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 「メラニー、今日は公爵家に両親と一緒に来ると聞いている。

俺は学園から一緒に行けばよいかと思って声をかけただけなんだが」

ジェームスは少し大きな声でメラニーに呼び掛けた。

「また公爵邸に連れて行ってメラニーちゃんをいじめるんですか?」

「公爵家だからって何をしても許されると思ってるんですか?」

令息たちはますます興奮している。

「お前たちが何を言ってるのかさっぱりわからん」

ジェームスが呆れたように返事をすると、令息たちは更にエスカレートしていく。


「メラニーちゃんを無理やり勉強させたりするなよ」

「彼女勉強よりもお前と話がしたかったと言っているぞ」

「メラニーちゃんが苦手なのを知ってて公爵夫人と二人きりにさせたりして、彼女が意地悪を言われるのを黙ってみていたのだろう?男なら婚約者の味方になれよ」

「メラニーちゃんは自分の味方になってくれないお前の態度が悲しかったと泣いていたぞ」

(メラニー、そんな事一言も言ってなかったじゃない、どういうこと?)

ケイトが混乱していると、メラニーが目にハンカチを当てながらようやく声を出した。

「みんな、ありがとう、でも仕方がないの、ジェームス様は公爵家の方だもの。

伯爵家の私から文句を言うだなんてできないから・・・。

ごめんね、皆が優しいからつい愚痴をこぼしてしまったの」

そんなメラニーを見ていた取り巻き君たちは

「君は悪くない」だの「こんなにけなげで」とか「なんて我慢強い」などとほめそやしていた。

その光景がケイトには気味悪く思われた。

それはジェームスも同じだったようで、

「メラニー、君はそんな事を思っていたんだな」

そうポツリとつぶやいた。

「なあ、公爵令息様よ、もうメラニーちゃんを解放してやれよ」

誰かがそう言った。

「そうだな、婚約は解消しよう」

ジェームスはそう短く答えた。

その言葉にメラニーははっとしたように顔をあげ、急いで話始めた。

「そんな事全然望んでないわ。

ジェームス様がもっと私に寄り添ってくれたらいいなって思っただけで・・・」

どうやらメラニーは婚約解消を望んでいない様子だ。


(あんな怯えていたのに?婚約を継続したいのにどうして隠れることを選んだの?

暴力や暴言を受けてあんなに怖がっていたじゃない。

ようやく婚約を解消しもらえるのに、どういうことなの?メラニーの事がわからないわ)

ケイトが見ているメラニーはいつもの可愛い妹ではなかった。

兄の言葉が頭の中をぐるぐる回る。

『メラニーの事を盲目的に信じるな』


「今日公爵邸に来た時に正式に婚約を解消しよう。

君たちももういいだろう、彼女を連れて行ってくれ」

ジェームスの言葉に取り巻き君たちは喜んでメラニーを連れていく。

「そんな!うそ」

と言いながら、メラニーは令息たちに連れていかれた。


はあ、とため息をついたジェームスが、ふと木を見上げるとケイトと目が合った。

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