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不穏な足音

 異世界マーシナリーの修行を始めて4日が経過した。

 

「「出来ねぇぇぇぇ」」


 人間と猫耳少女が頭を抱えて蹲る。

 部品も出来なければ、おもちゃも作れねぇ。

 どうなってんだよ、まったく!

 と二人でやけ食いとかする始末。

 ストレスって怖いわー。

 私は食に行ってしまう派なんだなと新たな発見をしてしまった。


 今までのベースは内なる力の昇華だったけど、マキナは違う。

 物質が介在する分、何かコツが掴みづらい。


「難しいにゃ……」

「ソフィアは魔素を接着剤みたいな感じで使うって言ってたんだよね」


 錬金よりの技術を使うとは夢にも思ってなかったから話半分に聞いていた。

 そういうことよくあるよね。

 自分に関係無いと思ってたら、後にダイレクトアタックが来るやつ。


「魔素って何にゃ?」

「えっ? ソフィアに教えて貰ってないの?」

「いつも、目の前で実践して感覚論が語られるのにゃ」


 アイツ、師匠辞めろよ。

 全然、教えてないじゃねぇか、可哀そうに……。

 ソフィアは天才だから仕方ないか。

 本番は成功して、練習は失敗するとかいう監督としては使いづらいタイプ。


「ソフィアが言うには物質によって結合し易い魔素があるらしい」

「魔素ってくっつけるヤツのことにゃ?」

「そうにゃ」


 機械系を構築するのに有利な魔素が存在するのかもしれない。

 もしくは、異世界アルファに存在しない特殊魔素だったらヤバいけど。

 何か思い当たる節があったのか、ミャンが錬金釜にポイポイと素材を入れる。


「よーし、もう一度チャレンジにゃ!」


 適当に釜を掻き混ぜる様子を見て疑問が浮かぶ。

 毎回、掻き混ぜ速度とか回数とか違うけどフィーリングでやってないか?

 これも、ソフィアのせいだと思うんだけど……。

 帰ったら師匠としてしっかりしろ、とか説教してやりたい。

 猫耳少女を悩ます奴には死を!

 この4日間で得られたのは猫耳可愛いだけだよ、マジで。


「出来たにゃ! これは自信ありにゃ!」

「本当に見せて見せて!」


 釜の中から取り出された幾つかのネジ。

 手に取って銀の部品を確認する。

 異世界に慣れ過ぎて、日本でよく見た機械部品に違和感を覚える。

 私、異世界に生きてるんだぜ!

 なんて、改めて実感してしまう。


 そう思うと不思議に思う事が頭にポンポンと浮かんでくる。

 前回、冒険したイクスクルードダンジョン。

 自動ドアとかあったし、研究所みたいな印象を受けた。

 あれも機械で制御されていたように思える。

 異世界アルファは全ての異世界の始祖か……。

 色々、考えさせられることがあるもんだ。

 他人事だけどな。

 平和に生きれれば、私はそれでいい。

 よし、解決。


「良いんじゃない? 他の部品も試してみようよ」

「本当かにゃ! 褒められた!」


 嬉しさのあまりぴょんぴょん跳ねる猫耳少女。

 ヤバい、可愛すぎ。

 これだけで、ご飯3杯はいけるわ。

 

 何はともあれ、ミャンは一歩を切り開いてくれた。

 私も本腰入れて、おもちゃ作成に励まないとね。

 その時だった。

 ミャンの家の戸がガンガンと叩かれる。

 叩き方が余りにも粗暴だったので、二人で顔を見合わせ眉根を寄せる。


「入っていいにゃよ」

「リルアさん、ここに居たか!」


 ドアの向こうに居たのはガイルの手下の一人であるオークだった。

 ミャン宅を訪れて4日も経過してんだよね。

 皆が遠征から帰って来ていたとしても不思議ではない。

 けれど、かなり焦っている様子から不穏な何かが感じ取れる。


「どうしたの?」

「アスガルド方面にあった魔物の集落のほとんどが滅ぼされていた」

「全滅ってこと? 生き残りはいるの?」

「まだ、ガイル様が現地で調査している! 取り急ぎリルアさんに連絡をと」


 オークからアスガルド周辺の地図が渡される。

 赤のバツ印は滅ぼされた集落を示しているみたいね。

 ガイル達は最後に残った集落の調査へ向かっているようだ。

 私は地図上に残った集落に対して指をさし、


「ガイル達はここに向かっているのね?」

「そうだ、何か良くない事が起こってる可能性があるとガイル様が……」

「そうね、分かったわ。私も現地に行ってみる」

「恐らく村から目的地まで1日は掛かる計算だ。ある程度準備もして……」

「必要ないわ。私が全力で飛ばせば、少しの時間で着くと思う」


 軽く見積もって1時間もあれば到着する計算だ。

 準備は必要ないが、サクラは連れて行きたい。

 現場検証などを行うには彼女以外の適任者は存在しない。


「ミャンごめん! 少し出掛けてくるね」

「大丈夫にゃ! リルアが帰って来る頃には全部完成させておいてみせるにゃ」

「有難う、じゃあ頼んだよ。見習い錬金術師様」


 ブイサインで答えるミャンを背に村長の家へと向かう。

 今日はサクラが女神関連について村長にヒアリングすると言っていた。

 もう既に話を済ませたと思っていたがそうではないらしい。

 何か家を便利にするとか言ってリフォーム計画をしていたとか……。

 既に床中レベルアップマスが敷かれてんだから、本当に勘弁してくれって感じ。


「それはいいとして、何か嫌な予感がする」

 

 人畜無害であった筈の魔物の集落が全滅させられる事件。

 しかも、アスガルド方面と言えばチビ達が現在進行形で訪れている場所だ。

 今はただ事実を確かめるべく、全力で現場に向かう他ない。

 ガイル達、無茶をしてなければいいけど……。


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