今がそのときなんだ」


有理は人を助けるためなら、勇敢な行動ができる。

可哀想だけど今は突き放すようなことを言ってでも、彼女の気持ちを奮い立たせるしかなかった。

有理は目をふせてしばらく黙り込んだ。

やがて俺としっかり視線をあわせてくれた。


「洋平。あたし、なにをする」


「俺がこれから言うこと......有理にとって疑問でいっぱいになると思う。

必ずあとで全部、説明する。もう誤魔化したりしない。でも今は時間がないから。

疑問に思うと思うけど、とりあえず、俺の言う通りに実行してほしい」


有理に話しながら俺はロープをゆるめようと、もがき続けた。

でもロープはまだ外れなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ