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第十九話 犬猿コンビの嫁探し

 ブーメランの形態をした黒血は、ふっ、と先端の切っ先を向けた瞬間、音速を超える豪風を吹き立ててトカゲの首を掻っ切った。

 魔界四天王匹敵レベルのスピードを誇るユウキは、魔獣の群れを前にしても身じろぎ一つしない深く鋭い眼差しを向けている。

 その背中に背中を合わせるもう一人の少年、英雄の子と讃えられた、紅蓮 緋色。

 彼も同じく動じない眼差しで、両手を構えると、轟! と紅蓮の猛火が一直線に敵を貫き、瞬く間に焼き尽くした。

 割れた窓から虫のように這い、トカゲの群れは延々と沸き出た。


「言っとくけど、共闘じゃないから」


 ユウキが厳めしい口調で背後の少年に釘を刺す。


「お前のせいで愛しのか弱きアイちゃんと引き離されて、一刻も争う事態なんだ。最低限の責任は取ってもらうからね」


「そのセリフそっくりそのまま返す。嫁のピンチに駆けつけるのが夫の役目だ。小舅はそのサポートぐらいやってみせろ」


 緋色の清々しいまでの反論に、ちっ、とユウキは舌打ちを鳴らした。


「だぁ〜かぁ〜らぁ〜…………小舅言うなぁ!! アイちゃんは俺のお嫁さんだァッ!!」


 風も引き裂く斬撃音と大群を焦がす爆音が、二人だけの廊下に弾け飛んだ。


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