表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の魔物と女子高生  作者: ゴルゴンゾーラ
人間に憑依
10/193

10_カラスと協定を結んだ

家事代行という人間がつくった料理を食べる。


「洋平さん、もう食べないんですか。いつもなら.......」

平林さんが俺に聞く。

「もういいかな」


洋平の胃袋は底なしで食べ物を求めていたが、俺の魂はもう十分と判断した。

洋平の肉体であれば、断食をしても3日くらいは生き残れそうだ。


今後は死なない程度の食事と水で過ごす。

そう決めた。

こんなに太っていては動きにくい。

体重を減らしたい。


筋力もつけよう。

洋平の肉体からは数か月で抜け出るつもりだけど、なるべく快適に過ごしたい。


その日、ゆかり以外の家族には出会わなかった。

父親と母親はどこにいるのだろうか。


ゆかりは不安そうに俺の様子を見ている。

これ以上は、ゆかりから情報を引き出すのは難しいと感じた。


--------------------------------


翌日。

俺は日の出とともに目覚め、全力疾走を行った。

全身から汗が吹き出し、肺と心臓は悲鳴を上げていたが、かまわない。

俺の魂についていけないのなら、肉体よ、滅びれば良い。


その後、川沿いの心地よい空間を見つけ、腕立てや腹筋を行った。

ついでに草むらでトカゲを捕まえ、お守りにする。


さらに、近隣のカラスをまとめるリーダー格のカラスと協定を結んでおいた。


やつらは人間界にいる間、俺の味方になると約束した。

その代わり俺も、やつらにときどきは、食い物をやる約束をした。


家に戻り、汗の匂いに我慢がならずシャワーを浴びる。


朝食のときに妹のゆかりが俺に声をかけてきた。

「お兄ちゃん......変な病気治った?」

「いや。まだちょっとおかしいかもな」


ゆかりは、泣きそうな顔になる。

「もとに戻ってよ。ねえ、久しぶりに学校一緒に行こっか」

「お前は中学生だろう。俺とは別の学校のはずだ」


「なに言ってんの?月ヶ丘学園中等部だよ?

お兄ちゃんは、同じ学校の高等部でしょう」


はーん?

よくわからないが、ゆかりの中学と俺の通う高校は、同じ場所にあるようだ。


「お兄ちゃん。なにかのお芝居の練習してるんだよね?」

電車のなかでゆかりが不安そうに俺に聞いてくる。

「いや。本当に記憶があやふやなんだよ。いろいろ教えてくれると助かる」


「うーん。病院にいかなくて良いのかな。

分かった。今日、家でまた話そう。計画の途中だったよね?」

「計画......?」

「それも忘れちゃってるの?」

ゆかりはまた泣きそうな顔になった。


学校の最寄りの駅に着くと、ゆかりは自分の友だちを見つけて、そちらに行った。


駅を出たところで、ふわりと空から一羽のカラスが俺の肩に舞い降りた。

今朝、協定を結んだカラスの親玉だった。


「お前、何の用だ?」

(あるじ。敵が来たら我々はいつでも闘う用意があります)

「物騒だな。人間は傷つけるなよ。お前たちとの協定は念のためだ」

俺は親玉とブツブツと小声で話した。


しばらく歩くと有理の背中を見つけた。

有理はオーラが白く輝いているので、群衆の中でもすぐに見つけられる。


「有理!おはよう」

「洋平、おはよう」

有理が元気良く振り向く。


なんて可愛いんだ。

俺は思わず目を細める。

闇の存在には笑顔がまぶしすぎた。


「うわぁ!カラスだ。びっくり」

「あぁ、これか?」

有理が怯えた顔をしている。

「これは、家臣のようなものだ。行けっ」

俺は腕を振って、カラスを遠くへ追いやった。


「頭は大丈夫」

「問題ないよ」


「おはよ、有理。うわっ、川田じゃん、キモッ」

有理に近寄ってきた女が、俺を見て顔をしかめる。


「お前は誰だ。俺に話しかけるのなら名を名乗れ」

俺は女にたずねた。


「バカじゃん?なに言ってんの?」

「お前こそ、バカじゃないのか。

名をたずねられて、答えられないとは」

「ねぇ、こいつ、変じゃね?ほんとキモッ」

女は有理の肩を叩く。


「名を名乗れといっているのだ」

俺はなおも詰め寄ったが、女は俺を無視した。


「洋平は頭打った。だから。この子、森陽子ちゃん」


「陽子か。よろしくな」

「ちょっと!呼び捨てしないでくれる?」

陽子はなにやら怒っていたが、俺にはどうでも良かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ