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破壊衝動:リン子の視点

 マキナが生み出した鎧が弾丸を弾く。

 そして、相手が使用したのもマキナ。

 拙いが確実にネジに回転を加えていた。

 けれど、まだまだ練度が足りないわ。


 射出した際に使用した異能は中々のモノだ。

 但し、貫通力……回転の力が足りないのよ。

 私からしたら駄作もいいところ。

 子供じみた強化だ。


 それでも満足そうな顔よね。

 コツを掴んだということかしら。

 だとしたら危険だ。

 

 私はマキナを主軸とした戦法が基本だが相手は違う。

 異世界マーシナリーには存在しない謎の力を利用する。


「遊びはしないで、さっさと息の根を止めましょうか」


 今までの動きを見れば簡単に分かる。

 お嬢ちゃんより私の方がレベルが高い。

 ならば小細工は無用。

 力で叩き潰すのみ。

 

 だから行った。

 愚直に、相手から繰り出されたネジの弾丸も正面で受けて無効化する。

 そうすれば手の届く距離にお嬢ちゃんがいる。


 闘い慣れているのか私の一撃に対して連撃を当て、軌道をずらす。

 多くの場数を踏んで来たのね。

 でも、知っているわ。

 私の攻撃を受ける度に拳が痛んでいるのを。


 舞いながら蹴る。

 回りながら凪ぐ。

 曲がりながら躱す。


 踊りの最中、攻めと受けを両立させる奇抜な動き。

 そこにマキナで生成した乙女武装によるブースト効果が加わる。

 ハート型の火の粉を吹くブースター。

 美しいわ。

 せめて苦しまずに私の舞を眼に焼き付けながら殺してあぐる。


 そのつもりだった。


 殺すつもりで戦っていたつもりがいつの間にか押されている。

 何故?

 答えのひとつは簡単だ。

 高位の回復魔法が度々使われている。

 そして、その回復先である拳が厄介だ。


 三撃で防いでいた攻撃が二撃に、遂には一撃で私の攻撃を受けていく。

 ダメージが少なるポイントを見極めての動きだ。

 この子、順応速度が異常に速い。


 私は相手が慣れることを想定して、踊りのリズムを変えていた筈だ。

 最初はその動きに釣られていたのに今は違う。

 踊りを含んだ攻撃自体に慣れてきているというの?


「わたすぃの動きを読めるの、お嬢ちゃん」

「奇抜な動きだけどパターンがあるのよ、変態さん」

「ぜひ伺いたいわね。どうせ教えてくれないんでしょうけど」

「別にいいけどね。全体の動きは複雑だけど、攻撃の出所は同じなのよ」


 出所が同じ。

 そんな筈はない。

 戦闘に関しては細心の注意を払いながら動いている。

 

 だが相手が天才なら別だ。

 私は違う攻撃を選択しているつもりだが、相手は同じだと認識しているのだ。

 それがダーリンだったわね。


 私を負かしてベタ惚れさせた相手。

 彼が言うには初動や目線、私の意識していないポイントで動きを読めるのだと。

 お嬢ちゃんも別の着眼点の元に私の動きを読んでいる可能性が高い。


 ダーリンと同じ才能を持つかもしれない女。

 破壊したい。

 破壊、破壊、破壊、破壊、破壊、破壊。

 全てを壊し尽くしくなっちゃうわ。

 いつからか私を支配する愛おしくも美しい、この感情。

 駄目よね。

 心の制御が出来なくなっているもの。

 それが心地よくもあるのだけど。


 お嬢ちゃんの顔が歪んでいる。

 漏れ出てしまったのね、熱く滾るこの衝動が……。

 身体の筋肉が隆起する。

 魔王化の最終形態。

 何とか鎧で抑え込めたけど顔だけは駄目だ。

 武装を突き破り、頭頂部から角が隆起する。


「さあ、集まりなさいな」


 右手を大きく掲げる。

 集まる機械兵の残骸。

 生み出されるのは私の心。

 雄々しく、逞しく、美しい中に棘がある。


 機械人形50体分の長さに、半身分の棘が幾つも装着された鞭。

 まずは天空に向かって試し振り。

 音速を超えた先端が白い蒸気を生み出す。

 爆音が響くと同時に私を中心として雲が霧散していくのが心地良い。


「イイ女と言ったら、やっぱり鞭よね」

「いや……、女じゃないし、気持ち悪いです」

 

 嫌ね。

 口の悪い子にはお仕置きが必要。

 お嬢ちゃんに向かって鋼鉄の鞭を振るう。

 先端が丁度、頭を弾くような位置を狙い定める。


 鋼鉄のうねりが高速に舞う。

 お嬢ちゃんも天性の勘の良さを以て躱す動作を取る。

 やっぱり勘はいいようね。

 けど、先端が生み出す爆圧は躱せるのかしら。


 鞭の動きは縦横無尽。

 振り下ろされる位置は自ずと直撃の瞬間となる。

 ギリギリで躱せば、


「音と風の刃に切り刻まれるといいわ!」


 音速の一撃が壁を生み、お嬢ちゃんを天空へ舞い上げた。

 大分、高く飛んだわね。

 余りの衝撃だったのか、雫のようなものが飛散しているように見える。

 迸る鮮血。

 最終局面は近い。


 空でバラバラに弾け散る様を見るのも一興よね。

 私は試し振りの時と同様に天に向かって大鞭を振り抜いた。

 

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