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第十二話 魔王の子

【報告。E地区の魔獣発生率をゼロまで制圧成功。瘴気周波数危険レベル四から通常へ変更。繰り返し報告──】


「終わったか………」


  海凪 守はくすんだ夕焼け雲を見上げて、呟いた。


「ファミリーズ………悔しいが、今回はお手柄、だったな」


  ため息混じりに苦笑して、聖騎士は剣を鞘に収めた。





「ひー、ろー………」


  女の子はおぼつかない口調で紡いだ。

  夕日に照らされオレンジがかった十人の悪魔を見上げて。


「えっと、助けていただいて、あ、ありがとう、ございます。悪魔の、ヒーロー………さん?」


  喋りたての子供のような辿々しい言い方で、女の子はぺこりと頭を下げた。


「ははっ、そりゃ疑問系になるね」


  アイスケは微笑を漏らす。


「そうだ! ちゃんとした自己紹介、まだだったな!!」


 アイスケは目を輝かせて、とん、と自分の胸を軽く叩く。


「俺はファミリーズのリーダー、黒野 アイスケ! きみの名前は、なんて言うの?」


「な、まえは………」


「うん?」

 

「私の、名前は…………」


「?」


  女の子は手を胸に当てて、少し顔をうつむかせる。


 ざわめく風を突き抜ける足音が迫った。



「お嬢様!!」



  辺りに響いた稲妻のような声。


  振り返ると、そこいたのはピチッとした燕尾服に赤茶色の髪をきつく縛った、いかにも漫画に出てきそうな執事、というような、『女』だった。


  百七十センチはありそうな長身だが、顔立ちや体のラインからして、女と見える。

  凛とした雰囲気の美人だが、背中には二メートル強の凶器じみた大太刀をぶら下げており、キリッとした鋭い目つきもとても艶やかな女性らしさとは程遠い。


「凛さん!!」


  女の子はハッとして、その凛と呼んだ女の方へ駆けた。


(凛さんって………あの子が言ってた、世話係の………)


  男は目潰ししろだの大太刀を振り回すだの聞いていたものだから、もっと屈強で厳つい感じのイメージがあったが、意外にも細身の美人で驚いた。


「ふぇええんっ! 凛さぁん!!」


「お嬢様!! ご無事でよかった!!」


  我慢の糸が切れた子供のようにワッと泣き出した女の子に、凛が強く抱きしめた。


「ごめんなさい凛さぁん!! まさかこんなことになるなんて思わなくて、えと、その………ふぇぇっ」


「お嬢様は悪くありません! 私がもっと早く駆けつけていれば…………こんなケダモノ如きに時間を食われるなど、不覚です!」


「り、凛さん! 血が!! 魔獣にやられたんですか!?」


  目を凝らして見てみれば、凛の燕尾服には赤い血がべったりと付着していた。


「いえ、すべて返り血ですのでご安心を。それよりお嬢様こそ、お怪我はございませんか!?」


「私は大丈夫です! この人たちが、助けてくださったんです!」


 そう言って、女の子はこちらに視線を向けた。


「いや~、どうも~」


  ちょっとくすぐったいような顔で、アイスケは挨拶する。


「ハッ!」


  刹那、凛の眼光が鬼の如くギラついた。



「悪魔めッ!! お嬢様に何をしたぁッ!?」



  手を振りかざしたと同時に、黄金の光が全方面に閃いて、全身が炙られるような痛みが襲った。


「ぐぁぁああぁぁああああああッ!!」


  ひりつく痛みに、息も切れるくらい声を張り上げた。特に、頭部と、口内と、腰に、激痛が集中する。

  強烈な眩しさに目も開けられないが、周囲の兄姉たちの叫びが耳に流れ込んでくる。さらに、バチン、と火花の散る音が聞こえた。


  ズドォン!! と地を裂く雷鳴が轟いて、それと同時に、段々と体の痛みも和らいでいく気がした。


  おそるおそる、ゆっくりと瞬きして、目を開くことができた。


「!」


  大きく亀裂の入った地面に、少し離れたところで、世話係の凛が女の子を抱いて屈んでいる。


  地面のひびから、ピリピリと黒い電流が走っている。


「ディアボロスとレヴィアタンの両統………貴様が鬼畜王子の異名のついた大悪魔か」


「あぁ? 出会って初っ端から襲ってくるヤツの方がよっぽど鬼畜だろ」


  どうやら、兄弟に奇襲をかけた凛に、バニラがライゴウで反撃したようだ。


  バニラのいつものように殺気立って目は紅く染まって────いない。


「!?」


  バニラだけではない。ここにいる十人の悪魔が、悪魔であるすべての象徴を消し飛ばされ、人と変わらぬ姿に変えられてしまったのだ。


「凛さん! 乱暴はやめてください!! この人たちは、私を助けてくれたんです!!」


  女の子が凛の袖を掴んで引っ張った。


  だが凛の表情は厳めしいまま変わらない。


「お嬢様、騙されてはいけません。この者たちは人の町に侵食するように住み込んだ、あの忌まわしい天性血統、『血の加護』を持つディアボロスの悪魔!! 翡翠の聖魔力が汚されたのもこいつらの瘴気のせい!!」


「いや、それはっ………!」


  訳を話そうにも、凛の殺意に光る目を見ると喉がつっかえてしまう。


「腹立つなぁこいつ。もう一発いくか?」


「やめなさい、バニラ」


  バチバチとライゴウを体に駆け巡らせるバニラに、ベリーが制止を促す。


「今のは、この世でたった一種の、光属性の魔法………闇を打ち消し浄化する聖魔法にして天性血統、月詠つくよみ!」


  ベリーは射当てるような眼差しで凛を見た。


「その『光の加護』を受け継がれし者こそ、勇者の血統。あなたは、きら一族の人間ですね?」


  アイスケはハッと息を呑んだ。


  勇者。騎士団のトップに君臨する人類最強の騎士。長年、戦場で争い合った魔王の天敵。その一族が、今、目の前に。


「ああ。だが一つ言っておく。私が今使ったのは確かに月詠だが、私は煌の人間ではない」


「え………?」


  凛は無感情の声で言った。


「私はかつて昔、実験で煌の遺伝子を組み込まれた生き残りの実験体。光の魔法が使えるだけで、満月眼まんげつがんも持っていない」


「実験体って………」


「昔の話だ。今はそんな裏の研究所も潰されている。勇者様の手によってな」


  凛の声に感情はないと思ったが、ほんの少しだけ、顔が引きつっていたような気がした。


煌転生計画きらてんせいけいかく。確か三十年前に七年に渡って裏組織の研究所で行われていた胸糞悪い人体実験だね。八十人の子供が犠牲になったとか」


「そうだ。その唯一の生き残りが私、霧崎 凛だ」


  ラムと凛の淡々とした会話についていけなかった。


  遺伝子を組み込む実験なんて、聞いたことがない。それも子供の死人が八十人も出ただなんて、残酷極まりない虐殺だ。もしかして自分が無知なだけで、この人界にはいくつもの裏の顔があるのかもしれない。少なくとも、今の話を聞いてそう思った。


「あの………まんげつがんっていうのは?」


「バカアイスケ! 授業で習ったしテストにも出たでしょーが!」


 ココロに怒号を飛ばされてしまった。


  アイスケは悪魔学だけでなく全教科赤点で、担任かつ兄のラムを困らせることもしょっちゅうだ。


「煌一族しか持たない魔眼で、眼力だけで光をコントロールできるのよ。その名の通り月と同じ黄金に輝く瞳をしてるって」


「月と同じ………黄金に輝く………それっ、て!」


  アイスケは凛の腕に抱かれた、あの女の子の目に視線を縫った。


「そうだ。煌の一族は私ではない」


  凛は言う。



「こちらにいらっしゃるお嬢様こそが、百二十四代目勇者 きら 理人りひと様の一人娘、きら ひまり様でいらっしゃる!!」



  その清々しい啖呵に、その場にいる全員が、言葉を失くした。


 脳天に稲妻が走るような、そんな衝撃な言葉だった。


「………………」


  あの子は今もうつむいている。


  あの時、きっと言いづらかったのだろう。

  このディアボロスと知った相手に、煌と名乗るなど。


「お分かりになりましたか? お嬢様。奴らとあなたは、対の関係です。接触すること自体が、危険極まりないことなのです」


「………………」


  女の子はずっとうつむいている。


「ファミリーズ」


「はい?」


  硬く閉ざしていた唇が、小さく動いた。


「この人たちは、ファミリーズというヒーローだと聞きました。ヒーローは、人を助けるものなんでしょう? 現にひまりは、助けられた」


「!」


「それも、悪いことなの?」


  ひまりの無垢な瞳が、凛を見つめた。


  それは勇者の血統の証であり、されど純粋な子供の目でもある。


  凛はしばらく押し黙っていたが、やがてひまりを地面に下ろし、その肩を優しく撫でて、立ち上がる。

  キッと力の込めた眼差しで十人と対峙した。


「一つ問う」


  十人は凛の方へ向き直る。


「貴様らは、この人界の味方か?」


  まっすぐと、矢を射るように言葉を放った。


  静寂と張り詰めた空気が漂う。


  十人の悪魔と、二人の人間。

  まるで見えない壁越しにいるような、複雑な距離感。


  そんな中、アイスケは一歩、足を踏み鳴らした。


「俺たちは、人界の味方じゃねえ」


「なっ!」


「魔界の味方でもねえ」


「は………」



「俺たちは困っている人の味方だ」



  放たれた矢の言葉に、それを勝る火矢の眼差しで熱く弾き返した。


「誰かが助けを求めてるなら、俺は人間でも、悪魔でもこの手を差し出す。遠くから声が聞こえるなら、国を越えても、ゲートを越えてもその声に応えてやる」


  瞳を、燃やして。


「俺たちはどこにも属さない。家族だけのチームだ。この十人の家族が、種族も越えて、価値観もぶっ壊して、その冷たく震えた手を握ってやるんだ。どんな手も救ってみせる! 俺たち家族の、ありったけの愛で!!」


  誰よりも熱い意志を込めて。


「それが、ファミリーズだ!!」


  この見えない壁が、あの女の子を少しでも不安に晒しているのだとしたら。

  真っ正直な言葉をぶつけて、己が砕けてでもぶち壊してみせる。


  分かってもらえなくても、信じてもらえなくても、絶対に伝え続ける。

  十人の思いを乗せた、ファミリーズのリーダーとして!


「到底理解できないな………」


  凛は言って、ため息を吐いた。


  だが、女の子は、ひまりは、じっとアイスケを見つめていた。初めてのものを見る子供のような、キラキラとした瞳で。


「霧崎!」


  凛の背後から、複数の足音が迫った。


  振り返ると、黄色の腰小旗を身につけた三人の騎士たちの姿が。


「海凪 守………」


「ひまり様のご容態は?」


「何とかご無事でいらっしゃった。これから屋敷に連れて帰るところだ」


「その前に、魔獣の死体を回収するためにも、ここでの情況を聞きたい」


「いや、恥ずかしながら私も今駆けつけたとろだ。聴取ならあの悪魔どもに………」


  振り返ると、そこには誰一人立っていなくて…………。


「に、逃げやがったなあいつらぁ!! くそっ! やはり悪魔は信じられんッ!!」





  夜。薄いカーテンを透かして月明かりが差し込む広い部屋。白いレースに覆われた天蓋ベッドに、大きな花瓶に生けられたヒマワリの花束、一面に敷き詰めるペルシャ絨毯。


  ひまりは窓際で、ぼうっと満月を見上げていた。


  彼女の瞳は、空に浮かぶ満月をそのまま移したようで、月同士が見つめ合っていた。



『俺たちは困っている人の味方だ』


『どんな手も救ってみせる! 俺たち家族の、ありったけの愛で!!』



  少年の言葉が、脳裏に焼き付いて離れない。


  彼の目は、本気だった。

  彼の言葉は、まっすぐと曲がっていなかった。

  彼の温もりは、とても、温かくて、とても、優しくて、とても………。


(懐かしい)


  初対面のはずだった。名前も、正体も、明かされるまでは全く気付かなかった。

  だけど、どこか知っているような気がした。

  魔王の子、ではなく。

  あの少年を、あの陽気な笑顔を、見たことがあるような気がしたのだ。


(不思議な、気持ち)


  コンコン、とノックの音がする。


「お嬢様、私です」


「あっ………どうぞ」


  扉が静かに開かれ、世話係の凛が入ってくる。


「お身体の具合はいかがですか?」


「平気です。凛さん、今日は本当にごめんなさい………」


「お気になさらないでください。お嬢様がご無事でいらっしゃったことが何よりの喜びです」


「凛さん………」


  キュッと唇を噛み締めた。


「さきほど騎士団から新しい翡翠が調達されました。紐を通しておきますね」


  凛は薄緑に光る翡翠を持って、小さな穴に白い紐を通し、きつく結んだ。


「札の効果の方が強いですが、翡翠は持続性に長けていますからね」


  部屋の窓ガラス、そして入り口の扉にも、魔除けの札が貼り付けられている。


「失礼します」


  そう言って、凛はひまりの首に翡翠をネックレスをつけた。


「今日はお早めに、ゆっくりとお休みになってください。不安でしたら、この凛が眠れるまでお嬢様のおそばに」


「凛さん」


 噛み締めていた唇を開いて言った。

 向かいの鏡に映った自分は、泣き出しそうな幼子のように震えている。


「ひまり、何も知らなかった………」


「え………」


「魔王の子が人界にいることも、ファミリーズの存在も、何にも、知らなかった!」


「……………」


『お前は魔獣に狙われやすいゆえ、未熟だ』


 父はそう言って、町外れの別荘に住むように命じた。幼い頃からずっと、人も少ない寂しい屋敷で、家庭教師を雇って暮らしていた。神樹ヶ咲に引っ越してきたのはつい最近のことだ。


『外は危険ばかりです』


 世話係はそう言って、家にいるように強要された。出かけることはあっても、車に乗って、常に隣には誰かが見張っていた。窮屈さに耐えられなくて、抜け出すすべを覚えたのは五歳の頃からだった。


  自分が世間知らずなのはよく分かっていた。

  だが、何を知らなくてどうすればいいのか、分からなかった。

  だから、テレビの紹介や街中で歩く人々を見て、庶民の生活を興味をそそられた。自分もやってみたい、楽しみたいと身体が勝手に動いていた。

  だけど、どれだけあがいて抜け出しても、好きな場所を駆け巡っても、テレビや街中の人のようにはなれなかった。いつまで経っても、自分は世間知らずの子供だったのだ。


  勇者の娘でありながら、魔王の子を知らなかった。こんなに近くにいることも、知らなかった。その真相も、知らなかった。


 そんな無知で無力な自分が、恥じらうくらいに情けない。


「凛さん、教えてください。あの人たちのことを」


  だからこれからは、しっかりと、向き合って知りたい。例えそれが残酷な話でも。


  もう、ぬくぬくとした鳥籠の中にはいられない。


「お願いします」


  ひまりのまっすぐとした眼差しに、凛ははい、と小さく頷いた。





「魔王の子が人界に来たのは、十四年前のことです」


「十四年前って…………」


「はい。第三次魔人戦争だいさんじまじんせんそうが終わった直後です」


  ひまりが生まれた年であり、多くの犠牲を払った痛ましい戦争が幕を閉じた頃だ。


「上の兄たちが弟や妹を引き連れて、兄弟だけでゲートをくくり抜けたのです。その頃、下の四つ子はまだ赤ん坊です。なのであの四人は、魔界での記憶がありません」


「下の四つ子………」


  あの少年で、間違いないと思った。

  言われてみれば、彼は表情豊かでお喋りで、あのお調子者な性格は悪魔らしいとは言えなかった。


「一体、どんな理由でここへ………?」


「彼らは言いました。ただの家出だと」


「い、家出!?」


「詳しい真相は明らかになっていません。ですが、彼らは、人間に害を与えるつもりはない、と誓って言ったんです」


「………………」


「騎士団は十日間彼らを拘束して、魔王の子の処遇を考えました。中には殺すべきだという意見も多く挙がりました」


「そん、な…………」


  いくら悪魔だろうと、赤ん坊もいるのに。想像するだけでゾッと背筋が震える。


「ですが勇者様はおっしゃっいました。まだ相手は子供で、敵意もない。仮に手にかけようとしても、ディアボロスの子が暴走すればこちらも甚大な被害が出て、魔王も黙ってはいないはず。そうなれば第四次の戦争も起きかねない。なので、騎士団の管理下の元で彼らの居住を認める、と」


「パパが………許可したんですね」


  ひまりの顔が綻びた。

  やはり父は、強く、厳しく、そして心優しい勇者だ。

  そんなひまりを見て、凛も微笑んだ。


「あの…………ここに来ることの過程は分かったのですが。ファミリーズ、というチームはどうやって誕生したのでしょうか?」


  ひまりは凛の顔を覗いて尋ねた。


  む、と凛は眉間にシワを寄せる。


「それは私も分かりません。確か七年前に結成されたとか何とか。ヒーローとは聞こえもいいですが、町で暴れて、物を壊して、金銭を強請って、やってることは悪魔の戯れとしか思えません! さすがは暴れん坊魔王の子供だけありますね! ハッ!」


  凛は不満そうに鼻を鳴らした。


  ひまりは相変わらずの世話係を見て、苦笑を浮かべる。


「でも、ひまりは、今日そのファミリーズに助けられました」


「うっ………それは、事実、ですが」


「あの人たちのこと、まだよく知らないけど………本物のヒーローみたいだなって、思いました。特に、あの、リーダーの………男の子」


  とても、優しくて、勇敢で、面白くて、ちょっぴり変な子。


  あの弾むような会話や分かりやすいリアクションを思い出しては、クスクスと笑ってしまう。


「お嬢様………」


  凛はその横顔を見て、目を細めた。


「やはり、似ていらっしゃいますね。お母様に」


「えっ………ママに?」


「はい、とても」


(ママ………)


  すっとソファから立ち上がり、タンスの上の写真まで歩み寄った。


  こちらに向かって微笑む、亜麻色の髪をおさげにした端麗な女性。


(ママ………ママ…………)



『可哀想に、会いたいんでしょう?』



  ズキッ! と痺れるような頭痛が襲った。


「うっ!」


「お嬢様!?」


 蹲るひまりに、凛が身を寄せる。


「お嬢様!! お嬢様!!」


「だい、じょうぶ………」


 ひまりは掠れた声を振り絞る。


 凛はすぐさま携帯を取り出し、電話をかけた。


「おい!! 霧崎だ!! いつもの医者を呼んでくれ!! 早く!!」


 凛の声が、ぼうっ、と、夜の闇に霧がかかるみたいに、ぼんやりとして、聞き取れない。


 ただ、少女の頭の中で、けたたましい高笑いが響いていた。

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