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第四十七話 生死の狭間

(俺、殺されんのかなぁ………)

 

 速やかに上がり行くエレベーターの中で、アイスケの絶望感も上昇していた。


 どういう訳か、人類最強の勇者の家でもある煌家の屋敷に案内──いや、連行されている。

 拘束はなくとも、あの魔獣の首も一振りで刎ねそうな大太刀と、悪魔にも匹敵する鬼の眼光を突き付けられれば、嫌でも従う他選択肢はない。

 命が惜しいかなんて聞かれたら、そりゃ当たり前だとアイスケなら即答する。


 それにしても、想像以上に豪勢な屋敷だ。


 エレベーターが四階に到着すると、床一面につややかな大理石が敷き詰められていた。広い廊下は、両端に煌びやかなクリスタルの花瓶にヒマワリが生けられていて、それも果てしない数が道に沿って続いている。

 二重の窓にドレスのように膨らむレースのカーテンも、数えたらキリがないくらいだ。

 外側の窓にはびっしりと魔除けの札も貼られているし。


 と、今となって単純な疑問が湧く。


「…………あ、れ………何で俺、入れるの?」


 魔除けの札は、石や宝石と違って、人型の悪魔の瘴気も反射し寄せ付けないはずだ。

 この万全の悪魔対策の中に、堂々と侵入を許可されているのはどうもおかしい。

 隣で闊歩する凛を見上げると、彼女は前を向いて言った。


「今は札の聖魔力を一時的に落としている。この屋敷のセキュリティはすべて私が管理しているからな」


「へぇ、そんなことできるんだ………」


「つまり、貴様が下手に出れば全空間の魔除けを再起動し瘴気を焼き尽くすと思え」


「ひぃっ!」


 アイスケの肩が跳ねた。


 すでに密室殺人計画が出来上がっている。

 今回の騒動にひまりを巻き込んでしまったことが要因だろうか。だが、彼女の意思で見学に来たわけだし、怪我をさせてわけではない。凛曰く「寿命を縮みかねない添加物の塊」も飲ませていない。

 それほどまでに恨みを買う理由などないはずだ。


「ここだ」


 生死の狭間で考えているうちに辿り着いたのは────薙刀や、槍、刀が切っ先を光らせて壁に張り付いている、まさに拷問部屋とも称させる場所だった。


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